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2022 大阪芸術大学 特別演奏会 2022 大阪芸術大学 特別演奏会

演奏学科
2023/04/20

2022年12月8日、大阪市北区のフェスティバルホールで、「2022 大阪芸術大学 特別演奏会」が開催され、演奏学科・管弦打コースの学生からなる大阪芸術大学管弦楽団と声楽コースの学生からなる大阪芸術大学混声合唱団が出演しました。

 曲目は、ワーグナー作曲の「ニュルンベルクのマイスタージンガー」、モーツァルト作曲「レクイエム ニ短調 K.V.626」。演奏学科教授・大友直人先生の指揮のもと、白熱の演奏が繰り広げられました。

会場は世界的知名度を誇る音楽の殿堂

特別演奏会の会場であるフェスティバルホールは、1958年に開業。国内外の名だたるオーケストラが名演を繰り広げ、「天井から音が降り注ぐ」と絶賛されるほど高い評価を獲得してきたコンサートホールです。2012年のリニューアル後は、長年の歴史を受け継ぎつつ、最先端の技術を取り入れ、より多面的に音を楽しめる空間として音楽ファンに愛されています。歴史に名を残す音楽家たちと同じ舞台に立つことは、学生たちにとってプロフェッショナルな現場を見るまたとない機会。演奏家としても経験値を大幅に伸ばすものであり、教員たちも熱意を込めて指導にあたりました。

世界的に活躍する大友直人先生が指揮を担当

指揮を務めたのは、NHK交響楽団や日本フィルハーモニー交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団など、数々の主要オーケストラで腕をふるってきた大友直人先生。ハワイ交響楽団をはじめ、国外のオーケストラにもたびたび招かれるなど、日本を代表する指揮者の一人として世界的な活躍を見せています。

1曲目に演奏された「ニュルンベルクのマイスタージンガー」(以下、「マイスタージンガー」)は、ワーグナー作曲による3幕からなる楽劇。16世紀、ドイツのニュルンベルクにおいて、職人の親方が歌や芸術分野にも秀でていなければいけないという習わしを題材にした作品です。今回の特別演奏会では第1幕への前奏曲が演奏されました。力強い「マイスタージンガーの動機」での導入から、「愛の情景の動機」へと続いていく優雅な流れは、オープニングにふさわしい華々しさを演出し、聴衆を魅了しました。

大阪芸術大学が輩出したソリストたちの熱演が光る「レクイエム」

続いて演奏された「レクイエム ニ短調 K.V.626」(以下、「レクイエム」)は、モーツァルトが最後に作曲した作品。制作中にモーツァルトが没したため、後に弟子であるジュスマイヤーの補筆によって完成されました。こちらの楽曲では、秋本靖仁先生(テノール)、当校大学院の博士課程を修了し、幅広いジャンルで活躍する太島優希さん(アルト)、現在、大学院在学中の上野舞(ソプラノ)さん、そして、演奏学科長である三原剛先生(バリトン)がソリストとして出演。大阪芸術大学の卒業生で、現在、最前線で活躍する声楽家たちが集結し、会場いっぱいに響き渡る伸びやかな歌声を聞かせました。

総勢143人の合唱団による導入から、上野さんのソプラノ、三原先生のバリトン、秋本先生のテノール、太島さんのアルトと、次々に紡がれる響きは、イントロイトゥス(入祭唱)の 「レクイエム・エテルナム」から、コムニオ(聖体拝領唱)の 「ルックス・エテルナ」まで、全14曲をドラマチックに展開。多彩な歌声にオーケストラも情熱的な演奏で応え、約1時間に及ぶ演奏時間を駆け抜けました。

終曲後は割れんばかりの拍手が鳴り響き、演奏中の緊張感から一転。穏やかなムードがステージにあふれました。みごとに演奏をつとめあげた学生たちの表情からは、安堵や達成感など、さまざまな想いが感じられ、大きな感動が会場を包み込みました。フェスティバルホールという大舞台をめざして練習を積み重ねてきた学生たちにとって、今回の特別演奏会は、プロとの共演という大きな学びを得る機会となりました。

演奏学科 教授
橋爪 伴之 先生

大阪芸術大学の演奏学科では、さまざまな大舞台での演奏経験を得ることができます。この特別演奏会も、日本を代表するコンサート会場・フェスティバルホールに立てるということで、学生たちも懸命に練習に励んできました。個人練習をしっかりやってもらい、4日間の全体リハーサルで仕上げるというプロのオーケストラに近いスケジュールの中、ギリギリまで調整を重ね、最良のコンディションで本番を迎えることができたのではないかと思います。
今回、1曲目に演奏した「マイスタージンガー」は、勇壮な曲調の中にワーグナーの細やかな工夫が盛り込まれ、全員でアンサンブルを合わせるには、とても良い教材になりました。「レクイエム」は、合唱が入ることによってバランスの繊細さが生まれ、シンプルながら、まったく隙がなく、バランスやリズムの捉え方が非常に難しいというモーツァルト楽曲の魅力を存分に感じられます。バセットホルンやバロックティンパニといった貴重な古楽器を使用することで、学生たちもまた一つ、大きな学びを得ることができたと思います。
コロナ禍を経験し、辛い状況をくぐり抜けた学生たちが再び舞台に立てるようになったことは、我々にとって感慨深いものがあります。卒業後は、みんな音楽との接し方もさまざまかとは思いますが、どうか、今日の演奏会の経験を将来の音楽人生に生かしてほしいと思います。

大学院 研究生
上野 舞 さん

フェスティバルホールには合唱等で出演させていただく事が多かったのですが、今回、モーツァルトの「レクイエム」で初めてソプラノソリストとして出演させていただけることに。最初にお話をいただいた時は、夢ではないかと思いました。私は入学当初、演奏学科・ポピュラー音楽コースに在籍していたのですが、合唱の授業でモーツァルト「レクイエム」に出会いました。その後、声楽コースに転入したのですが、1年生の時に出会ったこの作品にとても思い入れがあり、ソリストとして歌わせていただくにあたってのプレッシャーは多大なものでした。緊張が解けず、コンディションの調整に苦労しましたが、これもかけがえのない経験と思い、練習に打ち込みました。合唱では声を一つにすることに注力しますが、今回は、ソリストとして自分という楽器を響かせる難しさを実感しています。
大学院では表現についての研究を行っています。高校時代に演劇をしていたこともあり、自分にしかできない表現は何なのかと模索しています。興味を持ってくださる方もいるので、発表しようと準備を進めています。演劇・ポップス・クラシックという、これまでの自分の経験と、これから学んでいくことで、独自の表現を確立していければと思っています。

演奏学科 4年生
尾﨑 遼 さん

フェスティバルホールでの特別演奏会には1年生の時から出演させていただいています。学生だけでは演奏できない壮大な楽曲を、客員の方々と一緒に取り組めるのは本当に貴重な機会。大友直人先生が指揮を振ってくださるのも大きな魅力です。「マイスタージンガー」は、1年生のオーケストラスタディで毎週演奏して、譜面もほとんど暗記しています。「レクイエム」は、オーケストラのオーディションでも、まず課題となる必須科目。全世界のトロンボーン奏者が毎日練習するといっても過言ではないソロパートがあり、自分にとって、なじみ深い2曲を演奏できたのは光栄です。両曲とも客員の先生方とデュオでソロを吹かせていただいたのですが、弦楽器や歌が入ると、自分のイメージが全体のイメージに合っていなかったことに気づくなど、出演するたびにオーケストラで演奏することの難しさを感じます。
トロンボーンは中学時代から始めました。高校で吹奏楽部に所属していた時に大阪芸術大学の先生に指導していただいたことで、もっと専門的に音楽を学びたいという気持ちが強くなり、入学を決意。演奏学科では、理論など座学をはじめ他の楽器についても学ぶことができ、音楽的な視野が大きく広がりました。将来は演奏者として歩んでいけたらと思っていますが、トロンボーンは競合が多い楽器です。プロの現場でやっていくためにも、呼吸するぐらい自然に、ノーミスで吹けるように練習を重ねていきたいですね。