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プロムナードコンサート2021 プロムナードコンサート2021

演奏学科
2021/11/09

「大阪芸術大学 プロムナードコンサート2021 大阪公演」が、2021年8月25日と31日の両日、大阪市内で開催されました。

開催日ごとに内容が異なる2公演で、25日にはオーケストラコンサートがフェスティバルホール(北区中之島)にて、31日にはポップスコンサートがサンケイホールブリーゼ(北区梅田)にて、それぞれ行われました。

 プロムナードコンサートとは、本来は公園などで開催され、散歩しながら、または立ったままで聴くことができる音楽会のことをいいます。最近ではポピュラーな作品を演奏する音楽会において、広くこの名が用いられています。

オーケストラで響く
なじみのある楽曲たち

オーケストラコンサートには、演奏学科の学生を中心に構成された大阪芸術大学管弦楽団と大阪芸術大学混声合唱団が出演しました。

指揮は日本を拠点に世界レベルで活躍する演奏学科教授・大友直人先生が、ソリストは同学科川井郁子教授(ヴァイオリン)、小林沙羅准教授(声楽・ソプラノ)、今川裕代准教授(ピアノ)、橋爪伴之教授(トランペット)、藤盛祐輔講師(ヴァイオリン)など、現在も自身の音楽を追求し続ける、大阪芸術大学が誇る教員陣が務めました。また、コンサートマスターは名古屋フィルハーモニー交響楽団・日比浩一さんが役を担いました。

演奏されたのは合計11曲で、プロムナードコンサートの名にふさわしい楽曲が目白押しでした。歌劇「ウィリアム・テル」序曲より『スイス軍隊の行進』※1や「タイスの瞑想曲」※2などのクラシック音楽のなかでもよく耳にする作品から、映画「スターウォーズ」組曲より『メインテーマ』※3やアニメ映画・交響曲「宇宙戦艦ヤマト」※4など多くの人たちの心に残る名曲まで、多彩なラインアップのプログラムです。

演奏がはじまると、弦楽器や木管・金管楽器、打楽器など各楽器の美しい音色はもちろん、オーケストラ特有の多彩な楽器による一糸乱れぬ演奏から発せられる、豊かな響きが会場全体をつつみます。

夏の全国高等学校野球選手権大会の大会歌である「栄冠は君に輝く」※5では、大阪芸術大学混声合唱団が登場しました。楽曲の冒頭では、演奏学科声楽コースの大学院生2名がアカペラを披露。身体全体から発せられる2つの声は溶け合い、フェスティバルホールの大きな空間に響きました。そしてオーケストラによる伴奏とともに合唱団がステージに上がり歌が始まります。行進曲ならではの明快なリズムに乗せた歌声は力強く、まるで観客席へエールを送っているようで、聴いていて元気が出てくる一曲となりました。

また、大序曲「1812年」※6は曲調やリズムが次々と変化していき、その展開が観る側を曲の世界へ引き込んでいきました。

絡み合うビオラとチェロによる美しくもどこか寂しげな主旋律と旋律的伴奏。あるときは勇ましく金管楽器の音が響き、またあるときは安堵を感じさせる優しいヴァイオリンの調べが会場全体へ広がっていきました。

曲のフィナーレでは、観客2階席を使った演奏や大砲の発射音を取り入れた演出も加わります。オーケストラという指揮者と何十人もの演奏者による集合体が、一つの音楽をつくり出していくさまは圧巻でした。その迫力のある音圧に触れたとき、音楽は耳だけで聴くのではなく、体感できることを再認識した会場は、高揚感で埋め尽くされていました。

時代を超えて広く親しまれる
ポピュラーミュージック

ポップスコンサートでは、演奏学科ポピュラー音楽コースと短期大学部メディア・芸術学科ポピュラー音楽コースの学生たちによる15のバンド・ユニットの演奏が繰り広げられました。

ジャンルもバラエティーに富んでおり、1980年代の「青い瞳のエリス」※7から最近の「Not the End」※8に至る幅広い年代のJ-POPSをはじめ、R&Bの「If Ain’t Got You」※9やビッグバンドによる映画「ロッキー」から『GONNA FLY NOW Theme From“ROCKY”』※10、このほかにもジャズ/フュージョン、ニューミュージック、ロック、プログレッシブ・ロックの楽曲が演奏されました。

オリジナル曲で参加したのは、ギター専攻3年生2人によるインストゥルメンタル・アコースティック・ギターデュオ「たしなみストリート」です。披露した『雨男の帰り道』※11では、アコースティックギターならではのナチュラルで温かいサウンドが鳴り響きます。軽快なテンポのブギ(boogie)のリズムに乗せて、ちょっと切ないながらも聞きやすいメロディーが、聴く側を惹きつけていました。

また、女性ボーカルを含む2年生3人と4年生1人からなるバンド「カサブランカ」は、家入レオ「lost in the dream」※12を自分たちでアコースティックアレンジして熱演。跳ねたリズムと素朴なアコースティックサウンドが融合した音の上で、ボーカルが自由自在に声を操るように、あるときはパワフルに太く、あるときは静かながらも、くっきりと芯のある歌声で詩の世界を表現していました。

 

夏の終わりのある日。いくぶん過ごしやすくなった夕方に公園を散歩していたとき、偶然、音楽会に出くわし、つい足を止めて聴き入ってしまう――。今年もそんなプロムナードコンサートとなりました。

※1 歌劇「ウィリアム・テル」序曲より『スイス軍隊の行進』(作曲:G.ロッシーニ)

※2 「タイスの瞑想曲」(作曲:J.マスネ)

※3 映)画「スターウォーズ」組曲より『メインテーマ』(作曲:J.ウィリアムズ)

※4 交響曲「宇宙戦艦ヤマト」(作詞:阿久 悠、作曲:羽田 健太郎)

※5 「栄冠は君に輝く」(作詞:加賀 大介、作曲:古関 裕而、編曲:三浦 秀秋)

※6 大序曲「1812年」(作曲P.チャイコフスキー)

※7 「青い瞳のエリス」(作詞:松井 五郎、作曲:玉置 浩二)

※8 「Not the End」(作詞:安田 レイ、作曲:永澤 和真)

※9 「If Ain’t Got You」(作詞作曲:Alicia Keys)

※10「GONNA FLY NOW Theme From “ROCKY”」(作曲:BILL CONTI、編曲:Jay Chattaway)

※11「雨男の帰り道」(作曲:天倉 康介、編曲:たしなみストリート)

※12「lost in the dream」(作詞:家入 レオ、西尾 芳彦、作曲:西尾 芳彦、編曲:カサブランカ)

演奏学科 学科長
三原 剛 先生

大阪芸術大学演奏学科では、プロムナードコンサートを含め、1年を通して多くの演奏会を実施しています。会場もフェスティバルホールやサンケイホールブリーゼなど、プロも使用する一流のホールで行われます。
私たちは、これら一流のホールを一つの教室として考えています。どのように空間を響かせるのか。どのようにお客さんが反応するのか。また学生自身がステージで演奏している間に、どれだけ多くの人がバックヤードで仕事をし、支えてくれているのか。これらがすべて、学生の個々の音楽にかかわってきますので、実践さながらの授業として、さまざまなホールでの演奏会は非常に意味があると思います。
プロムナードコンサートは、学外も含めて広く、大阪芸術大学に関心を持っていただいている方々に聴いていただきたい演奏会です。
大阪芸術大学は15学科ありますが、音楽系の学科以外の学生のなかには、クラシックやオーケストラの演奏を聴いたことがなかったり、音楽自体にそれほど興味を持っていない人もいます。私たちが学び、追及している音楽を、そうでない人たちに普及していくことも一つの勉強ですので、このプロムナードコンサートで「どこかで聴いたことがある曲だな」とか、「すごくかっこいいな」と感じてもらい、音楽に興味を持ってもらえればと思います。
本番を経験した学生に期待することは、物おじせずに頑張ってほしいということです。演奏会における表現は、身体も自身の音楽も含め、自分のすべてをさらけ出すことに等しいです。そこで「ちょっとでもよく見せたい」と思うのは大切ですが、それが行き過ぎるあまり、今の自分を隠してしまうことがあります。これでは本末転倒で、体験したことをどんどん自分のなかにインプットし、いいところも悪いところも全部、アウトプットしていくことがその人の個性になっていきます。発表の場での失敗を恐れずに、それぞれの才能を発揮してほしいと思います。

演奏学科 声楽コース 3年
前田 彩音 さん

新型コロナ対策として、マスクを着けて練習を重ねてきました。本番に向けての練習で感じたのは、マスクで歌うということがとても難しかったということです。
私は空間で自分の声がどう響いているかを聴きながら歌います。しかしマスク越しだと、返ってくる自分の声が勝ってしまい、自分の声が空間でどう響いているのか把握しづらかったです。それと同時に、歌詞のことばが聴く人に伝わっているかも分かりませんでしたので、合唱団のほかの人たちと相談して、ことばをもっと意識して子音を立てて歌うなど、自分たちの歌が伝わるように工夫をしました。
去年の授業で先生が「今はマスクを着けなくてはいけないけど、これを外したときは歌声は倍になってるよ」とお話ししてくださいました。当時の私は、大学で勉強できる期間とコロナ禍が重なっていたこともあり、なかなか先生の言葉は耳に入りませんでした。でも先生方の熱心な指導のおかげで、少しずつですが今の時期だからこそ、マスクを着けていないときの2倍、ことばや子音を意識して発声するなど、プラスに考えて勉強取り組むようになりました。
実際にフェスティバルホールで歌ってみたら、「バンッ」と声が出て、全員の響きが聞こえてきました。少人数編成の合唱団でしたが、オーケストラにも負けない声が出てたと思います。先生のおっしゃった通り、倍の声がマスクを通して出てるように感じましたので、とてもうれしく感じました。
音楽とか芸術がないと、人の心は追いつめられると思います。芸術が後回しにされるときでも、私にできるのは音楽です。音楽で人の心を動かしたい、というモチベーションで今後も過ごしていきたいと思います。

演奏学科 管弦打コース 4年
矢島 満宣 さん

フェスティバルホールのステージで実際に楽器を吹くと、響きはもちろん、解放感というか、すごく気持ちがよかったです。このホールは日本の中でもすごいホールだと私は思いますが、ここで吹けるのはとても幸せなことですし、誰もができるわけではない、貴重な体験ができたと思っています。
トランペットは中学・高校の吹奏楽部で経験していましたが、大学に入るまで専門の先生についたことはありませんでした。大学に入ってから金管楽器の先生に「音楽は結局、指揮もピアノやトランペットなどの楽器も、全部歌が伴う」ということを教わりました。それまでは楽器の操作だけで頭では何も考えずに吹いていましたが、それ以降、楽器のパート部分を頭のなかで歌い、自分がその曲をどう吹きたいのかをイメージするよう心がけています。そしてイメージが固まったら、それを楽器に移す。これで私のトランペットは変わりました。今までうまくいかなかった音色や音程などが、イメージを伴って吹くことでいろんなことができるようになりました。たとえイメージ通りに吹けなくても、歌に戻ったり、イメージし直したりしていますね。大学に入って、自身の表現の幅は格段に広がったと思います。
将来は音楽の先生になりたいです。経験上、部活の先生の厳しさに委縮して、怖くて吹けなかった思い出があります。そうではなくて、失敗してもいいから「まずは自分が楽しんで、自分のしたい音楽をするべき」ということを伝えたいです。それをするためには自分が楽しまないとダメだと思うので、これからいくつか本番がありますが、そうした機会をしっかりと楽しみたいと思います。

演奏学科 ポピュラー音楽コース ギター専攻 3年
天倉 康介 さん

自分の活動ではライブハウスみたいに小さなステージで演奏することが多いのですが、大阪芸術大学演奏学科のコンサートで使用する、サンケイホールブリーゼのようにステージも客席も広くて、本格的な照明も備わっている空間の雰囲気には、いつも圧倒されます。これまでに演奏学科のほかのコンサートで大阪市中央公会堂や難波Hatchなどで演奏の機会をいただきましたが、毎回ステージの大きさやその独特な雰囲気に飲み込まれそうになります。ただ、だんだん慣れてきたところもありますので、ほかではできない、いい経験をさせてもらっていると思います。
授業で、先生にリズム感について話していただいたことがあります。「本当に(リズムに)ノッているときは腰から身体が動く」と教わりました。リズムを腰で感じることにより腰から身体にリズムが伝わり、ギターなら伴奏でもソロでも、カッティングでもアルぺジオでも、ずっと同じノリを続けることができるということです。先生に言われて初めて、できていなかったことに気がつきました。最近は習得できつつあるのか、自分の演奏も安定してきたように思いますね。
ポピュラー音楽コースは、自分が能動的に動けば動くほど先生からアドバイスをもらえたり、いろいろ経験できるところだと思います。演奏の授業では私はしっかり練習して、自分のなかの100点の演奏をぶつけたうえで先生にアドバイスをお願いするようにしています。たくさんの指摘を受けることもありますが、それは全部、自分では気づいていないところばかりですので。自分の演奏を先生にみてもらえるというのは、とても大きなことだと思います。

演奏学科 ポピュラー音楽コース ボーカル専攻 2年
三好 咲弥花 さん

もともとバンド形式だった曲をアコースティック調にアレンジして演奏しました。編曲は自分たちで行ったのですが、私自身初めての試みでしたし、個々の楽器について詳しいわけでもありませんので苦労しました。ですので、メンバーに自分のイメージを伝えたり、積極的に意見を出してもらうためにコミュニケーションをとりやすい環境づくりを大事にしました。
私を含める2年生3人と4年生1人の編成でしたが、特に先輩がいることで「言いにくい」ということにならないように心がけましたね。結果、どんどん意見が出たので、バンドとしていいサウンドに仕上がったと思います。
ボーカルのレッスンで、先生から「自分が一番伝えたいことを持たないと、聴く側に伝わらない」と指摘されたことがあります。感覚で歌ってたところもありましたので、歌詞をじっくりと読み直して、詩の持つテーマを理解するようにしています。詩のテーマから頭に浮かぶ絵とか写真みたいなものをイメージして歌うと、自分の感情も乗りやすいし、聴いている人にも伝わっているのではないかと思います。
ポピュラー音楽コースの一番良いところは、音楽に向き合う設備や環境の整い方がすごいところです。私はボーカル専攻ですので、個人練習では声出しをしていますが、大きな声を出しますので家ではとても練習できません。ですが、学校に行けばたくさん練習スタジオがありますので、練習場所に困ったことはないですね。4年制の大学でこれだけ設備に力を入れているところはあまりないと思うので、そのようなところがすごく魅力的と思います。