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舞台芸術学科 オートメーション演習 舞台芸術学科 オートメーション演習

舞台芸術学科
2024/02/06

現在、演劇を中心に世界各国のエンターテインメント業界で導入されているオートメーション。舞台上での大規模な大道具の転換や照明の演出をコンピューターで制御し、物語の展開に合わせて自動でプログラムを稼働させるシステムとして注目を集めていますが、まだまだ担い手が少なく、人材の育成は日本のエンターテインメント業界にとって急務とされています。

 そうした中、オートメーションテクニシャンとして世界各国で活躍する舞台芸術学科舞台美術コース出身で本学客員准教授の小林由佳先生によるオートメーション演習が実施されました。本記事では演習当日の様子、小林先生がテクニシャンとなるまでの道のり、そしてオートメーションの技術に感銘を受けた学生たちの言葉を紹介します。

世界最高峰のシステムを使って
プロ仕様のオートメーションを学ぶ

舞台芸術学科では、2023年9月1日から7日にかけ、小林由佳先生によるオートメーション演習を実施しました。世界で活躍するプロフェッショナルからオートメーションの基礎知識やプログラミング、最新システムを使った操作技術を学べるとあって、受講の呼びかけに対し希望者が殺到。当日は選ばれた16名がコースの枠を越えて受講しました。

今回の演習では、オートメーションの先端を走り、小林先生とも親交が深い世界的企業・TAIT社からシステムと機材が貸し出されました。オートメーションに関する講義は他大学でも行われていますが、実際にエンターテインメントの現場で使用されているシステムを大学の授業で触れることができるのは極めて異例のこと。参加した学生たちは、7日間、朝から夕方までという長時間の演習にもかかわらず、小林先生の講義やシステムの解説に食い入るように聞き入っていました。

オートメーションの成り立ちやシステムの概要、工学的な知識についての説明が終了すると、いよいよ実践に。今回は参加希望者が多かったことから2人1組になってプログラムのソフトウェアを搭載したパソコンと、舞台装置の操作に使用するジョイスティックをシェアしました。

工学系の知識も要するなど、ハードルの高さを感じさせるオートメーションですが、小林先生がコンサートや演劇での導入事例を紹介したことで学生たちは柔軟に理解を深め、自由な発想で理想のステージ演出をプログラミング。今回は、自分が好きな音楽に合わせて3分間のプログラムを組む課題に取り組み、アーティスティックなアイデアの数々に小林先生やTAIT社の担当者も驚きの表情を見せていました。

日本の教育機関の中では過去に事例がない取り組みとなった今回のオートメーション演習。大阪芸術大学では、TAIT社のオートメーションシステム一式を購入し、2024年度から本格的に授業で取り入れることが予定されています。舞台芸術学科では現在、日本で増えつつあるオートメーションの需要に対応するべく、テクニシャン育成に尽力し、エンターテインメント業界の活性化に寄与することが期待されています。

舞台芸術学科 客員教授
小林 由佳 先生

私は昔からシルク・ドゥ・ソレイユが大好きで、将来はなにかしら仕事で携われたらと考えていました。そのきっかけをつかめたらと思って大阪芸術大学の舞台芸術学科に進学。歌や芝居はできないので、舞台美術の世界を志すことになったのですが、当時の私は授業や課題に着いてつけず、学生としては本当に落ちこぼれだったんです。仕事は最初、テーマパークの舞台監督をしていたのですが、昔からの夢が忘れられず、ダメ元でシルク・ドゥ・ソレイユに「どうしても働きたい!」とメールを送ったところ、なんと返事が来たんです。「東京に劇場を建てる予定で、その中にオートメーションという部署があるけど、やってみないか?」ということで、それが私とオートメーションとの出会いでした。初めての仕事で不安いっぱいでしたが、オートメーションのシステムである『Navigator』の購入先であるFTSI社(現在はTAITに吸収合併)から来たエンジニアが6か月間にわたってトレーニングをしてくれたおかげで、みっちり基礎を学ぶことができました。以後はシルク・ドゥ・ソレイユの演出家が独立してマカオで立ち上げた会社でお世話になり、その後、フリーランスに。現在は仕事の依頼によって世界各地を飛び回る生活を送っていますが、今回のように学生にオートメーションを知ってもらう機会が得られたことは非常に嬉しく思います。学生たちも休憩時間を忘れるぐらい熱心に演習に取り組み、今後の日本でのオートメーションの普及に大きな期待を感じることができました。現在、世界では、たくさんの若いオートメーション・テクニシャンが活躍しています。私も後進を育てるべく、さまざまな形で尽力していますが、ゆくゆくは海外での現場に学生を連れて行くことができればと考えています。

舞台芸術学科 演技演出コース 2年
松本 和也 さん

子供の頃にテーマパークで見たミュージカルをきっかけに、舞台の世界に興味を持つようになりました。英語にも興味があったので外国語系の大学に進むことも考えたのですが、自分が自分らしくいられるのは観劇している時だと気づき、大阪芸術大学でさらに自分の求める道を深く探ろうと思いました。最初は演じることに主軸を置いていたのですが、やがて舞台を制作する側にも興味が向き、今回、オートメーション演習の話を聞いた時は、すぐに受講したいと思いました。受講前はオートメーションに関する知識がほとんどなかったのですが、自分が好きで見ていたショーの中でも実は頻繁に使われていることが分かり、驚きとともに、より関心が高まりました。小林先生からは「これはあくまで演習だから、自分が思うまま、好きに作っていい」と言われ、子どものように夢中でプログラミングに打ち込みました。入力が完了するとテスト形式で画面に自分の組んだ演出が表示されるのですが、スクリーンや照明を動かし、オートメーションだけで物語を作ることがとても楽しかったです。将来については、まだ考えている最中ですが、オートメーションを使ったテーマパークでのイベントを企画して小林先生にご指導いただけたらと思っています。今回の演習では普段話す機会があまりない他のコースの人たちと交流できたことも大きな収穫でした。残りの学生生活では、他学科との交流を行って自分が制作する作品の中でコラボレーションできればと思っています。

舞台芸術学科 舞台照明コース 2年
岸田 美紗希 さん

舞台芸術学科を目指したきっかけは、将来、音楽ライブに関わるような仕事がしたいと思ったことで、その中で自分を表現できるものとして照明コースを選択しました。オートメーションについては1年生の時に小林先生が講義に来てくださったことで初めて存在を知りました。自分が見ていたコンサートで、大きな舞台装置が上昇する演出でその技術が使われていたことを知り、俄然興味が湧いてきました。今回の演習では実際にプログラミングもさせてもらったのですが、入力した内容が自分の思いどおりに動いた時は言葉にできないほど感動しました。オートメーションの操作卓から照明のコントロールもできると聞いたので、今後は、これまで学んできた照明の知識とオートメーションを融合させた演出プランも考えていけたらと思います。小林先生も「先生ではなく、同じ学科の先輩と思って気軽に質問して」と言ってくださったことで、知りたいことをたくさん教えていただき、技術的に分からなかったことを一気に解決することができました。自分の照明については、誰が見ても抵抗なくショーの世界観に入ることができる、違和感のないものを追求できれば。最近では海外の演劇にLEDの照明が大幅に取り入れられており、そういった時代の波にもついていかなければと思っています。残りの在学期間では、照明だけでなく、オートメーションや音響など、舞台に関わる技術全般について学びを深められたらと思っています。