本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

声優フェスティバル2025 ―声優レボリューション― 声優フェスティバル2025 ―声優レボリューション―

放送学科
2026/01/26

11月30日、NHK大阪ホールにて放送学科声優コースの恒例イベント「声優フェスティバル2025 声優レボリューション」が開催されました。

在学中に開催される発表イベントでは最大規模となる本公演。第1部では学生たちによるパフォーマンスが繰り広げられ、舞台上では日頃の学びの成果がいかんなく発揮されました。第2部では教員とゲストによるトークセッションが催され、プロフェッショナルな視点から声優業界の現状が語られました。

朗読劇やダンスで魅せる「声優=俳優」のパフォーマンス

第1部、まずはO・ヘンリーの原作をベースとし、田中亮一先生が脚本・指導を担当した朗読劇「荒野の王子様」が上演されました。舞台はアメリカ・テキサス州のフレデリックスバーグ。11歳の少女・レナが父親の金策のために採石場で強制労働を強いられる過酷な様子、そして、なりゆきから彼女を救出することになった盗賊団の活躍が描かれていきます。

前半ではレナの苦悩が表現され、後半では憎めないキャラクターの盗賊団がテンポ良く物語を展開。爽快感のあるラストまで一気に駆け抜けました。

続く「君の青空」は、劇団S.W.A.T!の座長・四大海が舞台用の演目として執筆した作品で、中友子先生によって朗読劇にアレンジされました。物語の時代設定は1944年。第二次世界大戦で日本軍が劣勢の中、山形県・駒ヶ岳に暮らす人々の動向が描かれます。東京から赴任し、抑圧的な態度を見せる陸軍中尉、彼と対立するロケット開発の研究者、赤紙が届いたことに怯える兵器工場の職員、サイパン出征で命を落とした夫の妻……など、それぞれの胸の内が迫真の演技で表現され、戦争の愚かさ、そして平和の尊さを訴えかけました。

短期大学部による「近畿戦隊ヨンケンジャー」は、声優コースの講師である永田早紀先生が原作・脚本、渡辺菜生子先生が指導を担当。大阪・京都の2府に対抗心を燃やす兵庫・奈良・和歌山・滋賀の4県がチームを編成し、名所や名物自慢で勝負を挑む様子がコミカルに描かれました。「和歌山のパンダ、中国に帰る」「大阪都構想が否決」など、時事ネタも盛り込んだハイテンションギャグの連発に会場からは笑い声も。最後はさらなる強敵・東京に立ち向かうため、2府4県が手を組むというエンディングで幕を閉じました。

アテレコ実習は田中亮一先生が指導を担当。オーディションを勝ち抜いた学生16名が登壇し、ロボットアニメのアテレコに挑戦しました。主人公の少年や、彼をサポートするヒロインの少女、また不思議な雰囲気を持つもう1人のヒロインに、主人公の父母など様々なキャラクターが登場し、学生たちは鍛え上げた演技力でそれぞれ人物像を表現しました。

伊倉一恵先生が指導を担当する「外郎売りパフォーマンス」は、「声優フェスティバル」では恒例の演目で、今回は映像学科とコラボレーション。放送学科のスタジオで撮影されたオープニング映像では、「外郎売り」をうまく言えない学生が地獄に落とされ、「リズムに乗せてやると楽しいぞ」という閻魔大王のアドバイスを受けるというユーモラスな内容で、そこから人気のJ-POPを「外郎売り」に置き換えた歌唱と軽快なダンスのパフォーマンスがスタート。最後には映像で伊倉先生が登場し、お墨付きを得たことで現世に帰還するという物語が展開されました。

映像学科制作によるオープニング映像は、パフォーマンスの導入として舞台手前の紗幕に投影されました。

プロフェッショナルが語り合う声優業界の未来

第2部では教員とゲストによるトークセション「声優レボリューション」が催され、放送学科長である榊原廣先生、真地勇志先生、平野正人先生、伊倉一恵先生、渡辺菜生子先生、スペシャルゲストとして「地獄先生ぬ~べ~」「鬼滅の刃」「ONE PIECE」などに主要キャストとして出演する置鮎龍太郎さんが登壇。

まずは、榊原先生が昨年まで声優コースの客員教授であった野沢雅子先生が文化功労者に選出されたことを報告。声優業界では初となる快挙、そして日本文化の発展に寄与した栄誉を称え、場内は祝福ムードに包まれました。

トーク本編では、序盤に日本のコンテンツ市場の現状を紹介。映像系の売り上げが7兆円規模で、特にアニメ関連が右肩上がりであること、海外では鉄鋼産業を越えるほどの勢いであるという報告に会場からは驚きの声が上がっていました。このような状況の中、声優たちの活動はどう展開されるべきかをテーマとした議論が交わされ、歌や映画、ドラマなど、アテレコ・アフレコにとどまらない活動領域の広がりについて熱いトークが繰り広げられました。

ゲストの置鮎龍太郎さんについては2021年の大河ドラマ『青天を衝け』で正親町三条実愛(おおぎまちさんじょう・さねなる)役として出演した際のエピソードが紹介されました。この出演は、置鮎さんが舞台公演を行っていることを思い出したNHKの番組スタッフが声をかけて実現したとのこと。演技の方法については、舞台と映像で見せ方が大きく異なり、『青天を衝け』では、微細な表情や動きの表現が求められたそうです。

また、置鮎さんが特に注力していたというラジオでの活動についても言及。これまで数々の番組でパーソナリティを務めた経験を振り返り「リスナーからの手紙やファックスでの反応がすぐに得られる双方向性が楽しかった」と思い出を語っていました。

終盤では声優業界におけるSNSのあり方についての話題が取り上げられ「情報発信や交流の場として活用している」「まったく利用しない」「管理人に一任している」など、置鮎さんや教員それぞれの運用方法が示されました。また、不適切発言での炎上を避けるため、若手声優については事務所が制限をかけるケースもあるという事例が紹介されました。

榊原先生がAIに最近の声優の動向について質問したところ、「SNSでの発信や多様なメディアでの展開、グローバル化など新しい動きが始まっている」という回答が得られました。

最後は、声優業界を歩む上で「大阪芸術大学での学びがどのように生きるか」という話題になり、総合芸術大学の充実した環境、他学科と幅広く交流が持てる点などがメリットとして挙げられました。また、在学生や声優コースへの進学をめざす高校生に向けては「喜怒哀楽のある生活を送り、感情表現を豊かにすること」(真地先生)、「人前で話すのが苦手でも、演じることでスイッチを入れられるようになる」(平野先生)、「作品制作では、苦しんだ分、その先に楽しいものがある」(伊倉先生)、「声優は声だけでなく体全体で表現する仕事である」(渡辺先生)、「演じることで人生が豊かになり、たくさんの人とコミュニケーションを持つことが作品制作や社会生活に生かされる」(置鮎さん)など、熱いエールが寄せられました。

「レボリューションは時流に乗るだけでなく、自分の中で起こすことが重要」という榊原先生の言葉で締めくくられた2025年の「声優フェスティバル」。声優業界では現在、マルチタレント化やAIの発展で環境が大きく変化し、今後はさらに幅広いスキルが求められると予想されます。出演した学生にとっては、今回の経験がプロへの道を歩む道しるべとなることが期待されます。

放送学科 教授
真地 勇志 先生

「声優フェスティバル」は、学生たちにとって在学中に一度しかない大舞台で、今回もみんなが朗読、歌、ダンスなど、全身を駆使したパフォーマンスに挑戦しています。これは声優コースの設立以来、「声優である前に俳優である」という教えにもとづいて実践しているもので、学生たちも見られることを意識することで自然と背筋が伸び、歩き方も変わって、練習前よりも格段に俳優らしさが出てきます。この公演でお客様の反応を直に感じると舞台への興味が高まる傾向があり、顔出しでの映画・ドラマ出演など、声優のマルチタレント化が進んでいる現状では、こういった取り組みが、ますます大切となっているように感じます。中には、「声だけの芝居を追求したい」という人もいて、それも否定はしませんが、せっかく総合芸術大学で4年間学ぶのだから充実した環境をフルにいかし、自分を磨いてもらえたらと思います。
VTuberの台頭やAIの進化など、社会やカルチャーの変化が目まぐるしい中、私たち教員も今後の声優業界のあり方を考えなければいけません。特にAIは前回の「声優フェスティバル」のトークセッションでも話題になったのですが、良くも悪くも今後の声優業界に大きな影響を与えるものになると考えられます。そんな時代だからこそ、これから声優として頑張りたいという人は、個性や情感のある演技を確立させることが必要となってきます。特に高校生は、喜怒哀楽のある生活を送ってほしい。アニメやゲームだけに没頭するのではなく、日々いろいろな友人と大きな声で笑ったり、怒ったり、泣いたりしていると感情表現は自然と身についてきます。そのうえで映画や文学で名作と呼ばれるものにも触れて感性を養うことも大事です。朗読などでは、こういった引き出しをどれだけ持っているかが重要になってきます。時代小説や古典文学を読んで普段使わないような言葉遣いを覚えるのもおすすめですよ。

放送学科 3年
南谷 匡城 さん

今回の「声優フェスティバル」では、朗読劇「君の青空」で、陸軍第十三科学研究所の職員・瀧下涼介を演じさせていただきました。瀧下はロケット開発に情熱を注ぎ、東京からやってきた陸軍中尉と対立を経て打ち解けるなど、戦時下の社会でめまぐるしい変化に巻き込まれ、戦争の恐ろしさや非情さを経験します。演じるにあたっては、自分の夢や好きなことを意識することで瀧下の思いを伝えられるように心掛けました。技術面でもさまざまなハードルがあったのですが、他の人のセリフをよく聞くようにし、会話のテンポ感がおかしくならないように気を付けました。
僕は昔からアニメやゲームが好きで声優という仕事に憧れを持つようになり、進路を考えた時に声優コースの存在を知って進学を決意しました。入学後は自分の想像よりも遥かに幅広い学びを得ることができ、驚きの連続でした。特に岩鶴恒義先生から「『き』の発音が悪いことを、なぜ『き』の発音が悪くなってしまっているか」という理由とともに説明していただいたことが印象に残っており、今も日常生活で意識しています。
在学中、残りの期間でさらに表現の幅を広げ、身体を使った芝居にも積極的に取り組みたいと思っています。卒業後は、声優はもちろん、舞台でも活躍できる俳優をめざし、プロとしての経験を積んでいきたいと思っています。

放送学科 3年
北 彩乃 さん

今回の「声優フェスティバル」では、朗読劇「荒野の王子様」、「外郎売りパフォーマンス」に出演させていただきました。「荒野の王子様」ではレナ役を3人で演じました。レナは父親に採石場へ売り飛ばされ働くかわいそうな女の子ですが、グリム童話に憧れ、きっと王子様が助けに来てくれると信じています。夢見る少女な部分と工場での辛さに耐えられない苦しい部分について、場面ごとに3人で擦り合わせや理解をし、その上でテンポ感や移り変わりの表現を大切にしました。「外郎売りパフォーマンス」では、オープニング映像に閻魔で出演。コメディ要素を表現するため、意地悪な性格を示すセリフまわしやテンポ、カメラ前での動きを考えるのが楽しかったです。ダンスは1曲目の振り付けと隊形、踊りのキレにこだわりました。いずれの演目もチーム内で意見を交わすことによって理解や発見があり、それが良い作品作りに繋がったと思います。
私は小学5年生の頃から声優になりたいと思い、高校では演技の勉強をするために演劇部に所属していました。進路について考えたときに母親が声優コースのことを教えてくれてオープンキャンパスや体験授業に参加。学校の機材でアフレコ体験をしたことで、「ここでもっと勉強したい!」と思いました。入学後は、「声優である前に俳優である」という教えのもと、体全体を使った表現に取り組むことで、初めて声優としての表現もできるということを学びました。卒業後はもちろんプロの声優をめざしており、その先の目標として魔法少女系の作品への出演やアイドル活動もできるようになれればと思っています。

Photo gallery