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モレスキン×大阪芸術大学のアートコンペティション受賞作品が、大阪・関西万博で展示 モレスキン×大阪芸術大学のアートコンペティション受賞作品が、大阪・関西万博で展示

デザイン学科
2025/09/02

大阪芸術大学では、イタリアンブランドのモレスキンとの共同プロジェクトとして「Unleash Your Genius(才能を解き放つ)」アートコンペティションを実施。デザイン学科の学生たちが、モレスキンのノートブックとペンを使ったアート作品の制作に取り組みました。

上位受賞作品は、2025年7月31日~8月23日まで大阪・関西万博イタリアパビリオンで開催されたモレスキンの世界巡回展「Detour Osaka」で展示。8月2日には授賞式やワークショップが行われました。

大阪・関西万博でも圧倒的な人気を誇るイタリアパビリオン
館内で開催されたモレスキンの世界巡回展「Detour Osaka」で、学生たちの作品が展示された

ゴッホやピカソ、ヘミングウェイも愛用したという小さな黒い伝説的ノートブックからインスピレーションを受けたイタリアンブランド「モレスキン」は、ブランドの核となるメッセージ「Unleash Your Genius(才能を解き放つ)」を伝えるキャンペーンを展開。その一環として2025年4月より大阪芸術大学との共同プロジェクトがスタートし、デザイン学科の学生たちが、アート作品の制作に取り組みました。


この産学連携プロジェクトは、デザイン学科3年生の「デザインプロジェクト」の授業として実施され、同学科客員教授の山角悦三先生が指導にあたりました。モレスキンジャパン株式会社カントリーマネージャーのニック・ワディントン氏らが来学してオリエンテーションを実施。参加した23名の学生たちは、モレスキンのノートブックとペンを使い、「Unleash Your Genius」というテーマを自由な視点でとらえ直して、制作に取り組みました。


「ノートにペンで書く」ことで発想を広げながらも、その機能や形状にとらわれず、多彩なアイデアで自分なりの表現を追求した学生たち。仕上げた作品を撮影し、指定された文言やロゴを配置してポスターを制作しました。学内の一次審査とモレスキン関係者とのオンライン審査を経て受賞作品が決定。上位作品は、大阪・関西万博会場や全国のモレスキン直営店にて展示されることとなりました。またポスター印刷にはローランド ディー.ジー.株式会社の最先端UVプリント技術が用いられ、創造性とテクノロジーが融合した作品に仕上がりました。

学生たちは手書きすることで発想や思考を深め、自らの手を動かしながらイメージを形にして作品を制作
作品の撮影時には、質感の表現や影の出方などを考えて照明や角度を細かく工夫した

大人気のイタリア館で作品展示&受賞式を実施

イタリアパビリオンで開催された「Detour Osaka」は、モレスキンとモレスキン財団が主催する世界巡回展です。世界的なアーティストや建築家、映画監督らがモレスキンのノートブックに創作した作品が集結。日本とイタリアのクリエイターに焦点が当てられ、伊藤豊雄、隈研吾、佐藤オオキ、妹島和世、ホンマタカシ、押井守、塩田千春、コシノジュンコ、蜷川実花らを含め68作品が展示されました。

「Unleash Your Genius」アートコンペティションにて最優秀賞を受賞した陰下瑞生さん、優秀賞を受賞した岩崎楓さん・浦上夏奈さんの作品も、同展の会場内に特別展示されました。同館は万博でも屈指の人気を誇るパビリオン。大勢の来場者が訪れ、学生たちの作品も注目を集めていました。

モレスキン財団が所蔵する1600点余のノートブックアートから、隈研吾や押井守、蜷川実花ほか各界クリエイターの作品68点が一堂に会した
赤い糸のインスタレーションで知られる塩田千春など、関西にゆかりのあるアーティストも参加
「Unleash Your Genius」アートコンペティション上位受賞の学生作品

8月2日には「Detour Osaka」開催を記念して、モレスキンのクリストフ・アーシャンボウCEO、モレスキン財団のアダマ・サンネCEOらによるテープカットやトークショーが行われました。また関連イベントとして「Drawing me, drawing you」と題したワークショップを実施。参加者同士がお互いに似顔絵を描きあう創作体験に、デザイン学科の学生たちもサポート役として参加しました。

イタリアパビリオン前の広場で、モレスキンとモレスキン財団、同館の代表者らによるテープカットが行われた
館内の回廊で行われたワークショップ。モレスキンのノートブックに似顔絵を描き合い、完成した絵を展示
最初はいつも通りに、2度目は紙を見ずに互いの顔だけを見て描くことで、ユニークな作品に。参加者は笑顔で取り組み、学生たちも楽しみながらサポート
トークショーでは2人のCEOが、モレスキンと万博に共通するビジョンや「Detour 」展の意義について語り合った

トークショーに続いて行われた「Unleash Your Genius」授賞式では、受賞者一人ひとりの名前が読み上げられ、学生たちは緊張しながらも誇らしげな表情でステージへ。担当教員の山角先生からの賞状授与に続き、アーシャンボウCEOから副賞が贈られ、会場はあたたかな拍手に包まれました。

授賞式は、モレスキンジャパンのカントリーマネージャー、ニック・ワディントン氏が司会を務め、和やかに執り行われた
学生たちは自分の作品がモニターに映し出される中、受賞の喜びをかみしめながら賞状を受け取った
モレスキン製品の副賞はアーシャンボウCEOから直々に授与され、感激もひとしお

アーシャンボウCEOは「手書きは、脳を活性化させる効果があると科学的に示されているだけでなく、人にとって楽しいことでもあります。今回の共同プロジェクトでは、“紙にペンで書く”ことに対するデジタル世代の若者たちの思いを自由に表現してもらいたいと考えました」と、プロジェクトの意図を説明。

「どの作品も才能が光る素晴らしい出来栄えで、私たちのブランドミッションを一人ひとりが深く掘り下げ、各自の創造性を解き放ってくれたことに感銘を受けました。皆さんにはこの体験を自信につなげ、自らの才能を信じ、磨き、育ててもらいたい。そしていつか皆さんの中から『detour』コレクションに参加してくれるアーティストが生まれることを期待しています」と激励の言葉を語りました。

国際的ブランドと協働して今までにない作品制作に取り組んだ本プロジェクトは、学生たちに新たな視点や発見をもたらす機会に。また万博会場での展示も、創作意欲や自己表現への自信につながるかけがえのない経験となりました。

イタリアパビリオンには、ミケランジェロの彫刻やレオナルド・ダ・ヴィンチの素描、カラヴァッジョの絵画など世界に誇る芸術品が展示されています。館内を見学した学生たちは、これらの名作とともに、「Detour Osaka」展も鑑賞。古代や中世の至宝から現代のノートブックアートまで、様々な芸術家たちの創造性を体感していました。

創造性を解き放つことの大切さを熱く語るモレスキンのクリストフ・アーシャンボウCEO
歴史的な芸術品をはじめ見所の多いイタリアパビリオンを見学
デザイン学科 客員教授
山角 悦三 先生

今回のプロジェクトでは、モレスキンのノートとペンを使用することを条件としながらも、その形状や用途にとらわれず、固定概念を取り払って制作することに挑みました。「Unleash Your Genius」キャンペーンは2025年4月のミラノデザインウィークでも展開され、「脳」をテーマにした作品が発表されましたが、今回はその延長ではなく、日本独自の内容で実施。表現の常識を疑い、破壊するプロセスの中で、より自由な発想を促すことを重視しました。既存の作品例を見ることで発想が狭まることを避けるため、あえて参考資料を見ないよう指導した場面も。学生たちは自由度の大きさに悩みながらも、自分ならではのアイデアを生み出そうと真剣に向き合ってくれました。

上位受賞作品は、ノートを船に見立てて物語性を持たせたり、ノートをばらばらにして翼に仕立てたり、紙をまるめて木を作るなど、常識の殻を破る発想力と、自らの手でイメージを表現する造形力の両方を満たしていたと思います。ポスター出力ではローランド ディー.ジー.様にご協力いただいて最先端の印刷技術で色彩や特殊な質感にもこだわることができ、作品を成果物へとブラッシュアップさせる過程も学べました。世界中からお客様が訪れる万博会場で作品が展示されたことは、自信になるのはもちろん、クリエイターとしての将来にも役立ち後々まで誇れる実績です。ワークショップでのお客様とのふれあいも含めて、学生たちには本当に貴重な経験になったことでしょう。

大阪芸術大学デザイン学科では、様々な企業や地域との産学連携プロジェクトを年間30件以上も展開しており、大学時代だからこそ体験できるような取り組みも多くあります。社会と密接に関わりながら実践的に学び、色々なものに関心を持って視野を広げることで、真のデザインの力を養ってほしいと願っています。

デザイン学科 3年生(グラフィックデザインコース)
陰下 瑞生 さん

こうしたコンペティションに参加したのは今回が初めてで、本格的な就職活動を始める前に自分の力を試してみたいと思って挑戦しました。最優秀賞という思いがけない結果に、驚きと喜びでいっぱいです。作品の着想は、自分の好きなファンタジー系の絵本や物語の世界観から。ノートとペンを船とオールに見立て、知恵を象徴するネズミが荒波の中へ発想の冒険の旅に出る、というストーリーでブランドメッセージと連動。物語のワンシーンのような作品をめざしました。通常の授業の課題とは違って、自分の好きなものだけを詰め込んで自由に表現することができ、それを高く評価していただけて、二重に嬉しかったです。
ネズミのキャラクターは粘土で作り、北斎の『神奈川沖浪裏』のモチーフから連想した荒波は紙で造形。時間も手間もかかって大変でしたが、苦労した甲斐がありました。見る人に自由に感じ取ってもらえるよう、ネズミにあえて表情をつけていないのもこだわりの一つです。
平面中心だった作品制作から一歩ふみだして、自分には立体的なものづくりにも意外に適性があると発見。また、手書きでアイデアや物語を書き留めるうちに、「書くことって楽しい」と思えるようになり、苦手にしていた自分の思いを言語化することにも向き合えました。表現の幅を広げる新しい可能性や気づきを見いだせたのも、大きな収穫です。

デザイン学科 3年生(グラフィックデザインコース)
岩崎 楓 さん

「紙とペンがあれば、人はどこまでも高みをめざせる」というイメージで、ノートの翼を持つ天使がペンで天に言葉を届ける様子を表現しました。当初はノートの形状を変えてもいいのかという不安もありましたが、モレスキンの担当者の方の「自由な発想で、逸脱してもいい」という言葉に背中を押され、制作への意欲が高まりました。
コスプレやキャラクターの小道具の造形などが趣味。ノートを一枚一枚貼り合わせて羽根を作りながら、全体のバランスを見てボリュームを調整したり、紙をカールさせて陰影が出るよう工夫したりと、試行錯誤するのも楽しかったです。自ら天使に扮しての撮影にも力が入り、スタジオのセッティングや羽根の修復に苦労しながら頑張りました。山角先生が親身にアドバイスしてくださり、ローランド ディー.ジー.さんの特殊印刷で背景の文字に立体的な質感を加えていただくなどして、より完成度の高い仕上がりを追求できたと思います。
私にとってこれが初めての受賞。万博という素晴らしい場所で多くの人に作品を見ていただくことができ、授賞式には両親も参加してもらえて、本当に嬉しかったです。ノートという形や用途を超えて自分らしい作品を生み出せた経験を、今後の制作にもいかしたい。広告やグラフィック系の進路をめざして、これからも枠にとらわれない自由な発想を大切にしていきたいです。

デザイン学科 3年生(イラストレーションコース)
浦上 夏奈 さん

最初はなかなか発想が浮かばず、「ノートに書きためたことが一本の木となって花を咲かせ、いくつもの思考が集まって大きな“アイディアの木”になる」というコンセプトにたどり着くのに時間がかかりました。山角先生から「着想が面白い」と言っていただけて手ごたえを感じたものの、白い紙だけを使って木を表現するのにも苦戦。これまで取り組んできたイラストレーションやデザインワークとは違う立体的な形づくりに悩みました。撮影でもライティングやアングルなど細部までこだわり、フォトショップでの調整や印刷加工を経て、思い描いたイメージ通りのポスターに仕上げることができた達成感は大きかったです。
でもこんな素晴らしい賞をまさか自分が受賞できるとは思わず、連絡をいただいた時は本当に驚きました。万博の会場で実際に展示されている所を見て、やっと「本当に受賞したんだ!」と実感がわいたほどです。授賞式の当日にはパビリオン内を見学でき、本物の芸術の迫力に感動。「Osaka Detour」では一流のアーティストの方々のノートブック作品に目を奪われ、発想や表現の豊かさに刺激を受けました。またワークショップに参加して、色々なお客様と一緒に楽しく似顔絵を描き合ったことも、忘れられない体験です。そんな特別な空間で作品を展示できたことは、大きな自信になりました。将来はデザイン系の仕事に就くのが目標。これを励みにして、今後もどんどん作品制作や学内外の展示に挑戦したいと思います。

最優秀賞・優秀賞・奨励賞を受賞した作品の一部は、8月14日(木) ~ 9月30日(火)の期間中、全国のモレスキン直営店で巡回展示を予定。


【モレスキン直営店巡回展示】

■会場:

・モレスキン原宿店

東京都渋谷区神宮前6-31-21 東急プラザ原宿ハラカド1F

・モレスキン横浜店

横浜市西区南幸1-4 ジョイナス B1F

・モレスキン神戸阪急店

神戸市中央区小野柄通8-1-8 神戸阪急本館 7F


■日程

①2025年8月14日(木)~ 8月24日(日)

②8月25日(月)~ 9月5日(金)

③9月6日(土)~ 9月14日(日)

④9月15日(月)~ 9月23日(火)

⑤9月24日(水)~ 9月30日(火)


【Detour Tokyo】

■会場

21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3

東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン


■日時

2025年9月10日(水)~9月23日(火) 10時~19時