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元任天堂・今村孝矢さんのラジオ公開収録開催 元任天堂・今村孝矢さんのラジオ公開収録開催

デザイン学科
2025/11/28

大阪芸術大学の塚本英邦副理事長がパーソナリティを務めるラジオ大阪(OBC)の番組『大阪芸大スカイキャンパス』の公開収録を兼ねた特別講義が2025年11月6日に実施され、デザイン学科教授のカズ・オオモリ先生、同学科卒業生で元任天堂のゲームクリエイター・今村孝矢さんがゲストとして登場。これまでの仕事への取り組み方などについてお話しされました。

毎週月曜日20時30分より放送の『大阪芸大スカイキャンパス』は、大阪芸大に関連したさまざまなゲストを迎え、大学の情報はもちろんのこと、在学生や入学をめざす若者たちにとって有意義な発信をおこなっているラジオ番組です。パーソナリティの塚本副理事長が、ゲストのみなさんのことを深く掘り下げるトーク内容も好評を博しています。

「もともと行こうと思っていた」という声だけでなく、「今日たまたま、お二人の公開収録があると聞いて」と急きょ参加を決めた学生の姿も見られた
かつて鑑賞した映画や、プレイしたゲームの話などで盛り上がる塚本副理事長、オオモリ先生、今村さん

12月22日から4週にわたり同番組のゲストとして登場したのが、ディズニー&マーベルスタジオ公認アーティストで、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(2018年)のポスターアートなどを担当したカズ・オオモリ先生と、任天堂在籍時代に『F-ZERO』シリーズや『スターフォックス』シリーズなどを手掛けたゲームクリエイターの今村孝矢さん。実は二人は幼馴染で、高校の同級生でもありました。そのため、今村さんが「映画や漫画が好きで、夢を語り合っていました」と振り返ると、オオモリ先生も「(スティーヴン・)スピルバーグやジョージ・ルーカスの映画に憧れて、『そういう映画に携われたらいいよね』って。映画もよく一緒に見に行ったよね」と懐かしみました。


一方で、親友としてだけではなく良きライバルとして意識する存在だったとも言います。オオモリ先生は「一緒に映画を見に行くと、それに影響を受けた今村がイラストを描いてきて、それが格好良くて。『やられた』と思って、僕も描いて」といつも刺激を受けていたそう。今村さんは「(オオモリ先生は)ジャッキー・チェンが好きで、ジャッキーの絵ばかり描いていました。僕はその後、ゲームの世界に引っ張られましたが、彼は当時抱いた夢のまま、ずっと映画の仕事をしていますし」とリスペクトを口にしました。


 そんな今村さんがデザイン学科を受験した理由は、「高校は美術科で、実家が兵庫県だったので自ずと大阪芸大が(選択肢に)入ってきました。でも、まさか受かるとは思わなかったです」と驚きの表情。そして大阪芸大で学びを深め、就職活動の時期を迎えたとき「教授から、ゲーム業界に入った先輩がいる話を聞いて『ゲーム業界もありなんだ』と思ったんです。任天堂の面接では(『マリオ』シリーズなどの生みの親の)宮本茂さんが僕の作品を見てくださいました。一番見てくれたのは、漫画です。描きかけのものがたくさんあり、それを見て感心してくださいました。あれが(入社の)決め手だったかな」と言います。

今村さんは任天堂について「おもしろいことはなんでもやる会社」と、会社の特徴を紹介した
オオモリ先生は、イラストの仕事でも「東京はオリジナリティ、大阪はいろんな絵が求められる」と違いがあることを説明

さらに今村さんは自身の経験をまじえながら、学生たちに「ゲーム会社によって、(書類審査で送付する)ポートフォリオの見方は千差万別です。成長過程を見たい会社は『(ポートフォリオを)山ほど送れ』、書類が多くて見る時間がなく、いかに基礎をやっているか見る会社は『作品数を絞れ』です。でも大切なのは、何か一つ工夫すること。印象に残ることをやった方がいいです」とアドバイスを送ります。

また学生たちに対し、イラストの仕事に就いて自分の作品を知ってもらうようになるためには、「毎日描き続けることが重要」と二人は言います。オオモリ先生も「僕も、描かない日はありません。自分がそのとき気になったものを描くんです。動物が気になったら動物を描いたり、もし好きな人ができたら、その人をキャラクターにした漫画を描いたり」と常に創作と向き合っていると話します。続けてオオモリ先生は、「僕は格好良く(被写体を)描くタイプ。マーベルではスターを描くことが多いので、『この人だったら、こういう特徴』というのを抽出し、それを格好良く描きます」と意識をしていることを明かしました。

国内外で活躍するオオモリ先生と今村さんのトークを聞き、イラストなどをメモする学生の姿もあった
今村さんは任天堂を退社後、漫画を執筆。ゲーム原作にもなった漫画『OMEGA 6』をフランスの出版社から発表している

公開収録終盤では学生たちの疑問にも答え、「やる気がなくなったときはどうしますか?」というユニークな質問に、今村さんは「ゲームをします」と回答して笑わせました。また失敗や挫折の乗り越え方については、今村さんは「悩む時間は大事ですが、次の楽しいことを探すのがエンタメの世界では大事です」と前向きな気持ちで仕事や創作と向き合うことを伝え、オオモリ先生は「自分がめざしていることに行きつかないのが、失敗の概念。だったら、やり直せばいいんです。新しい方法を考えたり、実験してみたり。そのために自分にとってベストな状況を作ることが重要です」とメッセージを送りました。


公開収録後、参加したデザイン学科デジタルアーツコース3年の男子学生は「お二人の話を聞くと、好奇心を強く持ち、やりたいことできたらすぐ挑戦してみる姿勢が、クリエイティビティの根幹にある気がしました。そういうところに憧れます」、同コースの男子学生も「僕は好きなことがあっても、『今日はしんどいな』とやらないときがあります。でもお二人が今でも毎日絵を描いていると聞き、『もしかするとそこが僕に足りていないところなのかな』と感じました。何事も続けることが大事だと思います」と、自分たちの目標に向けて背中を押された気分になったと語ってくれました。


世界的に活躍されているカズ・オオモリ先生と今村孝矢さん。その活躍の原動力になっているのは、日頃のたゆまぬ努力と、学生時代からの自分の「好き」を大切にしている部分なのかもしれません。

デザイン学科の学生からは「就活では大衆的なデザインが求められるのでは?」などの質問があった
今村さんは今後について「次はミュージシャンです。何を言っているんだと思われるかもしれないけど」と笑顔を浮かべた