群読では「外郎売りパフォーマンス」が上演されました。「外郎売り」とは歌舞伎演目のひとつで、薬売りが「透頂香(とうちんこう)」(通称:ういろう)という薬の効能や、それにまつわる由来を語るお話です。飲めば胃・心・肺・肝がスッキリするうえに口がよく回るようになるということで、一粒飲んで実演する場面では、発音が難しいさまざまな言葉や早口言葉のようなものが登場します。
パフォーマンスは、「外郎売り」の長ゼリフにオリジナルのストーリー映像をつけて、ステージのスクリーンに映すかたちで発表されました。
映像は、男子学生が自室ベッドに横たわりながら、片手でスマートフォンを見ているところから始まります。スマホ画面には「十八番外郎座」による「全国統一祭二〇二〇」という催しの告知画像が表示されています。キャッチフレーズは「次代円斉(※「ういろう」づくりの本家本元の親方)は君だ」。その後テレビを観るも、さっき見た催しの告知が頭に残っていたため、まるで白昼夢を見ているかのような体験をする――。このようなストーリーでパフォーマンスを展開しました。
男子学生がテレビをつけると、子供向け番組や野球中継、クイズ番組、テレビショッピングなど、ザッピングをしているかのようにいろいろな番組が登場します。それぞれの番組で出演者に扮する学生たちは衣装をまとい、身体全体で演じながら、外郎売りのセリフをそれぞれの役の声に乗せて表現していました。
また、放送学科ならではの「伝える」ノウハウも随所にちりばめられていました。クイズ番組やテレビショッピングなどでは、番組らしいテロップを画面に表示したり、外郎売りのセリフをそれぞれの番組にマッチした方法で字幕スーパーとして流すなど、観る側を飽きさせない仕掛けが学生たちのパフォーマンスをいっそう引き立てました。