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「POP WAVE LIVE 2025」大阪芸大と大阪芸大短大部の学生バンドが白熱ライブ 「POP WAVE LIVE 2025」大阪芸大と大阪芸大短大部の学生バンドが白熱ライブ

演奏学科
2025/09/30

大阪芸術大学演奏学科ポピュラー音楽コースと大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科ポピュラー音楽コースの学生たちが一緒に創り上げる音楽イベント「POP WAVE LIVE 2025」が8月19日(火)、大阪・Zepp Nambaにて開催されました。同イベントは学生たちが学年の垣根を越えてバンドを組み、オーディションを経てステージでパフォーマンスを披露するもの。今回は12組が出演し、日頃の学びやそれぞれの個性を生かした演奏で観客を沸かせました。

音と音楽のプロフェッショナルになることをめざし、音楽の歴史、歌や楽器演奏の技術について学んでいる大阪芸大演奏学科と短大部メディア・芸術学科。「POP WAVE LIVE 2025」はそんな両学科の学生たちが、身につけてきた力を存分に発揮する場になりました。

1組目の一回生ゴスペルは演奏学科ポピュラー音楽コース1年生で構成され、ゴスペルでの歌唱を軸にしながらも合間にラップパートをはさむなど多彩に歌唱。2組目の芸短帝国はアコースティックギターの音色の渋い味わいが印象的。冷や汗うどん!は「はっ」と息を吸って歌い出す瞬間から楽曲の世界観が作り込まれていました。続くほうき星はボーカルの演奏学科3年生・中村桃子さんが歌詞の一つ一つの言葉を大切にするように歌い上げ、エレサンライズはヘビーかつ攻撃的な轟音で鑑賞者を熱狂させました。6組目の満月 band setは今回唯一のオリジナル曲での参加で、ボーカルの演奏学科4年生・山本満月さんの静から動へ移り変わっていく演奏表現が特徴的でした。

そしてイベント後半。OUA BIG BANDが軽快なギターカッティングやグルービーなベースラインなどを溶け合わせた心地良い演奏を聞かせると、福田 GOD 匠はフロントマン的存在のギタリストである演奏学科3年生・福田匠さんによる、まるでギターが歌を歌っているかのような演奏でインパクトを与えました。Hoiはレトロなムードが漂う歌唱を中心とするダンサブルなナンバーでオーディエンスの気持ちを弾ませ、ウィリウォンカ倶楽部はベース、ドラム、ピアノの3つの楽器の音色を通して会話をしているような演奏で楽しませました。またCaramel POPCORNは平井堅さんの人気曲「POP STAR」をジャジーにアレンジして楽曲の新たな魅力を開拓し、トリのSacchin Princess Mind♡は演奏学科3年生・村上彩楽さんが可愛らしいプリンセスの衣装でありながらハードなドラムをプレイするギャップで驚かせました。

そんな各組のパフォーマンスの前後には、司会を担当する演奏学科ポピュラー音楽コースの森川美穂先生と学生たちによるミニトークも実施。芸短帝国のボーカル・北井志保さん(メディア・芸術学科2年生)は「このバンドで初めて音を合わせたときはボロボロの状態でしたが、こんなに成長できたんだなって」と自分たちのパフォーマンスを振り返り、満月band setの山本満月さんは「心がときめくことに挑戦して、新たな自分になって、いろんな方に音楽を届けたいです」と今後のアーティスト活動の展望を語りました。

Zepp Nambaを熱気で包んだ、12組のパフォーマンス。しかし学生たちの歌唱や楽器演奏を見ていると、今回のこの大きなステージとイベントはまだまだ通過点であることが実感できます。学生生活の中でより高い技術と音楽理論を身に付け、音や音楽のプロフェッショナルをめざして飛躍を遂げていくのではないでしょうか。

トップバッターの一回生ゴスペルは観客も巻き込んでパフォーマンス
キーボードやピアノの奏者として7組で出演し、多彩なジャンルの曲を弾いた疋田真菜さん
激しいギターサウンドでオーディエンスを引き込んでいったエレサンライズの藤原晃成さん
出場した12組中、唯一のオリジナル曲での参加となった満月band set
森川美穂先生と学生たちによるミニトークでは、各バンドの裏話や衣装の話などが披露された
学生たちは本番ギリギリまで、森川美穂先生らのアドバイスに耳を傾けた
12組のエキサイティングなパフォーマンスに、オーディエンスのテンションも最高潮に
演奏学科 ポピュラー音楽コース 教授
森川 美穂 先生

今回の「POP WAVE LIVE 2025」は個性的なバンドが特に多い印象で、将来が楽しみな学生がたくさん出演しました。その出演バンドのほとんどはカバー曲を演奏しました。カバー曲の難しさは、オリジナルの域をなかなか越えられないところ。演奏者の頭にはどうしてもオリジナルのアーティストの印象がチラつくもの。それを打ち消すには、とにかく練習あるのみ。その点で学生たちは日々、努力を重ねて自分たちらしい演奏を見せてくれたと思います。またカバーは、自分で作った歌詞やメロディではないからこそ、曲に込められた意味をより理解・解釈し、観客に向けて表現する必要があります。学生たちには「さまざまな楽曲性を知るために、カバーもやった方がいい」と教えています。また、自分らしい演奏をしたり、歌ったりするためには周りの学生を意識しすぎないことも大切。私は1985年に歌手デビューしましたが、同期には錚々たるアイドルやバンドがいました。「生き残ることの難しさ」を強く感じながらこれまで活動してきました。SNSでいろんなものが見えすぎるこの時代に「周りを気にするな」とは無理な話。ただ、自分がなにをやりたいのかがブレなければ、周りのことは気にならなくなります。そして、その自信の裏付けになるのが「経験」です。私は劇団四季の舞台に出演させていただいたことがあります。そこでご指導いただいた浅利慶太先生との出会いは大きな経験となりました。浅利先生は、稽古場で出演者に「台詞をとにかくしっかり伝えなさい。そうしないと鑑賞者の感動を生むことはできない」とおっしゃっていました。たしかに鑑賞者は、台詞を中心にして物語を追います。私は、ボーカリストをめざす学生によく「いろんなパートがある中で唯一、言葉を持っている自覚を持ちなさい」と話しますが、それは浅利先生からご指導いただいた経験から得たもの。ですので、学生たちにはいろんな人・国・文化と交流し、その経験を自分の音楽活動に生かしてほしいです。

演奏学科ポピュラー音楽コース ギター専攻 3年生
藤原 晃成 さん

僕は高校1年生のときからやっているギターについて学びたいと考え、まず短期大学部メディア・芸術学科ポピュラー音楽コースに入学しました。短期大学部の良さは先生との距離の近さ。多くの先生に音楽の細かい部分を教えていただくことができました。その中で「より良い表現をするためにはどうしたらいいのか」と音楽理論をもっと深く学びたくなり、大阪芸大演奏学科に編入しました。編入してまだ数ヶ月ですが、自分が成長していることがはっきり分かります。その成果を見せるために「POP WAVE LIVE 2025」に臨み、秘めた想いを爆発させられるプリニさんの楽曲「Electric Sunrise」を選んでカバー演奏しました。ほかにも僕は、ロックバンドのヒトリエのように激しいサウンドを全身から表現するようなバンドが好きで、そういった楽曲でお客さんの共感と衝動を呼び起こしたいと思っています。そんな自分のギター演奏の特徴の一つが、指で弦を叩いて音を出すタッピング奏法。演奏の見栄えも良いですし、聞いている人の印象的に残る音を出すことができます。今後の大学生活では、ギタリストとして活動するための道を作りたい。卒業後、どんな仕事に就いたとしても音楽は続け、いつかそれで生活できるようになりたいです。

演奏学科 ポピュラー音楽コース ピアノ専攻 3年生
疋田 真菜 さん

「POP WAVE LIVE 2025」では7組のバンドでキーボードやピアノを担当しました。どのバンドも演奏曲のジャンルがバラバラでしたが、練習時から「明日はこの曲に専念して、次の日はこれ」と自分でスケジュールをしっかり立てて、ひたすら練習しました。その上で本番では「ここで高音域のフレーズを弾いたらもっと格好良くなるかな」とアドリブっぽいことを入れたりもしました。担当した7組のバンドの中でもウィリウォンカ倶楽部では、超絶技巧ピアニストであるミシェル・カミロさんの曲「Tropical jam」のカバーに挑戦しました。タッチが軽いエレクトーンでは高校時代から弾くことができていたのですが、生ピアノとなるとすごく難しくて。ただ、あえてテンポをちょっとずらしてグルーブ感を作るなど、練習を重ねる中で自分なりの表現を見つけていきました。そんな私が影響を受けた奏者が、T-SQUAREの元キーボーディスト・和泉宏隆さん。和泉さんの、自分の感情を聞いている人にしっかり伝えるような演奏をリスペクトしています。私は音楽の楽しさを熱く語れる自信があるので、子どもから大人の方まで「音楽ってこんなにおもしろいものなんだ」と教えられるような道をめざしたいです。