世界的建築家・妹島和世客員教授による6日間のワークショップ!学生がデザインする、アートサイエンス学科棟の可能性

設計者自らが、
学生と一緒に建築の可能性を拓く貴重な機会

アートサイエンス学科の学科棟は、建築界のノーベル賞ともいわれるブリツカー賞を受賞した世界的建築家であり、建築学科の客員教授でもある妹島和世先生が設計されました。学外からも多くの見学者が訪れる建物です。
そのアートサイエンス学科棟で、2019年8月26日〜31日の6日間にわたり、妹島和世先生とSANAA事務所のパートナーで、非常勤講師の棚瀬純孝先生によるデザインワークショップが開かれました。
設計者自らがワークショップを行うという貴重な機会に参加したのは、建築学科を中心とする39名の学生たちです。テーマは「アートサイエンス学科棟の可能性を拓く」。1年生から大学院生までが6つのグループに分かれ、アートサイエンス学科棟というランドスケープを敷地として考察し、その使い方を設計・提案するという課題に取り組みました。

アイデアのPVまで作成?!
プレゼンテーションの方法にも個性が表れる

ワークショップの初日である8月26日には、課題の説明とグループ編成が行われました。グループは同じ学年や知り合い同士で固まるのではなく、1年生から院生まで、学年を越えて縦断的に組み合わされています。同じ学科で顔や作品や知っていても、話すのは初めてという人も多かったよう。午後には、グループごとに妹島先生と意見交換を行いました。
翌日からはアイデアを出し合い、建築学科長の門内輝行先生をはじめとした教員から、アドバイスをもらいながら設計をはじめました。
28日の中間発表を経て、翌日からはいよいよプレゼンテーションの準備を進めることに。協力しあいながら、図面と模型をつくっていきます。

そして迎えた、ワークショップ最終日のプレゼンテーション。
中央の大空間に新たなパーツを取り付けるというアイデアを出したグループもあれば、学科棟の外の空間に対するアプローチを考えたグループもありました。
それぞれのグループが、制作した模型や原寸大のモデル、パネルを使いながら、自分たちのアイデアを伝えていきます。なかには、動画によって使用イメージを説明したグループもありました。提案はもちろんですが、プレゼンテーションの方法にもそれぞれに工夫が見られます。真剣ななかにも、笑いを交えながら説明する部分もありました。

各グループの提案について、妹島先生をはじめとする先生方がコメントをしていきます。実現させるための具体的なアドバイスや、さらに発展させるためのアイデアが生まれました。

「アートの横断がはじまる場所に」
妹島先生が語る、設計に込めた思い

妹島 和世 客員教授

自分が設計させていただいた建物に滞在してワークショップをするという機会は、なかなかありません。すごくおもしろくて、楽しい経験でした。
そもそもアートサイエンス学科棟は、いろいろな形で使ってもらえるようにつくった場所。今回はその具体的な方法を、実際にこの大学で学んでいる学生の方が考えてくれたので、どの提案も実感を伴っていましたね。今あるキャンパスや、この建物をどのように距離を取りながら新しいことを起こしていくか。そうした考え方が、どの提案にも共通していたと思います。

学生のみなさんのアイデアを聞いてから私が考えたのは「座りながらお茶でもできるような大きなテーブルを置いて、誰もが入りやすい空間をつくる」ということ。
せっかく建物を見に来てくれる人がいても中に誰もいないと入りにくいし、座る場所がないと身の置き場もないですよね。大きなテーブルでもあれば、誰もが入りやすいしゆっくりできると思うんです。カフェにするのは大変だけど、たとえばロボットがいてちょっとしたサービスをしてくれるとか。
そういう試みをするときには、建築学科だけでなくいろんな学科の学生の方が一緒にやると、視点が変わってアイデアに広がりが生まれるのではないでしょうか。違う分野の基礎をきちんと学んだ者同士がコラボレーションしたり、また分かれていったりっていう、アートの横断ができる大学ですよね。ひとつのキャンパスにいろいろなことを学んでいる人がいるので、この場所で出会ったり、可能性を広げたりしてもらえるようになるとうれしいです。

今回のワークショップは学生にとって、とても貴重な学びの機会となりました。これからアートサイエンス学科棟が学生たちの手でどのように変化・発展していくのか、さまざまな可能性がひろがっています。

「著名な建築家と等身大のコミュニケーションを」
企画した門内学科長が語る、ワークショップのねらい

門内 輝行 学科長

今回のワークショップの第一のねらいは、世界的に著名な建築家である妹島先生と、等身大のコミュニケーションを行うことでした。
遠い存在だと思っていた方が、自分たちのテーブルを回りながら、身振り手振りを交えてアイデアに対するコメントをしてくれるわけです。そこで受ける刺激は、学生にとってすごく大切なものなんですね。
次に、デザインするときの視野をミクロからマクロへと広げていくこと。今回のワークショップの目的は、単にアートサイエンス学科棟で使える家具を考えることではありません。『ランドスケープ』の可能性を探るために、家具から建築、そしてランドスケープへとスケールを大きくしていきながら提案を考えてもらいました。
そして最後に、建築を『育てる』ことの大切さを知ること。建築って、つくっておしまいじゃないんです。たとえば音楽ホールだったら、できてから1年くらいはいい音が響くように調整する。参加した学生は、建築を育てるということの意味が理解できたと思います。

また、今回のワークショップでは6つのグループで作業を行いましたが、あえて学年縦断的なグループを設定しました。1年生から大学院生まで、学年の異なるメンバーを集めたのです。
近年は『デザイン』という概念が拡張してきていて、社会のさまざまな課題を解決するためのデザイン思考が求められています。そうしたデザインを行うためには、他者と対話し、協働することが欠かせません。違う学年のメンバーと一緒に作業することで、新しい時代のデザインの方法を体験できたのではないでしょうか。

ワークショップ終了後も、アイデアはひろがり続ける。
学生たちが感じたこととは?

参加した学生は、どのようなことを感じ、学ぶことができたのでしょうか。

小川汐香さん(3年生)

「たくさんのアイデアを組み合わせていくのが難しかったのですが、4年生や大学院生の先輩が中心になって、異なる意見もうまくまとめてくれました。ワークショップは終わりましたが、先生方の講評を聞いてまた新しいアイデアが生まれたので、ここからさらに発展させていけたらうれしいです。」

武田大河さん(4年生)

「1年生から院生まで、異なる学年のメンバーが集まったチームだったので、それぞれの視点の違いを感じました。全員が発言しやすい環境づくりや、意見がぶつかったときの仲裁など、大学院生の先輩の振る舞いから学ぶことがたくさんありました。それから、妹島先生は柔らかい曲線を描く建物から想像していた通りの方。『ものづくりには、つくった人の内面があらわれる』というのは本当だと実感しました」。

濱直也さん(4年生)

「プレゼンテーションの後に、妹島先生が各グループに対して意見をフィードバックしてくださったんです。それが、想像を超えるボリュームで。こんなにたくさんのことを考えているのかと驚きましたし、勉強になりました」。

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