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DJ KOOが大阪芸大で教鞭をとる? いや回すって!? DJ KOOが大阪芸大で教鞭をとる? いや回すって!?

演奏学科
2021/10/25

2021年4月、「DJ KOOが大阪芸術大学客員教授に就任」というニュースが駆け巡った!DJ KOO氏といえば、今の10代にとってはバラエティタレントという認識かもしれないが、ひと世代前にとってはヒットサウンドを連発したTRFのリーダーで日本におけるDJの草分けのひとりであり、現在に至るまでダンスミュージックシーンの第一線にいる実力者。同氏が演奏学科ポピュラー音楽コースで講義をするという。音楽教育の現場でなにか大きなゲームチェンジが起こっているぞ!


Photo: Naoki Ishizaka

Text: Takashi Watanabe

一緒に学ぼう! Yeaaaah!

「いやー、うれしかったですね、ホントに」


開口一番、DJ KOO氏は客員教授のオファーを受けた時の驚きと喜びを表した。


「DJを40年間やり続けてきた自分が、体感してきたリアルタイムのダンスミュージックとその時代背景を若い世代に伝えていくことは、大きな意味を持っている。僕がDJとして全力疾走してきた期間は、ちょうどダンスミュージックの歴史と重なるんです。単に歴史を年表でたどるのではなく、体感を自分の言葉で伝える。その時代の音楽の技術的な話だけでなく、その音楽によって人や社会はどのように変わっていったかも話す。それは、僕だからできることだと思うんです。若い人たちはそれを知ったうえで、新しい発想と切り口で次世代につながる創作をしていってほしい」


講義の具体的な中身は構想中だが、教室にDJ機材を持ち込み、実演しながら音楽的分析やその時代背景などを解説していければ、と考えている。


「音を出しながら、バンドの時代から打ち込みの音になるとココが変わったとか、TRFの曲を紐解いて、『BOY MEETS GIRL』のパーカッションは実は全部和楽器を使っていて、だからビートにこんなに表情が出るとか、実際的な話を展開できたらいいかな。学生にとっては、演奏者の視点だけでなく、例えばマーケティングに生かせそうとか、表象文化論的にはどうかとか、必ず個々の興味に刺さる内容になると思います」


この数年、DJカルチャーはジャパンカルチャーと共に世界に発信されるようになったことも重要。この潮流についても、最前線の事情を伝えたいと話す。


「アニメや映画、ファッションなど他のカルチャーと結び付き、魅力を引き出す作用がDJカルチャーにはあります。日本の最新カルチャーは世界の注目の的です。3年前にフランスで開催されたジャパンエキスポに参加した時には、DJとして日本舞踊とのセッションをしたのですが、これが大ウケ。同時期から国内では、盆踊りの櫓にDJブースを設置してみんなで踊るという活動を日本盆踊り協会と一緒にやっていて、大反響となっています。DJカルチャーが何百年と続く日本の古典芸能や独自の風習とミックスされることによって、日本発のダンスミュージックが生まれる。ロックならイギリス、ダンスコンテンポラリーならアメリカが最先端とされ、海外に行くといつも西洋コンプレックスに肩身の狭い思いをしてきた者としては、今の状況をとても誇らしく感じています」


一方的に教えるのではなく、先生と学生の関係で互いに刺激し合いながら、根底に意識と志をもち、大きく育んでほしい。その成長をサポートすることこそ最大の務めだという。


「演奏の技能やパフォーマンス力は練習とライブの手応えを積み重ねることで確実に向上します。しかし、どれくらい向上するかは、その根底にある『意識と志』の大きさによります。大きな土台があれば、テクニカルな部分の成長も大きくなり、さらにその上には新しい発想も広がっていく。決して焦らずに『意識と志』を大事にしてほしい。今、世の中に必要なものは?と問われれば、ワクチンなどたくさんありますが、どんな時代でも人間に絶対に必要なものと問われれば、僕は『喜びと感動』と答えます。大阪芸大で学生たちが世の中に『喜びと感動』を創り出す人材になるために、僕はできる限りのお手伝いをしたいと思っています」

●DJ KOO(ディージェイ・コー)

1961年東京都生まれ。トータルCDセールス2100万枚を超えるTRFのDJ、リーダー。ソロとしてはダンスクラシックからEDM、J-POP、アニソン、ゲーム音楽まで幅広い音楽をDJスタイルにてプレイ。2017年から日本の“お祭り”“盆踊り”とコラボしたエンターテインメント型ジャパンカルチャーを国内外に発信。TRF25周年の2018年、マレーシアの人気YouTuber・Nameweeと楽曲『BOY MEETS GIRL 2020』を発表。2019年には日本政府が主導するアフリカ国際会議TICADの前夜祭で、アフリカ盆踊りを実現。2020年にはJ-POPオムニバス『オドレーJAPAN!』をリリース。