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プロジェクションマッピングによるオペラ公演「魔笛」 プロジェクションマッピングによるオペラ公演「魔笛」

アートサイエンス学科, 演奏学科 / その他
2017/10/26

プロジェクションマッピングによる
挑戦的なオペラ公演を実現

大阪芸術大学のオペラ公演は今年で第39回。例年は大学内にある芸術劇場で上演されてきましたが、今回はおよそ1400席ものキャパシティを備えたNHK大阪ホールでの初公演ということで、学生たちの意気込みも十分。演奏学科、舞台芸術学科、アートサイエンス学科とのコラボレーションで、これまでにない新たな表現に挑みました。


「魔笛」は、モーツァルトが自由にイマジネーションを膨らませた作品です。今回の舞台ではそのオリジナルを尊重して、歌詞はすべてドイツ語で上演されました。ソプラノの技巧が冴え渡る「夜の女王のアリア」や、「パ、パ、パ…」という掛け合いが楽しいパパゲーノとパパゲーナの二重唱など、有名な曲の数々を見事に歌いこなす演奏学科声楽コースの学生たち。特別ゲストとして、大阪芸大の卒業生で、現在、俳優として活躍する木下ほうかさんも出演して、オペラの中にもなごやかな笑いのスパイスを加えました。

舞台の前に特別に設けられたオーケストラピットには大阪芸術大学管弦楽団。タクトを振る牧村邦彦先生、舞台上で熱演するキャストたちとの息もぴったりと合っていました。


今回、新たな試みとなったのは、プロジェクションマッピングを駆使した舞台美術です。映像演出は、アートサイエンス学科教員川坂翔先生(クリエイティブカンパニー・NAKED Inc.)による日本でトップレベルのクオリティです。王子タミーノやパパゲーノ、夜の女王、ザラストロといった登場人物たちが歌いだすと、マッピング技術の力によって舞台上の景色が大胆に変化します。あるときは大蛇の襲いくる荒野に、あるときは小鳥が飛びかう明るい野原に、またあるときは荘厳な神殿に。そのキャンバスとなる舞台装置を制作したのも、舞台芸術学科の卒業生で、現在、舞台美術コース教員の松本紘子先生です。素材には大学内に生えていた竹、ダンボールを利用し、アイデアに満ちた斬新な舞台になりました。

さらに、舞台芸術学科 舞台美術コースの学生たちが制作したユニークな衣裳や数々の小道具、舞踊コースによる華やかなダンスが作品を盛り上げます。


約200年前に作曲されて以来、世界中で数え切れないほど上演されてきたオペラ「魔笛」。学生たちの創造力、現代のテクノロジーのコラボレーションによって、かつてない感性が自由に羽ばたく舞台となりました。

Interview

演奏学科声楽コース
安田 楓汰さん

前回のオペラ公演でも、「魔笛」のパパゲーノ役で出演しました。ただ、前回は4年生の先輩と前半後半で役を分けたので、ひとりで通して出演するのははじめて。しかも、前回はドイツ語と日本語と両方入り混じっていたのですが、今回の公演では、声楽部分はすべてドイツ語での上演になりました。もともとの作品がドイツ語でつくられているので、ドイツ語のほうが自然と歌うことができるのですが、やっぱり自分が歌っていても意味を掴みづらい。歌を自分のものにするためには結構、時間がかかりました。
実は僕、高校時代に合唱部で、その頃から「パパゲーノって安田くんの性格に合ってるよね」と言われてきたんです。高校生の頃に「魔笛」を歌う機会はありませんでしたが、剽軽な道化役だということだけは知っていました。自分でも「どちらかといえば似ているかな」と思っていましたけど(笑)、今年もパパゲーノ役をもらって役を掘り下げていくと、単純に陽気な役柄ではなく、作品の中で大事な役割を担っているということがわかってきました。周りを引き立たせるために、道化を演じているという面がパパゲーノにはあるんですね。
僕はもともとミュージカルが好きで、大阪芸大に入学したのですが、思っていた以上に声楽の世界の幅広さを実感しています。これまでは、個々の歌い手にしか目が向いてませんでしたけど、スタッフを含めてさまざまに支えてくださる方がいて、舞台が成り立っているんだということを、オペラの舞台に立つことを通して学びました。本当にいい機会をたくさんいただいていると実感しています。

舞台芸術学科舞踊コース
中田 亜優さん

私たち舞踊コースにとって、オペラ公演はとても貴重な機会になっています。舞台に立つ機会はいくつもありますが、オーケストラや声楽の方と関わることはめったにないことなので。踊る自分たちの動きだけではなく、オーケストラとどうやって合わせるのか、どんな表現をすれば伝わるのか、オペラだからこそ考えなければいけないことがたくさんあります。前回の「魔笛」にも出演しましたが、日々、変化するオーケストラの演奏に合わせる難しさを経験しました。その部分では、今回はかなり臨機応変に対応できたかなと思います。
私の役は、ライオンと子どもの役をいただきました。ライオンは前回に続いての配役で、動きや表現をさらに研究することができました。普段の私はもちろん人間ですから(笑)、生き物の動きを表現するなんてめったにないこと。床にはいつくばったりとか、ワクワクドキドキしながら役に入ることができました。
私は、小さな頃からバレエを踊ってきて、堀内充先生に教わりたくて大阪芸大を選びました。実際に先生から教わるようになって、ひと言では表せないくらい、学ぶことがものすごく多い日々です。振付家としてもダンサーとしてもとても尊敬しているんです。この先もダンサーとして踊っていけるよう、さまざまなことを吸収していきたいと思います。