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時代を切り拓くアーティストに聞け
【村松亮太郎】
時代を切り拓くアーティストに聞け【村松亮太郎】

アートサイエンス学科 / その他
2021/06/11

今、経済も含めた新しいモノ・コトは、アート的思考から生まれている。時代が求めているのは、既成の枠に囚われない自由な発想で、今までになかったものを生み出し、人々に新鮮な感動や気づきを呼び起こしていく才能だ。


そこで『O Plus』では、各ジャンルで、そのオリジナルな発想によって新時代を切り開く人々を追ってみた。


四人目は、クリエイティブカンパニーNAKED Inc.代表の村松亮太郎氏。“都市”と”アート”をテーマに、NAKEDが手がけるプロジェクト『TOKYO ART CITY by NAKED』では、「都市とはアートである」をコンセプトに、東京をアートにしていくという。この取り組みによって東京はどのように変わるのだろうか。村松氏に伺った。

東京という存在をアートにしていく。その意味とは?

—村松先生が都市に関心を持つのはなぜでしょうか?


「それは人間の営み、つまりライフがあるからだと思います。都市のイメージって、その場所で生活している人たちの服装だったり、建物や看板の雰囲気だったりっていう全部を含んだカオスが醸し出すものなんですよね。そのなかから都市の個性を形成するコアを見つけ出して、ある観点から浮き彫りにすると、それまでと違った都市の見え方ができてくるんです」


—『TOKYO ART CITY by NAKED』では、東京という都市の個性をアートで浮き彫りにするわけですね。


「今ってアートの概念そのものが変わってきていると思うんです。昔だったら『これがアートです』ってきちんと提示できるものが多かったと思うんですけれど、それがもっと流動的というか形で表現できないようになっている気がしていて。都市もそのひとつだと思うんです。たとえば夜景を見たら、美しいってみんな言いますよね。


でも、その光ってもともとはオフィスビルの明かりだったり、車のライトだったりするわけじゃないですか。そう考えると、都市にデザインやアートを持ち込むのではなく、都市自体をアートととらえてもいいんじゃないかなって」


—この『TOKYO ART CITY by NAKED』を通じて何が生まれるのでしょうか?


「いろんな企業と協力しながら東京という都市をリアルに変えていきたい。たとえば、山手線の時刻表とシンクロするかたちで光を演出したり、模型と実際の建物で同時にプロジェクションマッピングを投影したり。そうやって都市とアートが相互に進化していくようなものになればいいですよね」

●むらまつ・りょうたろう 大阪芸術大学アートサイエンス学科客員教授。クリエイティブカンパニーNAKED Inc.代表。テレビ、広告、MV、空間演出など、ジャンルを問わず活動。東京駅3Dプロジェクションマッピング『TOKYO HIKARI VISION』、東京国立博物館特別展『京都-洛中洛外図と障壁画の美』『FLOWERS by NAKED』など。2017年からは『TOKYO ART CITY by NAKED』を手がける。
東京を象徴する9スポット<新宿/渋谷/お台場/東京タワー/東京ドーム/秋葉原/東京駅/東京国立博物館/谷根千(谷中・根津・千駄木)>を約250もの模型でコラージュ。さらに約100台のプロジェクターを駆使したプロジェクションマッピングによる光と映像の演出で多彩に表現した。