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芸術計画学科が中之島バラ園を総合プロデュース 『光のシンフォニー〜煌めきの回想〜』 芸術計画学科が中之島バラ園を総合プロデュース 『光のシンフォニー〜煌めきの回想〜』

芸術計画学科 / イベント, プロジェクト
2020/03/10

2003年から毎年開催され、多くの来場者が訪れる『OSAKA光のルネサンス』。大阪市役所前から中之島公園までの一帯を、さまざまなプログラムや装飾で彩る大阪の冬の風物詩として定着したイベントです。2019年度(開催期間:2019年12月14日〜 12月25日)は東会場に位置する「中之島バラ園」を、『光のシンフォニー〜煌めきの回想〜』と題して大阪芸術大学芸術計画学科の1~3年生たちが総合演出を担当しました。

「中之島バラ園」は堺筋の難波橋と松屋町筋の天神橋の間にあり、都会のど真ん中にも関わらず、喧騒を感じさせないおだやかな空気がながれる庭園。5月には約4000株のバラが満開になる、大阪市民に愛される市内最大面積を誇るバラ園です。

 『OSAKA光のルネサンス』開催期間中に、このバラ園での演出を芸術計画学科の1~3年生が企画・プロデュースするのは2019年で3回目。先輩たちの実績が積み重なり、恒例となってきています。2017年度は芸術家・岡本太郎の「太陽の塔」をオマージュし制作したバルーン作品『生命のひかり』を制作しました。

『光のシンフォニー〜煌めきの回想〜』会場全体の様子
『光のシンフォニー〜煌めきの回想〜』会場全体の様子

例年、展示するモニュメントの制作から配置場所の選定、会場内のライティングやBGMなど、空間全体の演出を担う芸術計画学科の1~3年生たち。1年生はモニュメントの制作担当やスタッフ、2年生はディレクター、3年生は総合プロデューサーとそれぞれに役割が割り振られており、上級生は昨年の経験を元に、違う立場からの目線でイベントをつくり上げていきます。


今年、1年生により制作されたモニュメント『ローズブーケをあなたへ』は、バラ園に咲く色とりどりのバラをモチーフにした作品。バラの花には色により異なる花言葉がついていることに着目し、赤色(「熱烈の恋」「あなたを愛します」「愛情」)、黄色(「友情」「平和」)、青色(「夢かなう」)、紫色(「誇り」「気品」「尊敬」)、白色(「純潔」「私はあなたにふさわしい」)それぞれの花言葉をイメージしたモニュメントが、2017年度作品の高さ5メートルのユニークなバルーンオブジェ『命根樹立』、2018年度作品のスノードームオブジェ『スノーフォレスト』と共にバラ園に配置されました。

1年生が制作した『ローズブーケをあなたへ』
1年生が制作した『ローズブーケをあなたへ』

1~3年生すべての学年を通し、イベント期間中は割り振られた役割以外にも警備や誘導係を兼任。休む間もなく会場を歩き回り、来場者が快適に展示を観覧できる環境づくりを行なっていました。

一つのプロジェクトを通して、1~3年生が団結

本番に向けての準備内容は各学年によって異なります。1年生は制作するモニュメントのコンセプトを一から企画。モニュメントの制作だけではなく、授業を通し操作を学んだばかりのアプリケーションを使い、プレゼンテーションも行うなど、包括的な経験値を得ることができました。2年生は週に一度現地に赴き、会場で実際に使用する機材を触り操作を学ぶ授業や、立地を把握し現場設計を行う授業を経て、現場の空気を知った上でイベント演出プランを進めました。3年生はゼミの活動を通じ、1年生や2年生のプロジェクト進捗を確認し、全体に停滞がないかを把握した上で各学年の授業に足を運び指導を行い、全体プロデューサーの役割を担いました。


一つのプロジェクトを通じ、異なる学年の学生がそれぞれの自分の役割の重要性を学び、プロジェクト成功に向けて足並みを揃えた『光のシンフォニー〜煌めきの回想〜』作品展示。いつもと違ったバラ園の姿を観賞するため、多くの方が足を運んでいました。

芸術計画学科
村上 敬造学科長

毎年行われる『OSAKA光のルネサンス』内での芸術計画学科の企画プロデュースですが、僕は「演出の甲子園」のようなものだと考えています。甲子園の強豪校は、通常3年生が引退しチームが一新されますが、次の代も新しい強豪チームとして名を轟かせます。それは何故かというと「育成の連続性」が確立されているからです。『OSAKA光のルネサンス』プロデュースでも、学年が上がるごとに去年の経験を生かした仕事が要求され、毎年新たな技術が身につく仕組みができあがっています。おかげさまで今年は、過去最大規模面積のプロデュースを大阪市から芸術計画学科に一任していただきました。

実際に来場者と触れ合う機会を設けることで、授業を聞いてるだけでは身につかない現場で働く力が育成されます。このような経験値は、どの職種に就いたとしても社会人になってから得るものですが、芸術計画学科の学生たちには3年間もの長い期間、一つのイベント運営に携わることで学生の内に現場で働く力が身につくよう、教育に力を入れています。ありがたいことに、このイベントを通した学びに興味を持ち、芸術計画学科に入学してくる学生も年々増えています。

イベント運営は何から何まで、屋内のスタジオなどとは起こることが違います。風の入り方や周辺の建物の立地、光の入り方まですべてを把握した上で構想しないといけません。そして、どんな事態が起こってもオンタイム(定刻通り)で始めないといけないのがイベントです。学生たちはまだプロではないけれど、「プロと同じ覚悟を持って挑んでほしい」と伝えてきました。イベント開催中の学生の動きから、その教えをしっかり学んでくれたことを実感できました。

これから5G(※)の技術が導入され、世の中は大きく変わっていきます。どんな職種でも、新しい時代に求められるのは既存の物事にとらわれない発想力を持った人材だと私は思っています。学生たちには今回のイベントをはじめとした現場での学びで基礎力をしっかり身につけ、柔軟で斬新な発想ができる社会人になってほしいと期待しています。

※5G……2020年からの実用開始が有力視されている、第5世代移動通信システムのこと。高速大容量、低遅延、多接続性の優れた性能を持ち、導入により医療や金融サービスなど、さまざまなシーンでの技術革命が期待されている

芸術計画学科2年
宮本 佳泉さん

今回のプロジェクトを通して、自分以外の他の人に指示を出す重要性を学べたと感じています。私は人に頼る前に自分で行動してしまう一面があり、普段の生活ではあまり意識してこなかったこの性格を仕事上では改善しなければいけないことを実感しました。
いざ現場で仕事となると、今まで体験したことがないアクシデントもあり「自分がどれだけ全体を見れているか」「全体を見たうえで、どういった指示を出さなければいけないか」など、瞬発力が要求されます。そういった場面で速やかに対応できる力を、これから伸ばしていきたいです。
イベント会場で作品を見てくださる来場者の笑顔を見て「イベントは、受け取る側のお客さまがいて初めて成立する」ということを改めて実感しました。今回のイベントを通して、来場者のことを第一に考えられるイベンターになりたいという気持ちが更に強くなったので、来年は今まで以上に頑張りたいです。

芸術計画学科3年
福井 佑芽さん

私は今年3年生なので、実際のイベント準備などではなく、1~2年生を統括する総合プロデューサーの役割を任せていただきました。1~2年生は、去年、一昨年と自分がしてきた部分を担当しているにも関わらず、監督する立場に回ってみると多くの人たちの動向を把握・改善していくのは想像の何倍も大変でした。
私が1年生、2年生だったときよりも、装飾を担当する面積も大幅に拡大し、学生の数もかなり増えたという状況の変化もありました。それらを踏まえた上で、今年もイベントを成功させるため、手探りでプロデューサーのあり方を模索していけたのが大きな学びだったと思います。
全学年が案内係も兼任していますが、来場者と近い距離で触れ合える喜びは何物にも代えがたいものです。社会人になっても、来場者に楽しんでいただけるイベントを企画していきたいです。

芸術計画学科1年
(左より)川端 優芽さん、小田 萌花さん、亀井 里佳さん

(川端さん)
私たち1年生は、展示企画などを一から考えましたが、みんなの意見を一つにまとめることの難しさを今回のプロジェクトで実感しました。コンセプトが定まらないといくら意見を出し合っても企画が頓挫してしまいます。実体験を通して、意見をすり合わせる基礎力を身につけられたのは大きな学びだったと思っています。
先輩たちと一緒に一つのプロジェクトを準備していくなかで、色んな場面で先輩の動きを見ることができ、「自分たちも来年は、先輩方のように後輩を指導するんだ」と思うと、今から身が引き締まる思いです。来年は自分が、頼りにしてもらえるような先輩になりたいですね。

(小田さん)
このプロジェクトを開始する前に、アプリケーションの使い方を授業でしっかり学べたので、実際のイベントで早速実践しながら企画を進めていけたことに、とてもやりがいを感じました。
ただ、どれだけアプリケーションがうまく使えても、違う役割を担っている先輩たちに私たちのアイデアを伝えるのは難しかったです。たくさんの人が関わるイベント運営なので、色んな人の思いを汲み取るのはとても大変だということを痛感しました。来年、私がディレクターの役割を担うときは、今年の自分の反省点も踏まえて、後輩にアドバイスができたらいいなと思います。


(亀井さん)
こんな大きな規模の作品を企画・制作した経験がなかったので、イベント会場で私たちの作ったオブジェが実際に展示されているのを目の当たりにしたときはとても感動しました。
『OSAKA光のルネサンス』は1~3年生の長い時間をかけて履修する、歴史ある授業カリキュラムなので、来年自分が先輩たちのように動けるようになるため、先輩の行動も意識しながらプロジェクトを進めてきました。来年は担う役割が全然違うので、今年と同じく戸惑うこともたくさんあるかと思いますが、下の学年の人たちに頼ってもらえる先輩になりたいです。自分の企画が実際に形になる感動を、来年の1年生たちにもぜひ味わってほしいと思います。