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大阪芸術大学図書館 所蔵品展
版画の曙
  「明治の版画」

平成21年7月1日―7月31日
図書館4階 展示コ一ナー

展示解説VTRはこちら(約2分)
    500k  60k


砂目石版 筆彩 源 義家像
 

左:多色木版 古今名誉美談集

右: 銅版 織田信長像

 版画は技術的には木版、石版、銅版、シルクスクリ一ンと四つに分けることができる。そして、それぞれ表現の効果が異なる。東洋では木版による技術が発達した。木版は中国では7世紀にまで遡れる。日本での最古の木版は8世紀の百万塔に入れられた陀羅尼がある。版画的なものは染織で摺衣と称される型木で染めたものが正倉院に所蔵されている。平安時代以降は佛教の隆盛にともなって木版の経論や摺仏供養会が催され、一体一体の仏を押印した印仏と大きな版を用いて多くの仏を印刷する摺仏が盛んに行われた。日本の中世の版画は仏教の普及とともに墨刷だけではなく色彩を施したきれいな版画が刷られていた。慶長13年(1608)に『嵯峨本 伊勢物語』が刊行され、物語の挿絵が版画で表わされた。江戸時代には浮世絵というジャンルで木版の技術が多角的に進み、世界に類をみない木版芸術を完成させた。
  銅版画は西洋では15世紀半に生まれ、17世紀以降に隆盛をみる。日本では天明3年(1783)に司馬江漢がボイスの著した蘭書を大槻玄沢と共に訳して銅版画を創作したのが初めとされる。
  石版画はドイツで1798年にゼ一ネフェルダ一が発明し、19世紀に芸術家達に取り上げられ盛んに行われるようになった。ポスタ一や商業美術に用いられた。日本では長崎でオランダ人医師の指導のもと安政2・3年(1855・56)に石版画制作が試みられた。
 明治時代の版画も他の分野と同じように西洋の影響をうけて技術や表現の多様さが伺える。木版画は伝統的な浮世絵の技法を踏襲したものと、洋風の遠近法や陰影法を取り入れた新しい版画が生まれる。これが後の創作版画に繋がる。石版画は新しい印刷機械の導入と外国人技術者の存在で大きな発展を遂げる。石版の技法は官製石版画として太政官正院印書局や陸軍の印刷に生かされる。もう一方、民間石版画は玄玄堂という会社が版画作品として高橋由一等の画家の一枚ずり石版画を制作発売した。銅版画はイタリヤの銅版画家であるキヨッソ一ネが明治8年(1875)に紙幣、切手、証券の印刷技術を指導するために来日し、「日本の印刷技術の父」と呼ばれ、精緻な大型の肖像銅版画を残した。
 木版による柔らかい平面的な表現。銅版による鋭利な線による明晰な表現。石版による精緻なリアリテイ一のある表現。媒体の持つ様々な特質を生かして明治の版画はより表現の幅を広げると共に芸術性を高めていった。

出品作品
1. 砂目石版 筆彩 源 義家像 明治21年
2. 砂目石版 筆彩 少女愛花の図 明治23年
3. 砂目石版 筆彩 小児を愛す図 明治25年 有山定次郎
4. 多色石版 月桂冠図 明治38年 渡部審也
5. 多色木版 大阪名所図 明治31年
6. 銅版 織田信長像
7. 銅版 木下藤吉郎像
8. 合羽版(摺)上杉謙信・柿崎景家図 一猛斎芳虎画
9. 多色木版 深川仙台堀 井上安治画
10. 多色木版 虎ノ門工部大学校 井上安治画
11. 多色木版 ちりめん本 朝顔日記 明治33年
12. 多色木版 古今名誉美談集(上杉謙信)
13. 多色木版 楳嶺花鳥畫譜 明治32年
14. 多色木版 三十二相 明治15年 小林清親画

(大阪芸術大学教養課程教授 田中 敏雄 筆/美術学科教授 坪田 政彦・准教授 山本 善一郎 協力)





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