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凸凹母校大阪美術専門学校 活躍するOB・OG

倉敷の指物師 守屋建具店 建具店から生まれた家具ブランド古巣《wood works Furusu》店主 守屋 元親 (D98209)(大阪美術専門学校映像専攻2000年卒業)


守屋元親さん

今回は2000年に大阪美術専門学校(映像専攻)を卒業され、現在は倉敷市で建具職人をされている守屋元親(もりや・もとちか)さんを取り上げます。在学当時同級生で妙に馬が合ったという東陰地委員とともに、倉敷を訪れました。
友情と信頼という教育を受けた旧友ふたりは、取材の間も移動の間も、ずっと笑いながら話しこんでいました。
ほほえましくもあり、時代は変わっても卒業生同士が笑って昔話が出来るような教育を目指さなければいけない。と、新鮮な気持ちになった取材旅行でした。(齋藤)


左から、守屋元親さん、東陰地正喜 企画広報委員

美専(映像)に入学した理由は?
高等学校時代は普通科で、高校球児でした。
甲子園を目指していて最後の打席はデッドボール(笑)。
大阪芸大映像学科に不合格で、経営の大学に進学しましたが、座学で算段するより、何かモノづくりがやりたくて、中退して翌年、美専の映像専攻へ入学しました。

美専生時代の想い出とかありますか?
東陰地さんと年齢や経歴はちがいますが同期ですよね。
そういう、自分と全然違う人との出会いや付き合いが一番の思い出ですね。オンジさんだけではなく大阪の人々はみなさん面白かったです。
松井公一先生はコワかったなぁ。でも古典芸能や映像のお話は最初のころはよくわからなかったけれど味があるというか、ためになったなぁ。あと、自分の卒業制作で、当時20人以上のスタッフやキャストを率いたんですが、その時に、人はなかなか動いてくれないなぁ、と思いました。それが今は役に立っているかな。人を動かす立場になって。


事務所の上階に施工中の展示室。

卒業後の進路は?
卒業式の時に浅尾先生が「仕事したかったら、ただでも働かせてくれ、と食いつくべきだ」と挨拶されました。言われた通り、大阪の映像制作会社に飛び込んだら、面白がられて、アルバイトでADの仕事をやりました。しかし自分なりのモノづくりをしたい。そして建具屋三代目である自分をあらためて悟り岡山に帰りました。頭の中には常に実家の工場や家族がありました。工場(実家)か映像か迷っていた時期かな。


制作事例/総社市/2014年

制作事例/岡山市/2017年

修業時代について教えてください
新建材の開発や住宅メーカーの台頭で、昔ながらの建具の必要性が少なくなっていました。そんな時、JICA(独立行政法人国際協力機構=開発途上国への国際協力を行う)の事を知りました。もともと美専では国際映像学科であったし英語は苦手ではありませんでした。現地でモノを造りたくて、サモア職業訓練校の木工の先生に応募して受験したら合格しました。
当時を修業とは思っていません。でもやればやるだけ喜んでもらえる。細工物など良いモノを造るとみんな集まってきて感心してもらい“天才モト”と呼ばれたりしました。
現地の酋長たちとの宴会で、マタイの儀式で位が上がって、酋長のレベルになりました。モノを造ることにのめり込んだ2年間でした。家内もJICA出身です。ウズベキスタンで活動していました。


若い職人を育てることも大切な仕事。

今の仕事で大切にしている事や、これからの大きな目標については?
自分のすべき仕事を「過去、現在、未来」の3つの相で捉えています。
【過去の仕事】文化財の保全修理の仕事です。正直、儲からない仕事ですが、やりがいはすごくあります。建具屋が高齢化で少なくなってきています。私も含めて伝承していかねばと思います。重要文化財を含め、倉敷の美観地区の保全修理の仕事もたくさん請負わせていただいています。丁寧で正確な仕事をしなくてはいけないと思っています。
【現在の仕事】若いものも育てなくてはならないです。
うちには専門学校卒業の若い衆が二人います。ひとつの事をしっかりやりたいという専門学校卒業生は仕込みがいがあるような気がします。もっとよい給料を渡せるように日々励まなくてはと頑張っています。
【未来の仕事】若い世代にこの仕事は楽しいのだよ、と広めていきたいですね。私自身若い頃、仕事が休みの日は、自分のオリジナル作品を造ってきました。オリジナル家具ブランド「古巣」を立ち上げ、注文を待つだけでなく、自ら発信していこうとしています。若い衆にも、過去の仕事や今の仕事に向き合い学んでいくなかで、未来に向けて自分の創意工夫を凝らしたオリジナルのものを造ってほしいと思っています。
80年の歴史のある建具屋という稼業ですが、現在、作業場の一角に展示室を造っている最中です。オリジナルの家具のほか、いずれ文化財など昔の人が造ったモノを再生保存し展示していきたい、と思っています。


「Furusu 古巣」
作品/ 斗組テーブル オフィス会議用(オーダーメイド) ウッドデザイン賞2018受賞
2400×1200mm の強化ガラス天板を支えるために、寺社建築に使われる斗組の構造を用いている。

守屋元親 Moriya Motochika プロフィール

守屋建具屋(1936年創業)三代目
建具屋から生まれた家具ブランド「古巣 wood works Furusu」店主


倉敷美観地区内にある老舗の和菓子店。
数年前にリフォームした際、建具一式を請け負った。


大原美術館敷地内にある和風建築
「新渓園」の建具は先々代の仕事だという。
1978年
倉敷市生まれ
1998年
大阪芸術大学附属大阪美術専門学校国際学科(映像専攻)入学
2000年
同校卒業
大阪市内の映像制作会社でのアルバイト勤務を経て、
実家に戻り、守屋建具店に入社
2006〜
JICA(国際協力機構)のボランティアとして、サモアに派遣。
2008年
現地の職業訓練校で木工の講師として活動
帰国後、建具店に戻り、建具の制作・施工、
修復を中心に仕事を再開
2010年
家具ブランド「Furusu」設立
倉敷美観地区内にある重要文化財「井上家住宅」。現在、建具の補修を担当している。 現在修復中の建具。文化財の補修は「良い物を造る」のでは なく「元に戻す」ことを常に意識するという。
取材・フォト/
企画広報委員 齋藤 信・東陰地正喜
(作品写真は守屋氏提供)

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編集>> 塚本学院校友会 企画広報委員会 発行人>> 福永亮碩