—まず、アートサイエンス学科のWebサイトを制作するにあたり、メディアという形態にしようと思った理由を教えてください。
有國:そもそも学科という領域こそが、これから発展していくまったく新しい分野。アートサイエンス学科のWebサイトをつくるには、これまで世のなかになかったものををわかりやすく伝えていくための自由な発想が求められます。「誕生したばかりの学科にふさわしい斬新なもの」「一過性のものではなく、アートサイエンス学科とともに成長するもの」「情報発信を続けることにより、社会に影響を与えられるもの」の3点を踏まえた結論が、Webメディアの創刊です。それを通じて「アートサイエンスとは何か?」を継続的に発信していこうと考えました。
—斬新と言えば、このメディアでは「機械学習」を採用すると伺いました。
木村:はい。ただ、「機械学習」をつかうこと自体が目的ではなく、まったく新しい視点で大学を見るための手法としてつかっています。これまで大学という組織は、学部や学科で区切られた、いわば縦割りの組織。しかし、これからクリエイティブシーンを牽引するであろうアートサイエンスという分野は、それら縦割りの枠を超えて、今までつながらなかったものをいかにつなげていくかが重要になります。つまり、アートサイエンスの分野を表現するには、新しい大学の枠組みをつくる必要がある。このメディアでは「機械学習」という新たな視点をつかい、大阪芸大の学生たちが残してきた膨大な量の作品から「大阪芸大らしさ」を抽出し、解析した結果を新たな大学の枠組みをつくるうえでの象徴として使用したいと思っています。
塚田:全学科のビッグデータを包括して利用するというのもポイントです。幅広い分野を横断する、アートサイエンスという分野を体現するメディアだからこそ、学部や学科といった枠組みを飛び越えた、新たな視点で見とおす試みが重要です。
有國:アートやデザインなどの表現の視点と、サイエンスの視点を融合できる次世代クリエイターを育てるアートサイエンス学科を体現する意味でも、「機械学習」を使った取り組みは有効。ここに塚田さんというプロの目線による編集が加わることで、より一層、効果的なメディア展開が実現できると考えています。