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恐竜の世界を光と音で再現『OSAKA光のルネサンス2025』 恐竜の世界を光と音で再現『OSAKA光のルネサンス2025』

芸術計画学科, 演奏学科
2025/12/25

大阪の冬をきらびやかなイルミネーションで彩るイベント「大阪・光の饗宴」のコアプログラム「OSAKA光のルネサンス」(以下、光のルネサンス)が2025年12月14日に開幕しました。12月25日まで、大阪市役所周辺から中之島公園までが幻想的な光で包まれます。

芸術計画学科では毎年、バラ園で展示プログラムを実施しています。今回は「DINO☆FANTASIA~中之島・記憶の発掘~」と題したプログラムを発案し、来場者の心を躍らせました。

「DINO☆FANTASIA」の元になったのは、学内コンペティションで選考を勝ち抜いた学生のアイデアです。中之島は約2億5000万年前から6600万年前の中生代、恐竜が生息していた地域として知られ、化石も発掘されています。そこに着目し、ディノサウルスが生きる世界に迷い込んだような演出が散りばめられています。

驚かされるのは、光と音で恐竜の世界を再現しているところです。順路の序盤にはプロジェクターを内蔵した球体バルーンが設置され、卵がひび割れて恐竜が生まれる様子が映し出されます。さらに歩みを進めると、火山の噴火をイメージしたエアチューブが迫力ある音を立ててはためきます。ほかにも恐竜の足跡や海洋生物が“光”で再現されています。これらの光の演出は「テクニカル照明」の学生たちが担当しました。

球体バルーンには、恐竜の誕生の瞬間が映し出された
赤・橙の照明と三角コーンの警告灯の点滅を利用して、火山の噴火を表現

「テクニカル音響」の学生たちによる、BGMや効果音も恐竜の世界をリアルに感じさせてくれます。無償イベントに於ける楽曲使用のルールに則り、映画『ジュラシック・パーク』シリーズのテーマソングを活用し、幅広い世代が恐竜の世界をイメージできるようにしています。加えて、学生自身が様々な素材を組み合わせて効果音を制作。バラ園のあちこちから中世代の生き物の鳴き声が聞こえ、恐竜が棲むジャングルの中を探検している気分になります。

特筆すべきは、来場者を恐竜の世界へ誘うストーリー性です。村上敬造学科長も「LEDによる光の美しさに頼るのではなく、例年以上にストーリー性を重視しました。出しものも多くし、伝わりやすさを意識しました。ぐるっと回って終わるだけではなく、じっくり見てもらえる演出を学生たちと考案しました」と、こだわった点について話します。芸術計画学科ではテーマパーク論、博覧会論などの授業を通して、世界的なテーマパークのアトラクションがなぜ来場者を夢中にするのか、その仕掛けを学ぶことができます。村上学科長は「今回はそういった学びが生かされているように思います」と語ります。

色鮮やかに輝く恐竜の世界、会場では『ジュラシック・パーク』のテーマソングが鳴り響いた

一方で「DINO☆FANTASIA」の舞台裏には、学生たちの日々の奮闘もあります。開幕前日には雨が降り、開幕当日にかけて強い風が吹くなど、天候的に大変な状況下で準備が進められました。それでも学生たちは定刻通りの「17時開場」に向けて、責任感を持って動いていきました。全体ミーティングでは役割分担を再確認し、「ブルーシートにたまった雨水が機材にかからないように」「球体バルーンやエアチューブは強風が吹くと危険な場合があるので逐一、小型風速計の確認を」など注意事項を共有。それぞれが気づいた点や改善点は日報に書き込まれ、ブラッシュアップに努めます。開場後も、サンタ帽をかぶった学生スタッフが順路に立ち、来場者をスムーズに誘導。先生方のバックアップのもとに、企画・制作・運営のすべて学生たちが協力し合って進行していきました。

「OSAKA光のルネサンス」開場3時間前の全体ミーティングでは、各自の役割や作業をしっかり確認
休憩や待機ができるテント内は暖かく、学生たちが無理をしすぎない配慮も行われている
日没後の最終確認に備え、バルーンが次々と立ち上がる
サンタ帽をかぶった学生たちが会場スタッフも担当し、来場者を誘導

加えて「OSAKA光のルネサンス2025」の開幕を告げる大阪市中央公会堂壁面プロジェクションマッピング初回上映セレモニーのトップバッターという大役を担ったのも、大阪芸術大学演奏学科声楽コースの学生たちでした。多くの来場者の前で「Christmas Carols」の歌唱を披露。「Silent Night」「Santa Claus Is Coming to Town」などを夜空の下で響かせ、大きな拍手を巻き起こしました。このように「OSAKA光のルネサンス」の各所で大阪芸大生の活躍が見られました。

今回の「光のルネサンス」を通じて学生たちは、ストーリー性を意識することで“光の世界”が放つメッセージをより深く来場者に届けられることを学びました。演出やテクニカルのすべてにおいてその重要性を体得し、学生たちはさらに成長を遂げたと言えるでしょう。

「OSAKA光のルネサンス」開幕セレモニーでは、演奏学科声楽コースによる「Christmas Carols」の歌唱が行われた
芸術計画学科 3年生
原田 佳林 さん

私はアシスタントプロデューサーを担当しました。準備段階のすべてのデータ、各スケジュール、マニュアル、企画書などを把握し、先生や大阪市のご担当者との調整事項や連絡のやり取り、全体の進行スケジュールも管理していました。特に大変だったのが、会場での準備スケジュールの調整です。当日の天候にも左右されることが多く、開幕前日は何度もスケジュールを組み直しました。
一方で、こういったイベントのスケジュール調整は日々変わっていくことを学ぶことができました。なにより自分自身にとって、そういった細かいスケジュール調整の仕事は「もしかすると向いているかもしれない」と感じるなど、新たな発見がありました。「DINO☆FANTASIA」には、今年新たに映像演出を取り入れ、光や音の演出もパワーアップしているので、ご来場された皆さんに“感覚的な感動”を覚えていただきたいです。

芸術計画学科 2年生
岸本 千紗 さん

私は現場を統括するディレクターを担当しました。展示するバルーンの調整、仕事の割り振り、人員配置の把握を行っています。誰よりもみんなの状況を把握しておかなければいけないので、イベントの最後まで気を抜くことができません。普段の生活では体験できないことばかりなので、大変ですがその責任感にやりがいを持っています。
特に私はこれまで、責任あるポジションを任せられることが得意ではありませんでした。大阪芸大に入学してからそういう経験ができるようになり、自分自身の成長を感じることもできています。今回の「DINO☆FANTASIA」は記憶の発掘をテーマに、「子ども心を思い出してほしい」という気持ちを込めています。学生が、学生なりに一生懸命取り組んだので、それがお客様に伝わっていると嬉しいです。

芸術計画学科 2年生
柴田 涼帆 さん

私はアシスタントディレクターとテクニカル音響を担当しました。アシスタントディレクターとして申請書や日報の作成、そして変更点などを学生に伝える役目も任されました。特に気を付けていたのが学生間の情報共有です。私の解釈が間違っていると全体が誤った方向へ進むので、伝達内容をちゃんと理解することが求められました。
また、スタジオ演習という授業を通してテクニカル音響も担当しました。『ジュラシック・パーク』のテーマソングを全体BGMとしつつ、学生自身で制作した各エリアのSEの際立たせ方などの調整をしています。開幕前日に初めてすべてのスピーカーでSEを流した瞬間、それぞれの音がしっかり際立って聞こえ、そこで充実感を得ました。そしてその両作業で実感したのが、課題にぶつかったときの解決方法です。自分が率先して行動すれば物事が解決へ向かうことも経験でき、それは今後の自分の活動に生かしていきたいです。

伊藤 杏夕花 さん
芸術計画学科 2年生

私はスタジオ演習の授業を通して、テクニカル照明を担当しました。イベント全体の光や、地面、バルーンの中に光を入れて映し出すなど全体的な照明演出の仕事を行いました。照明機材を使って色も一から作るなど、こだわりを持って光を演出していきました。特に照明はお客さんに見える部分。光のテーマは1年生が考えてくれたので、その思いを受け継いで作業を進めました。
開幕前日、実際に会場で音響と合わせて照明を光らせたとき、思いを込めて作った光の美しさに感動しました。あらためて照明の仕事のやりがいを感じました。カラフルな照明にして楽しくなる世界観を作ったので、お客様には音と光と映像の調和を体感してもらいたいです。

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