鵜飼:学生のみんなでゼロから意見を出し合って企画を作り上げていったので、それが一つの形になってとても嬉しいです。しかもオープニングセレモニー後、体験してくれる人たちがたくさんいて「作って良かった」と思いました。
上田:作るのは本当に大変でした。でもいろんな方が楽しそうにインタラクティブコンテンツに触れてくれていて、「作品を体験してもらうことって、こんなに嬉しいものなんだ」って感激しました。
泉谷:まず本の絵が映し出され、それにタッチすると物語が始まり、体験者がその世界に入り込んでいくという構想は当初からあったものでした。逆に「ピアノを置いて、それを弾いてもらう」という元々のアイデアはハードルが高いことが分かり、練り直しが求められました。そこで「さらに良いものにするのは、どういう風に変更すればいいか」と悩みました。
上田:ほかにも難しかった点は、どの程度、各自の意見や思い入れを取り入れながら一つの作品として完成に近づけていくかというところ。私は、映像に浮かび上がる楽器、建物、場所などの絵を担当しましたが、どれくらい描き込むべきかなどは学生同士でしっかり話し合う必要がありました。たとえばお花畑が出てきますが、何本くらい花を描くかはそれぞれのイメージがあったので、そういった考えをまとめていくところに難しさを感じました。
鵜飼:私はプログラミング担当でした。今回のインタラクティブコンテンツで言うと、本棚にある赤い本に触れると次の動画が表れるという展開面や、本が開き切ったらそこから楽器が出てくるエフェクトなどの制作を行いました。ただ、これまでほとんど使ったことがないソフトだったので、まずそれに慣れるのが大変で。ですので、いろいろ勉強になりました。
泉谷:自分の担当は、このインタラクティブコンテンツの体験の仕方などを案内するパネルやポスターの制作でした。作品の入口になるものなので、責任重大。ただ、どうやったらその掲示物を見てもらえるか、いろいろ模索しました。意識したのは「その日の一人目のお客様をどのように獲得するか」ということ。ガイドを目にして一人目の体験者が現れたら、その様子を見て、二人目、三人目と続いていくはず。川坂先生からは「文字で読ませるよりも、パッと見て興味を持ってもらうことが大切。作品内容、体験の仕方も掴めるデザインにしましょう」とご指導いただきました。「第一印象のデザインが大事」という言葉が印象に残っています
上田:私は、川坂先生の「いろんな人が体験しやすいコンテンツってどういうものだと思いますか」というお話が頭に残っています。先ほど、泉谷さんからもお話があったように、ピアノを設置するという当初のアイデアはやっぱり敷居が高かったと思うんです。今の形の方が体験しやすい。川坂先生のご指導は「体験しやすいコンテンツとは?」について改めて考えるきっかけになりました。
鵜飼:川坂先生はエフェクトの見せ方にも細かいこだわりを持っていらっしゃり、その視点の鋭さに「すごい」と何度も思いました。流れ星の輝きにしても、「もっとキラキラを足していこう」とか。プログラミングに関してはまた別の先生にご指導いただいたのですが、「本番前の施工ではこういうところに気をつけた方がいい」「こういうプログラミングをするときは、ここを動かしてみよう」など、より実践的なお話をたくさんお伺いすることができました。
泉谷:そんな今回のコンテンツのメッセージ性は、大阪・関西万博のテーマでもある「いのちのつながり」。それをさらに追求すると、人と人との繋がりでもあると自分は考えています。音楽を軸にしたのも、言語などを越えた繋がりが生まれて欲しいという願いがあってのこと。この社会の中で、もっと様々なコミュニケーションの形が生まれて欲しいです。
上田:特にこのインタラクティブコンテンツは、知らない人同士でも一緒に体験することができる。そういう、人と人が繋がれることの温かみみたいな雰囲気を感じ取ってもらいたいです。
鵜飼:言語の壁などを越えて、世界はもっと一体になることができるのではないでしょうか。いろんな人が繋がれるように、という願いを込めながら作りました。2025年の『大阪・関西万博』に向けて、世界中が一致団結して欲しいです。このインタラクティブコンテンツがそのきっかけの一つになってくれたら嬉しいですよね。