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OSAKA DESIGN FORUM・online OSAKA DESIGN FORUM・online

デザイン学科
2021/03/01

OSAKA DESIGN FORUMは2006年より始まり、今年度で14回目を迎えました。


例年、国の重要文化財である大阪市中央公会堂を会場に、著名なデザイナーによる講演やパネルディスカッションを大阪芸術大学デザイン学科学生が主体となって運営しました。


2020年度は、コロナ禍により、オンラインでの開催となりましたが、ゲストスピーカーには、例年通り豪華な方々が揃いました。グラフィックデザイナーの佐藤卓氏、風の彫刻家 新宮晋氏、コミュニティデザイナーの山崎亮氏、プロダクトデザイナーの喜多俊之氏、インダストリアルデザイナーの水戸岡鋭治氏、各分野のトップクリエーター5名を迎え、12月12日(土)配信を行いました。見逃した方のためにも 、12月19日(土) に再配信を行い、多くの視聴者に講演を楽しんでいただきました。

佐藤卓氏 (グラフィックデザイナー)「デザイナーの心得」

「面白くない仕事は、何一つない」という言葉で始まり、自身の仕事の紹介を通して、「どんな仕事も面白くすることは出来る。」、「面白がれる力、というものが存在する。同じ物事でもつまらないと思えばつまらない。面白いと思えるというのはひとつの力である。」、「知っていることに対しての興味は薄れる。知らないことに気づけることが面白く思えるきっかけになる。」、「個性とは出すものではく、出てしまうものである。」など、デザイナーを目指す人はもちろん、プロが聞いても為になるお話しでした。また、予算ありきの仕事でなくても、やるべき、と信じたことには取り組み発信を続ける姿勢など、とても精力的な様子が伺えました。


新宮晋氏 (風の彫刻家)「地球アトリエ」

この星に存在する風、重力、自然などそれぞれの良さ、存在することのありがたさ、素晴らしさ、などに気付かされる作品をたくさん生み出されています。風や重力の力を利用した作品は、決まった形があるわけでは無く、常に環境と対話するかのような存在感を持っています。作品を考える上で、いつまでも新鮮な驚きの気持ちを持ち続ける事が大切で、慣れてしまうのではなく、その事柄に対して疑問や発見を見出すことを忘れないことが大事ということでした。地球全てが興味の対象で、出来るものは技術、出来ないものは技術を飛び越えて考える、などとてもスケールの大きな考え方でした。


山崎亮氏 (コミュニティデザイナー)「なぜコミュニティデザインが必要なのか?」

公共的な建築の一番身近なユーザーが、デザインなどを決める立場にないのがいかに不思議な事なのか、を丁寧に解説してくれました。プロジェクトでは実際に使う人々を集めてワークショップの形で各々の考えや意見を出しやすい環境を作り出されているようでした。デザイナーがこうあるべき、と決めるのではなく、使う人たちがあるべき姿を考える中で地域に愛される場所を作られているようでした。メインの視聴者である学生を意識した熱く語りかけるようなトークも圧巻であっという間に時間が過ぎていきました。


喜多俊之氏 (プロダクトデザイナー)「デザイン日本発メイドインイタリー」

長いキャリアの中でイタリアとの関係にフォーカスし、日本の伝統産業や日本的な考え方がいかにして、世界的なプロダクトになって行ったかのお話しでした。日本人が見慣れた和紙も海外の人には斬新なものであったり、座るという行為一つとっても様々な姿勢が含まれており、そのプロセスを整えることが新しい椅子につながとのことです。また消費者がこれ欲しいと思えること、買った後の掃除やメンテナンスまで考えて、商品をデザインしなければいけないことなど、学ぶことが多い講演でした。


水戸岡鋭治氏(インダストリアルデザイナー)「デザインは公共のために」

公共のデザインを多く手掛けてられますが、既製品は使用せず、水戸岡さんがデザインし、工場の人たちが形にしたものばかりとのことです。デザイナーの想いがその仕事に関わる全ての人の気持ちを変えるということです。一見、実現不可能なデザインも関係者を巻き込んで、真にいいものを作るために皆で協力し合う姿勢を生み出すことが重要で、スケッチや図面だけでは良いデザインが生まれないことを学びました。デザインで使う人たちが笑顔になることを心がけているという言葉も印象的でした。



夏休み中にオンライン開催が決まり、準備期間もしっかりとれないうえに、コロナ禍で対応の変更を迫られることも多く、学生たちは非常に慌しく準備をしました。SNSを中心とした広報活動、オープニング動画の作成、講演の編集など、直前に急に仕事が来た感じで、本当に開催できるのか?と言う雰囲気も漂っていましたが、みんながとても一生懸命取り組みました。

講演内容もさすがにゲストのみなさん素晴らしく、心に残るものでした。一方でオンライン開催が決定する前、4月~夏までは様々な企画を練っていたものの、前期の準備が実を結ばなかったのは非常に残念でした。

しかし、オンラインイベントの可能性を探りたい学生たちの好奇心と意欲が熱を帯び、スピンオフ企画として「新春インタビューフェス」を生み出すことになりました。楽しくも慌ただしい学生たちの冬はまだまだ続きました。



5時間ぶっ通し!新春インタビューフェス

デザインファーラムが配信形式になったことで、急遽、新しいプロジェクトが立ち上がりました。学生が今もっとも話を聞きたいクリエイターに直接インタビューするイベントが新春インタビューフェスです。

小さい頃にお小遣いで買った商品をつくったデザイナーや、大学ではデザインを学んでいたロックアーティスト、大学時代にレゴ部を立ち上げ今や日本で唯一のプロレゴビルダーなど、異なるジャンルの憧れの一流クリエイターに、学生自ら思い込めた依頼のメッセージを送ることで、奇跡的なメンバーが揃うイベントが生まれました。


マスキングテープMTのトータルデザイン:居山浩二氏
美術手帖ビジネス・ソリューション プロデューサー:田尾圭一郎 氏
博報堂ケトル クリエイティブディレクター/プロデューサー:畑中 翔太 氏
D-BROSやKIKOFのデザイン:植原亮輔 氏
イラストレーター、漫画家、キュレーター:原田ちあき 氏
日本人初のレゴ認定プロビルダー:三井淳平 氏
GLIMSPANKY:松尾レミ氏
テレビ東京 プロデューサー:祖父江里奈 氏
「デザインあ」解散!:岡崎智弘 氏
ウォルト・ディズニー・カンパニーUS公式アーティスト:カズ・オオモリ氏

イベント当日は大阪市内にある小さな旅館を貸し切り、5時間休みなしの生配信です。運営も含めてすべてが初めての経験のためリハーサルも何回も行いました。


インタビューの基本テーマは3つ。マイルール(現在)、ブレイクスルー(過去)、ベクトル(未来)。それを基本にインタビューをつくり上げていきます。しかし、本番はリハーサルとはまったく違います。仲間や関係者が見つめる中、画面の先にはもっと多くの人たちが見ているというライブならではの緊張感は、やってみて初めてわかる感覚です。

当日の配信風景

お正月休みも返上で毎日オンラインの会議を続け、ずっと憧れていた一流のクリエイターの方々と交渉し、自分たちのチカラでインタビューのライブイベントを仲間と共につくりあげるという、普段の大学での授業では獲得できない何事にも代えがたい貴重な成功経験になりました。