2025年8月29日より全国公開される映画『メイソウ家族』の舞台挨拶付き上映イベントが8月26日、大阪・テアトル梅田にて実施され、出演者の戸田菜穂さん、永野宗典さん、三浦理奈さんと共に、大阪芸術大学舞台芸術学科ミュージカルコース4年生の秋庭悠佑さん、同作の監督をつとめた映像学科の熊切和嘉先生と金田敬先生、塚本英邦副学長が登壇。舞台挨拶の司会は、同作に出演するFM802のDJで放送学科出身・板東さえかさんが担当しました。
『メイソウ家族』は、大阪芸大の映像学科の学生たちが映像業界のプロとタッグを組んで、ドラマや映画を作る「産学協同プロジェクト」として制作。ごく平凡な家庭が静かに奇妙に壊れていく様子を描いた「YUI」、未知の生物との出会いによって運命が狂っていくカップルを映し出す「MONOS」、心に傷を抱えた少女と彼女の個別授業を受け持つ教師の交流を綴る「UMI」の三篇で構成されています。
塚本副学長はまず、同作について「学生たちがたくさん出ていて、また先生たちから学びながら撮影を行っています。商業ベースで全国上映され、どういう風に広報し、どれだけのお金が戻ってくるのかなどを実践している作品です」と説明します。
それぞれの脚本の基になったのは、大阪芸大に所蔵されている過去の学生たちのシナリオ。それらを熊切先生、金田先生が学生たちと共に練り上げ、脚本として完成させました。「YUI」「UMI」を監督した熊切先生は「「YUI」のシナリオは完成度が高く、金田さんと取り合いになったほど。でも(映画として)やるにはまとまりすぎていた気もしたので、逆に破綻させることを意識しました。「UMI」のシナリオは決して完成度は高くなかったのですが、直していったら映画的な作品になっていくと思いました」、「MONOS」監督の金田先生は「「MONOS」は一風変わった話。私が、自分では絶対に企画しないネタですが、こういうチャンスをいただいたので「やってみよう」と選ばせてもらいました」と制作経緯を思い返しました。
そのようにして出来上がった脚本を読んだ感想について、「YUI」に出演する戸田さんは「不思議な台本で、不思議な人も出てくるので、どういう映画になるのかなって思いました。とてもエキセントリックで、ハイになるようなシーンがあります」、同じく「YUI」出演の永野さんは「歯車が噛み合わなくなってきた4人の家族の様子がすごく丁寧に描かれています。素直におもしろいなって思いました」と魅力的な内容だったと話します。
三篇すべてに出演している三浦さんは、「(三篇いずれも)不思議なストーリーだなって。撮影していきながら『こういう物語なんだ』と分かっていきました。「MONOS」はものすごくパンチが効いていて、(演じていて)わくわくしました」と振り返ると、「MONOS」で三浦さんの恋人を演じた秋庭さんは「芸大らしい脚本だなって思いました。僕が演じた恵一はコミカルで、僕と似ていないところがほとんどありません。大好きな役です」と語りました。
また、スタッフの大阪芸大生たちと撮影現場を共にしたことに関しては、戸田さんは「みなさんすごく真剣でした。私がエキセントリックな芝居をしているときの、学生さんたちの視線が新鮮でした」、永野さんは「普段参加している撮影現場と、快適さは変わらなかったのでびっくりしました。学生さんたちも、未来を見据えたキラキラした瞳をしていました」、三浦さんは「みなさん、真剣に取り組んでくださって、自分も頑張ろうと喝が入って刺激的でした」と印象を口に。
大阪芸大の「産学協同プロジェクト」で完成した映画が全国公開されるのは、これが初めてのこと。秋庭さんは「天にも昇る気持ちです。自分の名前が残るように4年間を過ごそうと思っていたので、それが実現できてすごく幸せです」と喜びを爆発させます。そして舞台挨拶の最後に熊切監督が「純粋な気持ちで映画を撮ることができました。どうぞ楽しんでください」と呼びかけると、金田先生は「大阪芸術大学の舞台芸術学科には『おっ』と思う学生がいっぱいいます。もっと外に向けて発信したらいいのに、という学生もたくさんいます。今回は秋庭くんをキャスティングしましたが、これが一つのきっかけになってほしいです」と学生たちの今後のがんばりに期待を寄せました。