初の2部構成に挑んだ第47回オペラ公演 初の2部構成に挑んだ第47回オペラ公演
大阪芸術大学 第47回オペラ公演が、兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホールにて、2026年3月6日に上演されました。今回は第1部がオペラ「アマールと3人の王様」、第2部がミュージカルガラコンサート「Brilliant MUSICAL!」という、本学初の2部構成に挑戦。総合芸術大学としての総力を結集した圧巻のステージを披露しました。
愛の奇跡を描くオペラ「アマールと3人の王様
第1部では、ジャン・カルロ・メノッティ作曲のオペラ「アマールと3人の王様」を上演。アメリカ初のテレビ用オペラとして誕生した本作は、新約聖書の題材が織り込まれた心あたたまる物語です。
指揮は国際的なマエストロで演奏学科教授の大友直人先生。日本有数の名ホールに響く大阪芸術大学管弦楽団の演奏が、作品のもつ優しさと奥行きを引き立てました。
物語は、脚の不自由な少年アマールと母親のもとに3人の王様が訪れる場面から始まります。村人たちとともに王様をもてなすふたり。母親は宝物に手を伸ばす過ちを犯しますが、アマールが必死に母親をかばう姿に心打たれた王様は、ふたりを許します。
アマールが自分の杖を捧げものとして差し出した瞬間、奇跡が起こります。「母さん、僕歩けるよ!」無償の愛が生んだ奇跡の物語に、あたたかな感動が広がりました。
舞台には、演奏学科、舞台芸術学科、音楽学科、放送学科、アートサイエンス学科の学生たちが参加。学科を越えた交流が自然に生まれ、自身の専門分野にとどまらず様々な表現を互いに学び合いました。
名曲の世界に酔いしれる「Brilliant MUSICAL!」
第2部では一転して、ミュージカルの名作からよく知られたナンバーをフルオーケストラの演奏で歌う、豪華なガラ・コンサートが繰り広げられました。「氷山ルリの大航海」で人気を集めたキャラクター、イビスとスタークが進行役として登場し、客席を楽しく盛り上げます。
オープニングは「サウンド・オブ・ミュージック」。雄大な山々の映像を背景にタイトル曲が響き、おなじみの曲やシーンが続きます。本格的な衣裳とメイクを施したキャストたちが舞台いっぱいに歌い踊り、会場を一気に引き込みました。
続く「オペラ座の怪人」では、舞台芸術学科教授の堀内充先生が特別出演。マントを翻し、華やかさと切なさが伝わるドラマティックな作品世界を表現しました。
さらに「レ・ミゼラブル」「マイ・フェア・レディ」「コーラスライン」などの名曲が次々と披露され、魂を揺さぶるような歌唱やダンスに、盛大な拍手とブラボーの声が響き渡りました。演出は演奏学科准教授の小森創介先生、衣裳は舞台芸術学科客員教授の倉岡智一先生が手がけ、プロジェクションマッピングはNAKED.INC(ネイキッド)のメンバーでアートサイエンス学科客員准教授の川坂翔先生と同学科卒業生の渡邊拓真さんが監修。各界のトップランナーである教員陣と学生が一体となり、多様な芸術が融合する舞台をつくりあげました。
フィナーレは関西発祥の和製ミュージカル「見上げてごらん夜の星を」。出演者全員で高らかに歌い上げ、感動と余韻に包まれながら幕を閉じました。オペラ×ミュージカルという新たなチャレンジを通じて、学生たちは大きく成長。大阪芸術大学ならではの総合力が結実した、記念すべき公演となりました。
私は第2部の「サウンド・オブ・ミュージック」でマリア役を演じました。これまで声楽を専門に学んできた私にとって、ミュージカルは別の世界の音楽という認識で、発声の違いやマイクとの向き合い方に最初はとまどいました。でも取り組むうちに、基本は同じで、その上に乗せる表現が少し違うだけだと気づき、視野がぐんと広がったように思います。第2部の幕開けでこれほど大きなホールにひとりで立つのはプレッシャーでしたが、先生が私の感性を信じてのびのびと歌わせてくださり、会場をミュージカルの世界へ誘う「つかみ」の役目を果たしたいと思って頑張りました。
大阪芸大で学んで良かったのは、学科のつながりが強いところ。先生方との距離が近く、先輩後輩とも仲が良くて、支え合いながら成長していけます。個人的には、コンクールに入賞するという大きな出来事も。ただ、自信になったというよりは、その結果に見合う歌を自分が歌えているかと考え、あらためて音楽に誠実に取り組もうと思うようになりました。進路はまだ考え中ですが、音楽教員になって吹奏楽の指導をしたいという夢もあり、在学中にもっともっとたくさんのことを吸収していきたいです。
オペラ公演は、入学前から憧れていた舞台です。オーディションで「コーラスライン」のソリストに選ばれた時は、驚きと緊張で胸がいっぱいになりました。去年は客席から見上げていた大ホールの舞台に、今度は自分が立てるなんて夢のようでした。私が歌う「What I Did For Love」は、ダンサーが舞台に立てなくなったらどうするかと問う曲です。演出の小森先生に曲の意味を教えていただいた時、深く共感して涙が止まらず、客席にもその感動を届けたいと思いました。技術面では、学んできたソプラノ曲とは違う音域の響きが難しく、初めは不安も大きかったです。でも練習を積むうち少しずつ声も安定し、先生方の励ましにも支えられて、自信を持って歌えるようになりました。大友先生の指揮のもとフルオーケストラの演奏で歌えたことは本当に特別な経験で、この舞台をきっかけに、将来ミュージカルの道をめざしたいという新たな目標も生まれました。
大阪芸大演奏学科を選んだのは、三原剛先生に学びたいという強い思いがあったからです。憧れは大学院生でソプラノ歌手の上野舞さん。素晴らしい先生方や先輩方に囲まれながら基礎をしっかり固め、いつか自分の思い描く理想の歌声に近づけたらと思っています。
これまでオペラ公演では「魔笛」や「氷山ルリの大航海」などの演目に参加してきましたが、今回は今までにない新鮮なプログラムでした。特に第2部では、誰もが知る名曲が次々と登場する構成で、一曲ごとに曲調をがらっと切り替える演奏は、とても刺激的でした。トランペット奏者として気合が入ったのは、「レ・ミゼラブル」の「民衆の歌」でのピッコロトランペット演奏です。実は1か月前に購入したばかりで、私の新しい相棒のデビュー戦でもありました。高音域の繊細な楽器で緊張感もありましたが、この大きな舞台で初披露できて本当に幸せです。
オーケストラピットに入る際に大切にしているのは「主役は舞台に立つ方々」という意識です。指揮の大友先生からも「もっと歌を聴いて」とご指導いただき、主張しすぎず、歌い手やダンサーの息遣いに寄り添うよう心がけました。堀内先生の圧倒的なダンスや、アートサイエンス学科の映像演出も目の当たりにして、これこそ大阪芸大ならではの総合芸術だと実感。素晴らしい作品で4年間の学びを締めくくることができました。この大学には予想をはるかに上回る体験が待っているので、音楽や芸術に少しでも興味がある人は、ぜひ飛び込んでみてほしいです。
僕たちアートサイエンス学科の有志7名は、舞台背景の映像演出を担当しました。第1部、第2部ともに本学初のプログラムで、まさに前例のないゼロからのスタート。各自が担当曲の背景をリサーチし、たとえば「マイ・フェア・レディ」では物語の時代設定に合わせたロンドンの夜景を再現するなど、作品の世界観を一からつくりあげていきました。
例年より制作期間が短かったこともあり、AI生成など新しい技術も積極的に取り入れてクオリティを追求。通し稽古で光量不足やタイミングのズレなどの課題が見つかり、深夜まで調整を重ねるといった試練もありましたが、これほど大規模なステージで自分たちの表現を見せることができたのは、大きな喜びです。また、映像制作を手がけながらキャストとして舞台に出演したメンバーも。チーム全体の刺激にもなり、僕たちもより良いものにしようと気合が入りました。
映像・プログラム・音響・デザインなど多様な専門性を持つ学生が新しい表現に挑戦し、多彩なアウトプットの場がある。それがアートサイエンス学科の魅力だと思います。僕自身は将来は地元の公務員になり、ここで磨いたスキルや発想を地域活性化に生かしたいと考えています。