大阪・関西万博「大阪文化祭」でダンスや音楽を披露 大阪・関西万博「大阪文化祭」でダンスや音楽を披露
世界中から注目を集める「2025年大阪・関西万博」。5月11日、大阪の文化芸術を国内外へ発信するプロジェクトの一環として行われたイベント「大阪文化祭」に、大阪芸術大学の学生たちが出演。万博のメインホール「シャインハット」にて、ダンスパフォーマンスや、オーケストラによるクラシック・アニソン・ポップスなどの演奏を繰り広げました。
「シャインハット」で学生たちがプロアーティストとコラボレーション
「大阪文化祭」は、大阪府や大阪市が中心となって取り組む「大阪国際文化芸術プロジェクト」の一環であり、大阪の魅力を発信する「大阪ウィーク~春~」の催事の一つとして開催されました。特別感に満ちたこのイベントで、大阪芸術大学の学生たちが、国内外で活躍するアーティストと共演。昼夜2ステージにわたって多彩なプログラムを披露しました。
舞台は、黄金に輝く円形の屋根が特徴的なEXPOホール「シャインハット」。開会式も行われた万博のシンボル的なホールです。当日は約1900席の会場がほぼ満席に。大勢のお客様の熱気の中、FM802の人気DJとしても知られる大抜卓人さんの司会で「大阪文化祭」がスタートしました。
前半はダンスを中心としたプログラム。関西ゆかりの実力派ダンサーがコラボした「Wa-chan×Soma Nitta」のステージから始まり、大阪芸術大学としてのトップを飾ったのは、国際的に活躍するコレオグラファー・演出家で舞台芸術学科特任准教授も務めるIPPEI先生と、舞台芸術学科ポピュラーダンスコースの学生たちによるスペシャルステージです。IPPEI先生のソロや同時ユニゾンなど、パートごとにスタイルを変えて展開し、ダイナミックなダンスを披露しました。ラストは「一緒に楽しみましょう!」と、手を叩く振付けで客席を巻き込み、会場がひとつに。学生ダンサーたちの輝く笑顔とキレのあるパフォーマンスで観客を魅了しました。
続いて、演奏学科ポピュラー音楽コースの学生バンドが登場しました。まずは7名編成のバンド「満月 band set」のオリジナル曲「夢」。作詞・作曲・ヴォーカル・キーボードを担当する4年生の山本満月さんが、透き通るような歌声で、はかなさの中に力強さを秘めたバラードを歌い上げます。
2組目は、3年生の福田匠さんが率いる5人組バンド「匠ngwie malmsteen」。世界的ギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンをリスペクトする福田さんが、超絶技巧の速弾きや背中で弾くパフォーマンスを繰り出して客席を圧倒。大きなインパクトを残しました。
また夜の部の1組目には、4年生の平尾京大朗さんがリーダーを務める4人組バンド「DOOG」が登場し、オリジナル曲「wake」を披露しました。バンド演奏に続き、大阪発のダンサーチーム「SIS+SIStery」や、大阪の歌劇文化を継承する「OSK日本歌劇団」がパフォーマンス。華やかに前半が締めくくられました。
日本が誇る音楽をオーケストラ演奏で世界へ発信
ステージ後半では、演奏学科の学生を中心とする大阪芸術大学管弦楽団が登場。国際的なマエストロとして活躍し演奏学科教授も務める大友直人先生の指揮で、日本の新旧の魅力を伝える様々なジャンルの音楽を繰り広げました。
まずは大阪や関西を中心に活躍するプロ声楽家のユニット「ヴォーカルアンサンブルOSAKA」とのコラボレーション。昔懐かしい唱歌や有名なオペラのメドレーが披露され、オーケストラの豪華な演奏と心に沁みる歌声の美しいハーモニーに、誰もがうっとりと聴き惚れるひとときとなりました。
次の演目は、ロッシーニ作曲「『ウィリアム・テル』序曲より」。運動会のBGMなどでも知られたリズミカルな曲に自然と手拍子が起こり、会場中が盛り上がります。
続いて大阪芸術大学混声合唱団が登場し、「オーケストラ×アニソン」のコーナーへ。大人気アニメ「ONE PIECE」よりTVアニメ初代OPテーマ「ウィーアー!」と、Adoが歌う、映画『ONE PIECE FILM RED』の主題歌「新時代」の主題歌メドレーでは、大人から子どもまでノリノリに。
2曲目は、海外でも人気のアニメ作品「ふしぎの海のナディア」より「ブルーウォーター」。この曲を歌うシンガーで演奏学科教授の森川美穂先生が、オーケストラ演奏をバックに生歌唱し、伸びやかで力強い歌声と魅力的なステージングで会場を惹き込みます。3曲目は「宇宙戦艦ヤマト」より「序曲~宇宙戦艦ヤマト」。迫力あふれる演奏と合唱団の豊かな歌声で物語の壮大な世界観を表現しました。
最後のプログラムは「globe」メドレー。90年代を代表する伝説的ユニットのメガヒット曲をオーケストラ演奏と合唱でアレンジし、globeのメンバーで演奏学科客員教授のマーク・パンサー先生がラップで出演しました。フィナーレを飾った3曲目の「Feel Like dance」では、舞台芸術学科ポピュラーダンスコースと、大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科ポピュラーダンスコースの学生たちがステージに登場。手を左右に振る振付けで会場が一つになって盛り上がりました。
エンディングでは全員が揃って挨拶。満場のお客様からあたたかい拍手が贈られ、学生たちも大きな達成感と喜びを感じながら、万博という特別な舞台に立てた感動をかみしめていました。
世界各国の人が一堂に集まる万博の会場で演奏するというのは、人生でもなかなか味わうことのできないことです。これだけの大きなホールに、国籍も年齢も様々な、しかも自分を目当てに来られた訳ではないお客様が大勢いらっしゃる。そんな舞台に立つ意義を、ぜひ学生のうちに経験してもらいたいと考えました。またこうした大規模なイベントに出演し、大空間で自分を存分に表現できる機会はめったにありません。今回出演した学生たちは、本学のコンサートで演奏したりライブハウスで音楽活動を行ったりと経験も積んでおり、大阪芸大を代表するアーティストとして自信をもって推薦できる顔ぶれです。この体験を確かな成長のステップにしてほしいですね。
今回は私自身も打合せの際の思いがけないオファーで出演することになりました。フルオーケストラをバックに歌うステージは、私にとっても十数年ぶりのこと。「シャインハット」は万博のために作られた会場で、コンサートホールや大型ライブハウスなどとは構造が異なり、音の反響もまったく違います。そうした環境の違いも含めて楽しめるイベントになりました。
ステージで魅せるためには、経験値を上げることが欠かせません。日々の練習の積み重ねももちろん必要ですが、色々なステージに1度でも多く立つことで、自分の世界も広げられるし、パフォーマンスも向上します。音響設備や出演時間などによって演奏に何かしらの制約がかかるといったことも、プロとして活動する上では頻繁に出会うもの。ライブでの実践を繰り返し様々な状況に対応していく中で、どんなステージでも輝ける力が身についていくはずです。
大阪・関西万博という大きな催しに出演できたのは、思ってもみなかった出来事でした。今回は2年生と3年生の21人で参加しましたが、いつもは同級生だけで踊ることが多いので、IPPEI先生や後輩たちと一緒に大きな舞台に立てたのは最高の思い出。緊張はしたものの、「お客様に楽しんでいただこう、自分たちも楽しんで踊ろう」と全員の気持ちを一つにして楽しく踊ることができました。
特に核になったパートでは、IPPEI先生を引き立てつつユニゾンで統一感を表現できるよう、細かい首の角度や目線まで気を配って練習。本番ではみんなの気迫や熱量がすごかったです。参加型ダンスは、お客様に一緒にやっていただけるか不安でしたが、とまどいながらも楽しもうとしてくださるのが伝わって嬉しかったですね。半円形の舞台で客席が180度に広がる特殊な会場も、これだけ大人数のお客様に観ていただけたのも初めてで、色々な面で新しい体験ができました。
私は振付けの創作が好きで、プレイヤーとして踊るだけでなく、アーティストを輝かせる振付けを作るなど制作側の仕事にも興味があります。舞台芸術学科では演技や舞台づくりについてもプロの先生方から学べるので、さらに多くのことを吸収し、将来に向けて視野を広げていきたいです。
今回披露したのはライブで何度か演奏したことのある楽曲なのですが、今までで最高のパフォーマンスができました。かっこよさや派手さは、国籍も世代も超えて伝わる共通の感覚。万博というスペシャルな舞台で、国内外の大勢の観客の皆さんに、自分にしか出せないような一音一音のパワーや音の圧を感じてもらいたいと思いながら演奏しました。今日の演奏を聴いてくれた人の中から、ギターに興味を持ってもらい、将来のギタリストが生まれたりしたら、すごく嬉しいですね。
こうした催しの出演者は学内オーディションで選ばれるのですが、今回は先生の推薦で決定。しかも僕の場合は、副学長の塚本英邦先生が昨年の演奏を見て指名してくださったと聞いて驚きました。自分の努力を認めてもらえた手ごたえを感じますし、今後につながる実績にもなったと思います。
演奏学科で音楽理論を基礎から学べたことは、自分にとって大きな糧になっています。指の動きなど技術面はかなり磨くことができたと思うので、これからは理論に裏打ちされたロジカルなプレイでさらに成長したいですね。現在も行っているサポートミュージシャンとしての活動を継続するとともに、一人のアーティストとしても自分の表現を極めていこうと思っています。
今年、大阪芸大の演奏学科では、この「大阪文化祭」を含め万博関連のイベントに出演できる機会が多く設けられています。実際に万博会場を訪れてスケール感や活気を肌で感じ、このような特別なステージで演奏できることを光栄に思いました。特に海外の方や家族連れの方など、ふだんあまり接点のないお客様の前で演奏できるのは、新鮮でわくわくする経験でした。僕はシロフォンなどの鍵盤打楽器を担当したのですが、「ONE PIECE メドレー」と「globe メドレー」ではけっこう目立つ部分が多く、気合いが入りました。クラシックでは生音のみの演奏が基本ですが、今回はマイクを使うポップス歌手の先生方と共演。またお客様が唱歌を口ずさんだり、一緒に踊ってくださったりと、クラシックの音楽会ではめったにないシーンも体験することができて、とても楽しかったです。
大阪芸大では、フェスティバルホールやザ・シンフォニーホールなど、プロの音楽家でもなかなか立つことのできない一流ホールでのコンサートを毎年開催しています。そうした大舞台を数多く踏めるのは、何よりも貴重な学び。卒業後は演奏者・指導者か音楽教員をめざしたいと考えていますが、どのような道に進むにしても、こうした舞台経験は必ず役立つと思います。