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1年生が制作に参加。「ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」 1年生が制作に参加。「ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」

アートサイエンス学科
2026/07/24

4月17日から6月15日まで、グラングリーン大阪内のミュージアム・VS.にて、「ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」が開催されました。今回の展示は、アートサイエンス学科の客員准教授である川坂翔先生が所属する株式会社ネイキッド(以下、ネイキッド)が映像表現を担当。過去に千利休や二条城をモチーフとして行われた「NAKED meets」シリーズの一貫として行われ、建築史に偉大な足跡を残すガウディと最先端の映像技術が融合したイマーシブな展示が繰り広げられました。アートサイエンス学科では、この展示に演習プロジェクトを組み込み、一部の映像を学生が制作。プロフェッショナルな現場に参加する貴重な機会となりました。

「NAKED meets」シリーズとアートサイエンス学科のコラボレーション

アートサイエンス学科では、これまで大阪市中央公会堂、あべのハルカスでのプロジェクションマッピングをネイキッドとの協働プロジェクトとして行い、学生たちの演習も組み込まれてきました。学生たちにとっては、初めてプロの仕事を体験する場となり、毎年、多くの学びを得る機会となっています。


今回の「ガウディ没後100年公式事業 NAKED meets ガウディ展」(以下、ガウディ展)は、2024年にスペインのガウディ財団から「日本でイマーシブアートの展覧会を行いたい」とネイキッドに問い合わせがあり、準備が進められてきたもの。当初はスケジュールの関係からアートサイエンス学科の演習に組み込む予定ではありませんでしたが、調整の末、学生のプロジェクト参加が実現しました。

演習には、2025年に入学した1年生15名が参加。これまではコンセプトの立案や絵コンテの制作を学生が行い、映像制作はネイキッド側で行うという流れで演習が進められてきました。今回は、初めての試みとして学生が映像制作まで担当し、Adobe社の映像加工ソフト「After Effects」が使用されました。映像制作のプロが使用するソフトということもあり、当初は学生たちも難易度の高さに苦労していましたが、約1か月の制作期間中に基本的な操作をマスターし、無事に作品が完成しました。

文字が表示されるタイミングや動きをAfter Effectsで細かく調整。コメントを発した著名人の経歴に沿った演出が施された

100年を越えて伝わる色彩と曲線美。学生たちを刺激するガウディの世界

ガウディ展は、2026年1月10日から3月15日まで東京の寺田倉庫 G1ビル、その後、4月17日から6月15日まで、グラングリーン大阪内のギャラリー・VS.で開催されました。6月12日には、プロジェクトに参加した学生の中から5名が川坂先生と共に会場を訪れました。


展覧会では、ネイキッドの映像展示の他、ガウディ財団が保管する貴重な建築模型、建築資材だったタイル、ドアハンドル、家具などのレプリカ、直筆の手記など、貴重な資料を大量に展示。7つのセクションを順に巡ることで、ガウディの生涯、創作の源となった哲学的な思考にも触れられる内容となっています。学生の中には、当初、ガウディの作品や経歴について詳しく知らなかった人もいましたが、今回の演習を通して、その創造性や芸術性に魅了されたという声が多く聞かれました。

映像展示では、ガウディの生涯をつづる物語の他、壁に配置されたガウディ建築の模型に触れると色彩豊かな装飾が現れるプロジェクションマッピングなど体験型コンテンツも充実。学生たちは、建築物の特性に合わせて変化する映像に目を輝かせながら見入っていました。


 ガウディが設計に用いた技法を体験できるコーナーも人気のスポット。作風の大きな特徴となっている曲線美を生み出す仕組みが器具とともに紹介され、来場者の注目を集めていました。ネイキッドは、両端に磁石が付いた鎖で曲線を描き、天井に固定するフニクラ―と呼ばれる技法を現代的にアレンジ。来場者が作ったフニクラ―の曲線が上下反転し、ガウディ建築風の骨組みとなって投影されるデジタル技術を制作しました。学生たちは、デジタルのフニクラ―を操作し、100年以上前にガウディが考案した技術に驚きの表情を見せていました。

ネイキッドが手掛けた映像演出を会場内の随所に配置。学生たちは実際に触れることでガウディの創造性を体感した
ガウディが考案した建築技術・フニクラ―をデジタル化。モニターを操作しながらガウディ建築風の曲線デザインを作り出す
タイルのレプリカなど、ガウディ財団から貸与された貴重な資料も多数展示。芸術性の高い造形に見入る学生たち

展示の終盤では、サグラダファミリアの紹介コーナー、巨大空間でガウディの世界観に没入できるプロジェクションマッピングを経て、学生たちが制作を担当したコーナーがお目見え。本の形状をしたオブジェに、ル・コルビュジエやサルバドール・ダリなど、ガウディを敬愛する建築家・芸術家のコメントが表示され、その影響力の大きさが示されました。コメントした人物の肩書きや経歴に応じて変化するアニメーションが来場者の目を楽しませ、「さまざまなエフェクトを試し、何が合うのか探し当てるのに苦労した」という学生の苦労がみごとに報われました。

サグラダ・ファミリアの紹介エリアでは細部まで精巧に再現された建築模型を展示
三方の壁にプロジェクションマッピングを投影する巨大空間でガウディの世界観を表現。床を歩くとセンサーが反応し幻想的な模様が描かれる仕組みも
展示の終盤では学生たちが制作を手掛けたコーナーがお目見え。多くの来場者が足を止めて見入っていた
学生たちがAfter Effectsで制作した文字のアニメーションにグラフィックが添えられ、コメントの内容がより伝わりやすくなった

アナログとデジタルの融合で、ガウディの世界を表現した今回の展覧会。数々の展示に刺激を受けた学生たちは、最後に自らの感想や創作への想いをメモにしたため、来場者のコメントで埋め尽くされた壁面に貼り付けていました。

 躍動的かつ色鮮やかな建築物で、建築の概念を覆してきたガウディ。サグラダ・ファミリアの完成も目前といわれている中、その圧倒的な芸術性は没後100年を経ってもなお、現代の芸術家やクリエイターに刺激を与え続けています。アートサイエンス学科にとっても新たな可能性を広げる機会となり、今後のネイキッドとのコラボレーションにも期待がかかります。

展示を巡り終え、メモに感想を記入する学生たち。圧倒的な芸術性に感銘を受け次々と言葉があふれる
壁一面に貼られた来場者の感想には、斬新なアプローチでガウディを紹介した展示内容への称賛が多数見られた
川坂 翔
アートサイエンス学科 客員准教授
川坂 翔 先生

今回のガウディ展では、学生たちも制作に参加し、著名人が発したガウディについてのコメントを紹介するコーナーを担当しました。これまでの演習では、学生たちの作業は、コンセプトやストーリー、絵コンテの制作にとどまっていました。しかし、今回はAfter Effectsというソフトを使ってアニメーション制作も行っています。After Effectsは映像の現場で盛んに使われ、操作方法をマスターすればプロレベルの作品を作ることもできるソフトです。しかし、今回の演習では、ガウディが持っていた芸術性、良い作品を生み出すために燃やしていた執念・執着を作品から感じ取って欲しかったので、学生には「単にかっこいいアニメーションを作るのではなく、メッセージを発した人物の背景を理解し、それに基づいた表現を考えるように」と指導し、制作にあたってもらいました。制作期間が短く、当初は慣れないソフトの操作にかなり苦労していましたが、最終的には独自の世界観を表現することができ、大きな手応えを感じています。
現在は、技術の発達によって、誰もが高機能なツールで手軽に映像を制作できる環境が整えられています。アートサイエンス学科もAIの台頭で状況が大きく変わり、サイエンスの知識や技術の習得に時間よりも柔軟な発想やアイデアを身につけることに比重を置くようになってきました。今後、アートサイエンスの分野を目指す学生には、AIの適切な使い方を理解し、出力されたヒントを自分なりに変換、アウトプットする力を育ててもらいたい。それをベースにしたうえで多くの人に作品を見てもらえる場にどんどん進出し、実現力も鍛えてもらえたらと思います。

アートサイエンス学科 1年
森脇 元道 さん

高校生の頃にプロジェクションマッピングに興味を持ち、自分でもやってみたいと思うようになったところに専門的に技術を学ぶことができると知ってアートサイエンス学科を志望しました。入学後は、アートもサイエンスも、自分がイメージしていたよりはるかに幅広い世界があるということを知り、発想力が鍛えられていると感じています。
今回、ガウディのことをあまり知らない状態でプロジェクトに参加したのですが、演習が進むにつれていろいろな作品を見るようになり、芸術性の高さや発想力にすっかり魅了されてしまいました。展示では貴重な資料を数多く見ることができ、ドアノブ一つとっても楽しませる要素があることにガウディの独創性やすごさを感じました。見るだけではなく、体験コーナーで手を動かし、現代的な表現でガウディの作家性を知ることができたのも良かったです。制作を担当した著名人コメントのコーナーでは、After Effectsを駆使し、見る人が飽きないように文字を動かすことに気を使いました。初めて触ることもあり、かなり苦労しましたが、また新しいスキルを身につけられて嬉しかったです。
今後は、プロジェクションマッピングの制作に本格的に取り組みたいと思っています。ガウディ展にもあったような、センサーで反応し、没入体験を深められるような作品を作ってみたいです。