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新しいスポーツを創造から具現化する作品展「NEW SPORTS ART」 新しいスポーツを創造から具現化する作品展「NEW SPORTS ART」

アートサイエンス学科 / PickUP, イベント
2022/10/03

「NEW SPORTS ART 新しいスポーツの楽しみ方を体験しよう アートサイエンス学科 学生作品展」が、2022年2月26日(土)・27日(日)ATC 大阪南港アジア太平洋トレードセンター ITM棟10階デザインギャラリー(大阪市住之江区南港北)において開催されました。この作品展は同日程で行われた、プログラミングや電子工作など、子どもたちがテクノロジーを遊びながら学ぶことができる体験型ワークショップイベント「キッズテックエキスポ」(企画・運営:一般社団法人i-RooBO Network Forum、株式会社キッズプロジェクト)内で催されました。作品を出展したのはアートサイエンス学科2年生の学生たち。授業「アートサイエンス作品制作」において『子どもたちのためにこれからの社会に対応した新しいスポーツの楽しみ方』という課題に基づいて制作されたもので、学生自身が発表を希望した11作品が披露されました。

アートと最先端テクノロジーで自分のやりたいことをカタチにする

学生たちは大学入学後から、プログラミングや3DCG、AI、電子工作などの基礎を一から学び、スキルを積み重ねてきました。またアートサイエンス学科では、レーザーカッターやUVプリンター、基板加工機など、最新のデジタルファブリケーション機材を駆使しながら制作に取り組むことができます。2年生となり、観客が参加することで完成する芸術作品「インタラクティブアート」の基本となる構想力・デザイン力について学ぶ授業「アートサイエンス作品制作」では、課題に対して、学生たちがグループに分かれ、自分たちのアイデアを具体化させていきます。2021年11月には、それぞれが進めている制作物の試作品の発表があり、合計33グループが参加し、進捗について説明しました。学生らは問題点についても言及し、担当教員による実践的で的確なアドバイスに、真剣な面持ちで耳を傾けていました。

初めての体験に声を上げて楽しむ子どもたち

作品会場には2022年1月の最終授業で発表された学生たちの力作が集結しました。

作品「消しロワ~無限パンチ編」では、画面上の机の上に置かれたプレーヤーが操る消しゴムを使って、進みたい方向に矢印が来たタイミングで目の前の木の箱を叩きます。その強さで進む力を調節しながら、対戦相手の消しゴムに体当たりします。机の上から相手の消しゴムを落とせば勝ちというもので、子どもたちは力の加減をすぐにマスターし、ゲームの世界に没頭していました。

また、作品「なげまくれ!なげまくら」は、修学旅行で宿泊する旅館での消灯時間後に繰り広げられる「まくら投げ」を題材にしたゲームです。その操作は子どもたちに馴染みのある一般流通しているゲームのコントローラーを使用します。どれだけまくらを敵チームに当てることができるかを競うというもので、分かりやすい設定が子どもたちに受け入れられ、作品展内でリピーターが絶えない作品の一つとなりました。

ほとんどの作品が体験型ゲームのため、会場のあちこちから、実際にゲームに参加している子どもたちやそれらを見守る保護者の一喜一憂する声が上がり、どの子どもたちの表情からも笑みがこぼれていました。

机を叩いて消しゴムを飛ばし合い、最後まで机の上に残った人が勝ち「消しロワ~無限パンチ編~」
手に持ったコントローラーを動かして、まくらを投げて戦う「なげまくれ!なげまくら」
マンカラというゲームを元に、寿司のコマを移動させて点数を競う「すしマンカラ」
アートサイエンス学科 特任講師
岡本 高幸先生

アートサイエンス学科に入学してくる学生のなかには、自分のやりたいことが明確にある学生もいれば、明確ではなくても「何かをやりたい」という学生もいます。私たち教員としては、学生がやりたいことを大事にしたいと考えています。
1年生は技術を習得する期間、3、4年生になると自身の作品の研究を進めながら、オリジナリティの高い作品を生み出していく期間になります。今回の作品を出展した2年生は、自分の適性を知るためにいろいろ試すことができる期間で、アートサイエンス学科のカリキュラムにおいても非常に重要な時期となります。
この「アートサイエンス作品制作」という授業では、基本的には4人程度のグループワークで作品をつくります。グループを組まずに個人で制作する学生もいますが、映像やプログラミングなど、得意な技術が異なる学生がグループになることで、できあがる作品の幅が広がります。同時に、自分が “できること・できないこと” を制作を通して認識しますので、今後のステップアップにもつながります。
今回の作品制作では、構想から最後には形として結実するまで、一通りやりきる経験を得て欲しいです。作品展示でつくったものをほかの人に体験してもらうと、思っていた以上の成果や、失敗が見えてきます。自分の作品への客観的な感触を、今後の制作における自信につなげていってほしいです。
アートはいろいろな物事・現象を取り扱い、モチーフにするように、ある意味曖昧な分野です。サイエンスは体系的に積み上げられた過去の物事に対して、どのように成立しているのかを明確にする。アートサイエンス学科は曖昧なものと明確なものを一緒にしたような学科で、すごく可能性があると思います。

アートサイエンス学科 2年生 「消しロワ~無限パンチ編~」制作
熊田 裕亮さん

机の上に消しゴムを置いて、指で弾いて対戦相手と消しゴムを落とし合う「消しバト」を、スマートフォンゲームでできたら面白いのではないか?
そう思ったのは、大学入学後、個人的に何かゲームをつくってみようと考えたときです。しかしいろいろ調べてはみたものの、手をつけるまでには至らず、案として残っていたときに、思いがけず今回の課題にめぐり合いました。
制作中はうまくいかないことの連続でした。センサーで感じた衝撃をArduinoを経由して、ゲームを作っていたUnityに数値で送るのですが、なかなか繋がりません。自分たちで調べ、原因を考えましたが分からず、いろいろな先生に質問しました。その中でプログラミングの先生が以前に似たケースを経験されていて、「このコードを使うといいよ」とアドバイスをいただき、ようやく繋げることができました。
アートサイエンス学科は親しみやすい先生が多く、質問にもどんどん答えてくれます。たとえすぐに答えがでなくても、一緒に楽しく悩んでくださるような、学生との距離が近い先生が多いと思います。
ちゃんとしたゲームをつくったのは今回が初めてですが、個人的には今後もスマホで簡単にできるようなゲームをつくりたいと考えています。Unityやいろいろなツールを用いて「作品を完成させた」という経験があると、次にゲームをつくり始めようと考えたとき、悩むことなくその一歩を踏み出せる自信のようなものを、今は感じています。

アートサイエンス学科 2年生 「なげまくれ!なげまくら」制作
和田 大樹さん

3人でグループを組み、それぞれが役割分担をして作品をつくりました。僕以外の2人はUnityでのゲームづくりや3Dモデルづくりなど、それぞれの得意とする分野を担当し、とくに得意分野のなかった僕は、ゲーム上で「まくらを投げる」操作を行うためのコントローラーを使ったシステムづくりを担当しました。
あまり詳しくない分野を担当したので、自分で時間をかけて調べるのはもちろんですが、先生にもよくお話を聞きに行きました。この制作の授業には4人の先生がいらっしゃるのですが、各先生の専門分野がプログラミングやビジュアル・デザイン、音楽など、それぞれ異なっていたことが僕にとってとても大きかったです。週ごとに先生が変わるのではなく、4人の先生が毎週授業に参加されていたこともとても頼もしく感じました。これら先生方の専門知識の多さ・深さ、範囲の広さはアートサイエンス学科ならではではないでしょうか。
今回は作品の制作だけでなく、展示をするにあたり、設営にも参加しました。今回作成したゲームは旅館が舞台ですので、ゲームをより楽しんでもらうために、畳柄の敷物を敷いたり、枕のようなクッションを置いたりして、場の雰囲気づくりにも取り組みました。初めての経験でしたが、このような空間づくりが「面白い」と気づいたことも、自分にとって収穫だったと思います。
アートサイエンス学科はいろいろなことに触れさせてくれる授業が多いので、今後の作品づくりの方向性については迷っているところですが、今回の制作で一から勉強したことを武器にして、これから取り組んでいきたいですね。