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チームラボによるティーチング!「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」 チームラボによるティーチング!「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」

アートサイエンス学科
2023/01/13

2022年11月24日、アートサイエンス学科1年生の学生を対象に、チームラボの山田剛史氏による講義および、長居植物園で夜の常設展として開催されている「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」でのティーチングが行われました。この日は、3回にわたり実施された授業の第2回です。第1回は11月17日、講義でチームラボのアートコンセプトについて説明を受け、第3回は12月1日に、プロジェクション作品の作り方などソフトウェアの作品を中心に30分の講義および長居植物園でのティーチングが行われました。

Digitized Natureプロジェクトの1つ
「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」

チームラボの山田氏が登壇し、「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」のコンセプトについて説明しました。

チームラボは、アート・サイエンス・テクノロジー、そして自然界の交差点を模索している国際的なアート集団です。自然そのものが自然のままアートになる「Digitized Nature」というプロジェクトではこれまで、京都で「下鴨神社 糺の森の光の祭 Art by teamLab」や、佐賀で「チームラボ かみさまがすまう森」などが行われました。「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」は、そのプロジェクトの1つです。

自然の持つエネルギーを描くという発想

「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」は、チームラボによる長居植物園の個性を生かした光のアートプロジェクトとして長期にわたり開催。広大な敷地を誇る日本有数の植物園を舞台に、草花や木々が季節と共に移り変わる様子をアート空間に変貌させた類を見ない常設展です。約24万㎡という広大な敷地の中に、約1,200種類の植物が生い茂る植物園を自然や人々の存在によってインタラクティブに変化するアート空間へと変貌させた夜間限定のこの展示は、2022年7月のオープン以来、子どもから大人まで楽しめる場所として、人気を博しています。

「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」について山田氏は、草木そのものや、園内に生息する鳥のふるまいを使い、吹く風や雨、そこにいる人々のふるまいの影響を受けてインタラクティブに変化する作品群からなる、夜の野外ミュージアムだと話し、「作品は、例えば、植物園の中に⽣息している⿃や草木などの⽣き物、そしてそれらを⾒に来る⼈の流れや振る舞いによって変わっていくので、⿃が来やすくなる環境や、動植物がそこに生息し⽣態系を維持できるような環境を作ることが必要です。植物園として機能していくことを⼤前提とし、その中に⼈や他の⽣き物が⼊ってくることで作品が影響を受けていくため、草木や鳥がなくなると、作品は消えてなくなってしまいます」と続けました。

改善を繰り返しアップデートし続ける「チームラボボール」

講義では、光球体「チームラボボール」の初期から現在までのアップデートの歴史や、同様のモジュールを用いた長居植物園に展示されている「Ovoid(卵形体)」と「ランプ」の作品について説明され、制作方法や仕組みについて、制作初期の基盤などを交えて紹介されました。

 チームラボが「チームラボボール」と呼ばれる光源を持った球体を初めて作成したのは2009年。身近な材料を使用したプロトタイプのものからスタートし、そこから無線制御できるようにしたり、スピーカーを内蔵したり、改善やバージョンアップを繰り返していったそうです。長居植物園に展示されている作品も、常にさまざまなアップデートが加えられていると言います。

山田氏は、「チームラボが作品を制作する時は、自分たちが作りたいものが決まったら、まずは必要なものなどを最低限そろえ、自ら作成し改善を繰り返していきます。アイデアマンがいて、さっと1回で形にしているのではなく、チームラボボールにしても、11年くらいの年月をかけてアップデートしながら作品を作り上げるスタイルで行っています」と語ります。

自然や来場者の影響を受けながらインタラクティブに変容するアート空間の仕組みを学ぶ

講義後は「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」が開催されている長居植物園に移動し、実際の作品を見ながら説明が行われました。Ovoidが多数設置された「ツバキ園の呼応する小宇宙」や、「自立しつつも呼応する生命の森」「大池に浮遊する呼応するランプ」を中心に移動しながら解説されました。Ovoidの形状や素材の違い、どのような技術を使用しているか、来場者や動物がOvoidに触れることによって色が変化する仕組みなどが語られ、山田氏は、学生からの質問に丁寧に回答。オープン前にどのように施工されたのか、それらを集約する仕組みにも触れました。秋の季節限定展示の「生命は闇に浮かぶまたたく光 – コスモス」のエリアでは、暗闇の中でピンクに色づくコスモスの壮大な風景を紹介。また、それぞれが自律し大池に浮遊するランプについては、人が近づくと色を変えて強く輝き音色を響かせる、その仕組みについて説明し、冬は期間限定で単色からカラフルな物に変わるなど常にアップデートされていることを話しました。


 「自然そのものが自然のままアートになる」というプロジェクトを実践している、精鋭のアート集団チームラボのメンバーによる授業は、学生たちにとって貴重な経験となりました。

チームラボ 採用チームリーダー
山田 剛史 氏

国内外のさまざまな大学で話をさせていただく機会がありますが、大阪芸術大学アートサイエンス学科の学生たちは、モチベーションが高く、1年生の時から前のめりに興味を持って授業に参加してくれていることを実感し、やりがいを感じます。
チームラボでは、正解や不正解などの一元的な考え方では判断がつかない問題を乗り越えていくためには創造性が重要であると考えています。自然そのものが自然のままアートになる「Digitized Nature」というプロジェクトとは別に、「共創」というコンセプトで、他者と共に何かを創ることによって、1つの作品を創り上げるという体験型の作品制作を行っています。他者と協力し、身体を使って1つのものを作る活動をすることで、想像力が育まれる作用となる可能性が高いと感じています。
学校という場所は社会に比べて、そういったことがやりやすい環境だと思います。学生のうちには、好きな作品を制作して展示するなど、時間や仲間的なリソースが無限に近くあるはずなので、そういった活動を1つでも多く行ってくれるきっかけに、本授業がなれていたらうれしいです。

学生たちがチームラボのアート作品のようなものを作りたいと思った場合、もちろんスキルも要しますが、必要なものは何か、どのような勉強をしたら良いのかなどを知ってもらうことをゴールとして授業を実施しています。仕組みなど技術的な面を知ってもらった上で作品を見て触れてもらうことで、将来的に作品を制作する学生たちのアイデアの足しになるのではないかと考えています。受動的に情報を取り入れる座学だけでは受講生のみなさんの実になりづらいのではないかと考えているので、これからもできるだけ体験型の授業にしていきたいです。
今後は、もう少し学年が上がり、実際にプログラムを書くなど好きなことをある程度表現できるようになったり、アートに関するものづくりの強度などが高くなってきた際、そのタイミングで学生たちが協力し合って1つの作品を制作する機会を設けることができたらうれしいです。情報をインプットするだけではなく、実際に作品を作ってみて、それをアップデートしていくことに意味があると思っています。

アートサイエンス学科 1年
冨田 玲生 さん

個人的にチームラボの作品がものすごく好きで、授業の一環としてチームラボの方々の講義を受けることができるということを知り、アートサイエンス学科に入学を決めました。今回の授業でまず感じたのは、チームラボの技術を自分たちのような学生に教えて良いのかという驚きです。学んだことを今後自分の作品にどうつなげていくのかを考えながら、現地での解説では、できるだけ先頭で1つひとつコンテンツの仕組みを頭に入れながら先生の話に耳を傾けました。座学よりも現場に足を運んだ方が、モチベーションが上がります。景色はもちろん、1つのコンテンツにおいても360度見渡すことができ、全てが目に入るので、作品に気持ちが入りやすかったです。
高校の時から映像を学んでおり、インタラクティブアートやコンテンツに興味を持っていました。在学中に作品を制作し、自分の出身地である地方など、まだインタラクティブコンテンツが広まっていないところで披露する活動を行いたいと思っています。将来は自分もチームラボのような会社に入って活躍したいです。
発想力については自分の弱みと認識しているので、さまざまな美術館を訪れたり、プロのアート作品に触れたりして、もっと知見を深めていきたいと思っています。アートサイエンス学科では、チームラボも含め、第一線で活躍するプロのアート集団と共に何かを作り上げるチャンスもあります。インプットできる量が、他の大学と比べてものすごく大きく変わってくると思うので、そこが最大の魅力です。

アートサイエンス学科 1年
南 綺音 さん

9月に知人と「チームラボ ボタニカルガーデン 大阪」を訪れましが、その時は細かい部分に目を向けることはなく、仕組みなどについては憶測で観賞していました。今回、作品について制作に携わった方に直接お話を聞いたことでとても記憶に残ったので、学年が上がった時にこの経験が何かしらつながっていくと考えています。この授業に参加して本当によかったです。
私は、美術系の高校に通っていましたが、自分1人で取り組む作業が多く、チーム制作をする機会がありませんでした。大阪芸術大学に進学した理由の1つとして、チーム制作ができることが挙げられます。第一線で活躍されているチーム制作の大先輩であるチームラボによる授業など、参考になる話を直接聞けることは大変ありがたいです。
また、チームラボの作品は、代表/アートサイエンス学科客員教授の猪子先生が幼いころ自然に触れる環境で育った経験が根本にあると伺ったことがあります。幼い時の経験は普通に生活していたら忘れがちになるけれど、生きていく中で、物事に対する考え方や感じたことは、特に表現活動を行う上で決して忘れてはならないことで、それが発想力につながると思います。自分が感じたことなどを作品として残していきたいです。
私は、絵を描いたり写真を撮ったり、音楽制作など幅広く興味を持っていたので、大学に進学する際、1つに絞りきれずにいました。そんな時、先輩から大阪芸術大学のアートサイエンス学科なら全て叶えることができると教えてもらいました。得意分野が異なる人たちが集まるこの学科は、社会に出た際の環境に近いのではないかと思います。バックグラウンドの違うクラスメイトからもたくさん刺激を受けるので、とても良い場所です。大学生活でいろいろな人と関わり、視野が狭くならないようにして社会に出てからもこの経験を役立てていきたいと思っています。

アートサイエンス学科 1年
峰松 結衣 さん

私は、チームラボのような大規模なアート作品が好きで、アートサイエンス学科では、チームラボの方々による講義を受けることができるということもあり、大阪芸術大学に進学しました。何の知識もなく作品を見るのと、チームラボの方による講義を受けてから作品を見るのとでは、だいぶ印象が違いました。初めてチームラボの作品を見た時は、きれいな部分だけを見て素晴らしいという感動だけでしたが、講義の中で制作のプロセスなどを聞き、改良に改良を重ねて現在の作品が生まれたことを理解することができました。展示場に並ぶキラキラしたアート作品だけでなく、舞台裏や社会に出ることの難しさ、人と関わることの大切さなどを知ることもできました。憧れのチームラボと少しでも関わることができてうれしいです。
アートサイエンス学科のように「アート×テクノロジー」を学べる場所は少ないです。業界のトップや第一線で活躍している方々など、先生の顔ぶれがとにかくすごくて、アドバイスはもちろん、最新設備を貸してくれたり、学生たちがやりたいと思うことを形にするための協力も素晴らしいと感じてます。また、技術力よりアイデアの方が大切だと、よく先生から伺います。私も共感していて、誰も思いつかないような発想があれば、多少技術が足りなくても面白い作品が制作できると思います。
私は、自分のペースを乱されるのが苦手なので、1人で物を作るのが好きですが、チームラボの山田先生から世界規模の作品を作るためには、チームとして人と関わり作り上げる必要があるということを学びました。アートサイエンス学科は特に個性的な人が多く、学生たちの本気でやりたいことにきちんと寄り添ってくれる大学はなかなかないと思います。無駄に時間を過ごすくらいなら、好きなことをして生きた方が楽しいです。とても充実した学生生活が送れています。

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