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クボタスピアーズ大阪の公式チームソングを制作 クボタスピアーズ大阪の公式チームソングを制作

演奏学科
2025/12/24

プロバレーボールチーム「クボタスピアーズ大阪」×大阪芸術大学の産学連携プロジェクトとして、公式チームソングコンテストが実施され、演奏学科ポピュラー音楽コースの学生たちが楽曲制作に取り組みました。応募作の中から、学生5人ユニット「6ix Soldier」の作品がグランプリを受賞。2025年9月11日に大阪市浪速区のクボタ本社にて表彰式が行われ、公式チームソング「Color Your Future!~繋がる想い~」が生歌唱で発表されました。また12月7日、Asueアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で行われた同チームの公式戦で、ファンに向けて初披露されました。

演奏学科ポピュラー音楽コースの学生たちが半年をかけて作詞・作曲

「クボタスピアーズ大阪」は、日本を代表する農業機械メーカー、クボタのプロバレーボールチームです。チームとファンとの絆を深め、チームの士気をさらに高めたいとの思いから、公式チームソングの制作を企画。大阪芸術大学との産学連携プロジェクトとして、演奏学科ポピュラー音楽コースの学生たちによる楽曲コンテストが行われました。

同コース初の産学連携企画となるこの取り組みは、音楽を「つくる」ことを中心に学ぶ「ミュージッククリエイター」「ポピュラーコンポーザー」「シンガーソングライター」と3つの専攻の学生を中心に、2024年後期の授業の一環としてスタート。演奏学科講師の上田起士先生の指導のもと、約30名の学生が約3ヵ月をかけて作詞に挑戦しました。チームスローガン「幕天席地の心を繋げ」を軸に、選手の好きな楽曲やフレーズなどをリサーチし、実際の試合も観戦。イメージをふくらませ、アイデアを出し合って、歌詞を共同制作しました。

2024年11月、大阪市立東淀川体育館で開催されたクボタスピアーズ大阪のホームゲームを観戦。肌で感じた試合の迫力や観客との一体感、選手との会話などから、歌詞のイメージを広げた

完成した歌詞をテーマに、作曲を学内公募。演奏学科教授の中村正史先生と講師の仁子孝史先生がプロジェクトリーダーを務め、有志の学生が約3カ月の制作期間で思い思いの楽曲を仕上げました。応募作から学内選考で選ばれた作品を、クボタスピアーズ大阪のゼネラルマネージャー中野加奈子さん、スタッフの川田匠さんらが審査。最終候補に残った個性的な3曲から、「6ix Soldier」(久保守充さん・志田百穂さん・戸高匠大さん・原見咲那さん・中辻心粋さん)の作品がグランプリに決定。大塚理功さん、藤野圭さんの作品が準グランプリを受賞しました。

決定した歌詞に合わせてそれぞれに個性豊かな楽曲を完成させ、グランプリ・準グランプリを受賞した学生たち

グランプリ受賞作「Color Your Future!~繋がる想い~」の最終ミックス・マスタリングは、メジャーレーベルの「GIZA studio」で実施。プロのミキサーによる丁寧な作業と本格機材によって、楽曲はさらにハイクオリティな作品に仕上がりました。このスタジオ作業には受賞学生と教員が参加し、プロの制作過程を体感する貴重な機会となりました。

クボタ本社での表彰式で選手を前に公式ソングを披露

2025年9月11日、大阪市浪速区の株式会社クボタ本社大ホールにて、「クボタスピアーズ大阪 チームソングコンテスト」表彰式が開催されました。式典には、クボタスピアーズ大阪の選手やスタッフも出席。リハーサルでは、ヴォーカル担当の戸高匠大さんが熱のこもった歌唱を準備し、本番への期待を高めました。

ゼネラルマネージャーの中野さんが「ファンとの一体感を高め、士気を向上させるために大阪芸術大学との連携を決めました。どの作品も素晴らしく、選考は非常に難航しました。このチームソングを胸に、チーム一丸となってリーグ優勝をめざします」と挨拶。その後、準グランプリの大塚理功さん、藤野圭さん、グランプリの「6ix Soldier」メンバーが登壇し、表彰状と副賞が授与されました。

受賞者はゼネラルマネージャーの中野加奈子さん(左)から表彰状を、チームマスコットの「スッピー」から副賞を受け取った
グランプリを受賞した「6ix Soldier」のメンバー(左2人目から久保守充さん・志田百穂さん・戸高匠大さん・原見咲那さん。中辻心粋さんは欠席)
準グランプリを受賞した大塚理功さん
準グランプリを受賞した藤野圭さん

昼休みの時間帯に行われた公式ソング「Color Your Future!~繋がる想い~」のお披露目には、クボタ社員の方々も多数集まりました。試合映像をバックに、戸高さんが力強く歌い上げると、会場は大きな拍手に包まれました。

クボタ本社大ホールで、社員の皆さんをはじめ多くの方々の前でパフォーマンスを披露
迫力あるプレー映像とシンクロするように、「6ix Soldier」の戸高匠大さんがエネルギッシュな歌声を届けた
リハーサルでの音響トラブルにもしっかりと対処し、本番では動きや表情にも気を配って堂々と歌唱
楽曲制作ではサビ部分を担当した戸高さん。「緊張はありましたが、気持ちを込めて歌いました。この曲がチームの歌として育っていってほしいです」
パフォーマンス後には盛大な拍手が贈られた。表彰式にはプロジェクトリーダーの中村正史先生と仁子孝史先生も列席

演奏後、キャプテンの若林俊希選手が「迫力のある歌声に、心が引き締まりました。この歌に応え、今シーズンの目標であるリーグ優勝を果たしたい」とコメントし、あらためて優勝への決意を強調。式典後には食事会も設けられ、学生たちはクボタ社員の方々と交流を深めました。

キャプテンの若林俊希選手が「この歌に恩返しできるよう頑張ります」と挨拶
笑顔でチームソングの誕生を称える「クボタスピアーズ大阪」の選手の皆さん

Asueアリーナ大阪でスピアーズファンにお披露目

12月7日には、大阪市港区のAsueアリーナ大阪(大阪市中央体育館)で行われたVリーグ公式戦のハーフタイムに、ファンに向けたお披露目イベントが行われました。第2セット終了後、コート上に「6ix Soldier」の戸高匠大さん、久保守充さん、志田百穂さんが登場。1000名を超える観客にぐるりと囲まれた特別なステージで、公式ソング「Color Your Future!~繋がる想い~」を熱唱しました。

 試合はセットカウント1対1で迎えた折り返しから、このパフォーマンスに後押しされるようにスピアーズが勢いを増し、続く2セットを連取。最終的に3対1で勝利を収めました。学生たちの歌声はまさにチームを力づける「勝利の歌」となり、会場は熱気と歓喜にあふれていました。

1000名以上もの観客を前に、「6ix Soldier」のメンバー戸高さん、久保さん、志田さんが公式ソングを生パフォーマンス
スピアーズの応援用ハリセンを叩くファンの皆さんの手拍子で、会場の一体感がさらに高まった
Vリーグ男子公式戦「クボタスピアーズ大阪」VS「トヨタサンホークス愛知」の一戦。試合前にはクボタ社長による始球式も行われた
演奏学科 教授(ポピュラー音楽コース)
中村 正史 先生

今回の産学連携プロジェクトでは、まず歌詞を作り、その後に曲をつけるというスタイルを採用しました。作詞は上田起士先生が指導。作曲は学内公募としましたが、できるだけ学生の個性や表現を大切にする方針で進めました。詞に比べて曲は感覚的な部分が大きく、方向性を決めコンセンサスを取るのが難しい。そんな中、学生たちは歌詞のテーマや試合風景などからイメージをふくらませて、自由な発想で曲作りに取り組んでくれました。最終候補はいずれも秀作でしたね。グランプリ作品は5人の学生による合作で、データのやり取りをスマホやPCで行うという、今の時代らしい制作方法なのも印象的でした。

ただし良い楽曲でも、最終的なミックス・マスタリングにはプロの設備と技術が必要です。そこでメジャーレーベルのGIZA studioに協力を依頼し、プロのミキサーに入っていただきました。曲をパーツごとに分解して再構築する工程を間近で見学でき、学生には得るものが大きかったと思います。クライアントの要望を受けての制作から仕上げまで、一連のプロセスを体験できたことは、産学連携ならではの貴重な学び。また表彰式でのパフォーマンスは、音楽ホールではなかったため難しさもあったと思いますが、非常にパワフルで、伝わるものがありました。プロアスリートというふだん接点のない世界の方々との出会いも、刺激的だったのではないでしょうか。

大阪芸大の魅力は、総合芸術大学として多様な分野が共存していること。音楽だけでなく、デザインや舞台芸術、建築など、異なる専門性をもつ仲間と交わる中で、視野が広がります。また教員は第一線のプロで、机上の理論ではなく、実際の現場で必要なスキルや人間性を伝えています。私自身が意識しているのは、学生の個性を重視し、技術は教えますが、最終的な選択は学生自身にゆだねるということです。芸術に正解はなく、自分が何を好きで何をやりたいかが一番の武器になります。迷った時こそ自分の「好き」を信じて進んでほしい。そうすればきっと未来が見えてきます。

演奏学科 4年生(ポピュラー音楽コース/シンガーソングライター専攻)
久保 守充 さん

作詞の授業で出会った仲間5人が、「一緒に曲を作ろう」と意気投合したのが今回のチャレンジの始まりです。応援歌にふさわしい明るくテンポの速い曲調や、誰もが歌いやすいキーや音域を共有したうえで、Aメロ、Bメロ、サビなどを分担して作曲。皆こうした合作は初めてでしたが、合わせてみたら自然な流れができていて、ほぼ手を加えることなくすんなりとまとまりました。僕はAメロと全体のコード進行、ギター演奏を担当。メンバーの中辻くんの編曲と打ち込みでサウンドが洗練され、戸高くんのヴォーカルが映える楽曲に仕上がりました。初挑戦したコンペで、産学連携プロジェクトという大きなチャンスをものにでき、「クボタスピアーズ大阪」初代公式チームソングとしてインパクトを残せたのは本当に嬉しかったです。12月のお披露目イベントでは多くの観客の方々の前でパフォーマンスでき、熱狂的なファンの皆さんとの一体感を感じました。
制作プロセスの中で、GIZA studioでのミックス作業を体験できたことも、とても勉強になりました。巨大な卓や高性能スピーカー、プロのミキサーの方の手際に圧倒され、自分たちの曲が現在進行形で完成に近づいていくのを目の当たりにして感動しました。僕にとって音楽は、生涯続けていきたい大切なもの。でも仕事や義務にはしたくないと考え、卒業後は福井の地域インフラ企業に就職を予定しています。大阪芸大で学んだ「ゼロから何かを生み出す自由さ」を大切に、これからも楽しみながら自分の音楽を作り、機会があればコンペなどにも挑戦していこうと思っています。

演奏学科 4年生(ポピュラー音楽コース/ポピュラーピアノ専攻)
大塚 理功 さん

僕は演奏系のポピュラーピアノ専攻なのですが、進路を考え作曲に注力し始めていた時にこの公募を知って、絶好の機会だと思いました。まずチームソングには何が必要かを徹底分析し、高校バレーのテーマ曲なども参考にしながら作曲。女性ヴォーカルとキラキラしたピアノを軸に構成し、声だけで25トラックを重ねるなど、ミキシングに力を入れました。将来のコンペ応募に向けた音源制作の予行演習にしようと、これまで学んだ知識や技術を詰め込んだだけに、クリエイター系の学生にまじって準グランプリを受賞できたのは嬉しい驚きです。またスタジオ見学で、プロのこだわりを肌で感じ、GIZAのマネージャーさんとの繋がりができたことも、大きな収穫でした。
大阪芸大は先生方との距離が近く、現場のリアルな話を直接聞ける環境があります。ここで学んだからこそ「音楽業界で生きていこう」と決意が固まりました。実は作曲に力を入れようと思ったきっかけは、アイドルへの楽曲提供などで活躍する卒業生の先輩の存在。音楽で食べていくにはクリエイティブだけでなくビジネス視点も必要だと知り、自分も演奏だけでなくDTM指導やミックス請負など幅広く活動するようになりました。実績を積んでいつか山奥にアトリエを構え、作曲から演奏まですべて自分で行うのが夢。後輩たちにも「この大学の恵まれた設備も人脈も環境も、使えるものは全て使って、やりたいことにどんどん挑戦しよう!」と伝えたいですね。

演奏学科 2年生(ポピュラー音楽コース/ポピュラーコンポーザー専攻)
藤野 圭 さん

コンテストに応募しようと決めてから、実際にプロバレーボールの会場で試合を観戦し、選手の皆さんの輝きや会場の熱気にインスパイアされて、この熱量をそのまま曲にしたいと考えました。自分の持ち味であるギターロックに、生観戦で体感した熱量を込めて楽曲を制作。先生にもアドバイスをいただき、ヴォーカル専攻の友人に歌唱をお願いしました。歌詞の思いを汲み取り、自分の音楽とどう融合させるかにとても悩んで苦労した分、詞と曲がばっちりかみ合って良い作品になった達成感は大きかったです。これまでは一人で作った楽曲をボーカロイドに歌わせることが多く、他の人の詞に曲をつけたりヴォーカルを依頼したりという「人と一緒にやる」共同作業は初めて。まさにバレーボールのチームプレイのようだなと、熱い思いを感じながら取り組みました。準グランプリという結果は、大きな自信と今後の原動力になります。
プロのミキシング・マスタリング現場で、ミキサーの方の考え方や技術に直接ふれられたことも、立派な会場で表彰していただいて、選手の皆さんにお会いできたことも、全てが新鮮で刺激的でした。今回、作品のオーダーから完成までの流れを実体験できて、「次は自分で企画して誰かとコラボしてみよう」という意欲が湧いてきています。これからは大学内だけでなく外部とも積極的に繋がり、作曲家として活躍できるよう、作品を作り続けていきたいです。

クボタスピアーズ大阪 公式チームソング
「Color Your Future! ~繋がる想い~」

■クボタスピアーズ大阪 ニュースページ(こちらで視聴できます)

https://www.kubota-spears.com/volleyball/news/entry/post114.html