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アニメ監督・博史池畠先生による劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」上映会とティーチイン アニメ監督・博史池畠先生による劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」上映会とティーチイン

映像学科
2025/03/07

2025年1月11日、大阪芸術大学映像学科卒業生でキャラクター造形学科客員教授の博史池畠先生が監督を務めた 劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」の上映会とティーチインが大阪芸術大学7号館の映画館で開催されました。2024年に全国公開された 劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」は、声優とアイドルの活動を両立するハイブリットユニット、i☆Risをアニメ映画化したもの。上映会に出席した学生たちは、そんな同作に関する質問や感想を、池畠先生に積極的に伝えました。

「なぜそうなるのか」と理屈をつけていくことの大切さ

劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」は2024年、i☆Risの結成10周年記念プロジェクトで制作された映画。メンバーの山北早紀さん、芹澤優さん、茜屋日海夏さん、若井友希さん、久保田未夢さんが謎の白いリスに誘われ、「歌」が消えてしまった世界で奮闘する姿が描かれています。制作にあたり池畠先生らは、i☆Risを徹底的に取材。メンバーの魅力をアニメとして表したほか、ライブシーンではメンバー本人によるモーションキャプチャーで動きなどを再現。学生は鑑賞中、ファンタジーとリアルを融合させた物語の世界へどんどん引き込まれている様子でした。


 映像学科の田中光敏学科長が聞き手を担当したティーチインでは、池畠先生がまず「i☆Risを描く以上、肯定的な映画を作ることを意識しました」と心がけたことを口にしました。ちなみに劇中、窮地に追い込まれたメンバーが、「あのときのこんなことに比べたら」と実際にあった苦しい思い出を引き合いにし、ピンチを乗り越える場面が登場。池畠先生は「ファンの人が知らないエピソードを言ってもピンと来ないはず。みなさんが『そういうこともあったよね』と認識が取れているものを盛り込みました」と、取材を緻密に行った上で構成していることを話しました。

映像学科の田中光敏学科長はティーチインの冒頭「ストーリーの展開に見ごたえがあった」と感想を口にした

そんな同作を鑑賞した学生の中には、i☆Risのファン歴7年という人の姿も。その学生から「シナリオ作りで大変だったところ」を質問された池畠先生は、「物語の舞台が『どんな願いでも叶えられる世界』なので、大きなトラブルもそれで解決できてしまう。でもi☆Risが絆や根性で乗り越える場面では願いが叶わないようにし、『なぜ叶わないのか』と理屈をしっかりつけました。鑑賞者から『こうしたらいいのに』とツッコミが出ないようにするためには、理屈と整合性が必要。その点に気をつけました」と説明。

「ファン以外の人が物語に入りやすくするために、ギャグもたくさん入れたのでしょうか」と鋭い質問をする学生の姿も

また、映像作品の監督・演出を務める上でどのような勉強をするべきかという問いに対しては、「大阪芸大の図書館に所蔵されている映画などのレーザーディスクを観ている方は、どれくらいいますか?」と逆質問。その上で「そこでたくさんの映像作品を観てください。そしてその作品のおもしろさを理屈で考え、それらを参考にして作品を作ってみてください。たくさん作ることで演出はきっと上手くなります。あと、映像論の本もできるだけ読んでおいた方がいいと思います」と演出のコツを伝えてくださいました。

「美術や写真の構図は、アニメを作るときのレイアウトに役立つので勉強した方がいい」と説明する池畠先生

池畠先生は、学生時代の制作経験で得られる基礎的な知識やノウハウが、プロの仕事現場でも生かされると言います。逆に「そういう基礎や経験がない人が描いた絵コンテをもとに撮影・編集すると、前のシーンとその次のシーンでキャラクターの位置が違ったりする。つまり、シーンが繋がらないものができることが多々あるんです」と振り返ります。そのために「何でもいいから作品を自分で企画して完成させること。何かを作り上げる経験が、大人になったとき『やって良かった』となります」と改めて強調。第一線で活躍されている池畠先生の説得力ある言葉の数々に、学生たちも身が引き締まる思いになったのではないでしょうか。

池畠先生は「アニメは必ずしもリアルでなくてもいいと思う。誇張した表現であっても“アニメパワー”で見せ切れるので」と持論

キャラクター造形学科 客員教授
博史 池畠 先生

アニメ作品を作る上で、自分が信じているのは「個性が強いキャラクターを置いておけば、自然と話が進んでいく」ということ。これはかつて映像学科で教授をされていた小池一夫先生のキャラクター言論の考え方。もちろん物語のベースはちゃんと作らなければいけませんが、個性が強いキャラクターをそのベースに寄り添わせることで、話はどんどん展開していきます。今回の劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」であれば、やはり主人公であるi☆Risがそれに当てはまります。実際のメンバーも全員個性が強く、「おもしろい」と感じることは抵抗なくどんどんやってくれるタイプ。

逆にみなさんから「もっとシリアスな路線はどうですか」とアイデアを出してくれたり、メンバーの芹澤優さんなんかは「私がメンバーを途中で裏切って敵に回りましょうか」と提案してくれたり。採用は叶いませんでしたが、すごく協力的だったので心強かったです。何よりみんな良い意味でエゴが強く、アニメのキャラクターにしやすい個性の持ち主でした。そうやって自分が小池先生のキャラクター言論を参考にしているように、いろんな理論、理屈を身に付けておくことは非常に大事。アニメを制作・演出していると、声優さん、役者さんから「どうしてこのシーンはこういう台詞になるのか。怒っているんじゃないのか」という風な質問をされることが多い。そんなとき、自分の中で理屈を持っていれば「怒っているように見えるけど、心の中では許しているんです。だけど、表面上は怒っているように見せている。その理由は…」と納得させられる。アニメ作りはそういった状況の連続なんです。たとえ演出面で迷いが出たときも、理屈に沿っていけば割と正しい答えが見つかる気がしています。もう一つ「このパターンをやれば鑑賞者は楽しんでくれる」という自分なりのテンプレートも持っておいた方がいい。私の場合はその一つが、今はあまり使われていない昭和的な表現。テンプレートを持っておくと、迷いが生じたときにやはり頼りになります。ちなみにテンプレートは、作品を自主制作する中で見つかることが多い。ですのでアニメに限らず、学生時代はとにかくたくさんのものを作った方がいい。同時にインプットの部分では質の高い作品を鑑賞し、自分の中にある「作品のハードル」を上げておくことが重要。それが後々、幅広い仕事依頼にも対応できる能力へと繋がりますから。

<作品情報>

劇場版アニメ「i☆Ris the Movie - Full Energy !! -」

公式HP:https://iris.dive2ent.com/movie/

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©API・81P/Full Energy!!製作委員会

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