JAZZ&POPS 2024 JAZZ&POPS 2024
2024年10月25日、演奏学科ポピュラー音楽コースの学生が出演する秋の恒例イベント「JAZZ&POPS 2024」が大阪・サンケイホールブリーゼで開催されました。今回はオーディションを勝ち抜いた8組の学生バンドとOUA BIG BANDに加え、本学の卒業生で現在、ウクレレ奏者として活躍中の鈴木智貴さんをゲストに迎えてのコラボステージが実現。いずれの演奏も熱気に満ち溢れ、学生たちの成長が大いに感じられるステージとなりました。
磨き上げた演奏とステージングが花開く大舞台
トップバッターは総勢30名で編成される「OUA BIG BAND」が務め、マイケル・リーグ率いるインストゥルメンタルバンド・スナーキー・パピーの『Shofukan』を演奏。エキゾチックなギターに重厚なホーンが絡み、高らかに切り込んでくるトランペット、終盤で一気に盛り上げるコーラスによるアンサンブルをみごとに再現していました。
2番手は、男女のアコースティックギターデュオ「めいふぉる」。井草聖二と松井祐貴のコラボレーション楽曲『SPARKLE』を演奏し、曲中で何度もリードと伴奏が入れ替えるなど、めくるめく展開を爽やかな音色で披露しました。3年生の石本英さんにとっては、夏のコンサートイベントでの発表が叶わなかったリベンジを果たせたステージとなりました。
続いて登場したのは、2年生の池田歩波さんがボーカルを務める「Hohvall」。演奏曲『影』では、ジャズやヒップホップ、ソウルなど、多様な音楽性が安定感のある演奏でまとめられ、浮遊感のあるギター、アンニュイと情熱が内包した池田さんの歌声が幻想的な世界観を作り出していました。
フランスのマルチプレイヤー・FKJの『10 years ago』を披露したのは「JKJ」。演奏前に告げられた「この会場が静かな森になったと思って聞いてください」というメッセージの通り、極限まで削ぎ落としたシャープなサウンドにソウルフルな歌声や乾いたサックス、絶妙なアクセントを加えるピアノが乗ることで、ゆらめくような叙情性を感じさせました。
2年生の福田匠さん率いる「匠ngwie malmsteen」は、ハードロック界を代表するギタリスト、イングヴェイ・マルムスティーンの『Far Beyond The Sun』を演奏。リスペクトあふれる速弾きを聴かせ、キーボードを担当する2年生・平野翔大さんとのソロのかけあいや派手なステージアクションでも客席を魅了しました。
中盤に差し掛かり、ステージにはゲストの鈴木智貴さんが登場。「ウクレレの魅力をみなさんに知っていただきたい」という言葉とともに、まずは映画『ニューシネマパラダイス』の楽曲メドレーやジャズスタンダードの『SING,SING,SING』が披露され、美しさと力強さが同居した音色を響かせました。続いて「深い海に潜り、自分だけの宝物を探しに行くような情景を思い浮かべて作った曲」という『イストワール』、そしてバリトンサイズのウクレレで『Libertango』を情熱的に聴かせ、ソロ演奏のコーナーを締めくくりました。
圧巻の演奏を聴かせた鈴木さんは、続いてコラボステージでギター専攻とシンガーソングライター専攻の学生7名、教員の仁子孝史先生、副手で編成されたギターアンサンブルと共演。テレビ番組『情熱大陸』のテーマ曲が演奏され、鈴木さんのリードから学生と仁子先生でソロを繋ぐという熱い展開で客席を大いに盛り上げました。
後半戦トップの「大所帯」は、3名のホーンや4名のコーラスを交えた15人編成で山下達郎の『sparkle』を熱演。繊細さとダイナミズムが同居した演奏を披露し、ボーカルの加藤帆夏さん(4年生)も軽快なステップと共に力強い歌声を聴かせました。演奏後のコメントではギターの平野礁さん(4年生)が、コーラスをあえてボーカル専攻以外から選んだというこだわりについて語っていました。
8番目に登場した「メタルはマインド」は、ガールズラウドロックバンド・花冷え。の『我甘党』をカバー。リーダーを務める4年生・傳智実さんが重低音を効かせたベースでラウドなサウンドを牽引し、ボーカルの高田季咲さん(1年生)もデスボイスとキュートな歌声をたくみに使い分けるなど、迫力のあるパフォーマンスを披露しました。
オリジナル楽曲『季節』での出演となる「Joshua」は、自由にリズムを刻むドラムに浮遊感のある男声ボーカルと女声コーラスが絡む前衛的なサウンドで観客を引き込みます。中盤からはジャジーなアンサンブルに一転し、最後までスリリングな展開で聴かせました。ベース担当でリーダーの良村太一さん(4年生)は、「試行錯誤しながらさまざまな要素をミックスしました」と楽曲制作について話していました。
大トリを飾った「Big Business」が披露したのは、デイヴ・ウェックル・アコースティック・バンドの『Big B Little B』。アグレッシブなギターやパワフルなサックスソロなど、楽器陣の応酬が続き、最後は今回、初めて企画を立てたという2年生・齋木かれんさんの手数を駆使したドラムソロが複雑な楽曲をみごとにまとめあげていました。
学生たちが日々の研鑽の成果を示した「JAZZ&POPS2024」。厳しいオーディションを勝ち抜いたバンドのステージからは音楽に対する熱い思いが感じられ、今後のさらなる成長に期待がかかります。
今回、オープニングで3年生・井西優安さんの『rive』、BGMで2年生・倉松直大さん(アーティスト名:出優mq)の『シャプラ・ティ』、エンディングで3年生・中辻心枠さんの『夕方メイル』など学生たちの自作曲が使用され、コラボステージと併せてポピュラー音楽コースとしての新たな試みが随所に見られました。
また、ロビーでは前回に続いてミュージッククリエイター専攻の学生たちによるDTM(Desk Top Music=パソコンやタブレットなどの機器を使った音楽制作)の体験コーナーが設置され、タブレットなど手軽な機器でできる音楽制作の魅力を発信していました。
私はポピュラー音楽コースのギター専攻で4年間学び、卒業後も先生方と交流が続いているのですが、その中で今回、「JAZZ&POPS」出演のお話をいただき、ゲストとしてだけでなく学生のみなさんとのコラボステージを行えたことが嬉しかったです。共演させていただいた『情熱大陸』は、まず私がアレンジを考えて楽譜と音源を学校に送り、本番9日前に行われた特別講義でアレンジを組み立てました。時間があまりない中での作業だったのですが、最初は2つしかなかったパターンが4つに増え、学生のみなさんも事前に練習してくれていたことで非常に完成度の高い仕上がりになりました。クラシックギターによる音の厚みがあることで、普段、ウクレレ一本でやっているときには表現できないアンサンブルを奏でられ、とても貴重な体験になりました。
私は大学を卒業後、プロギタリストとしてバックバンドなどの仕事を主にしていたのですが、ウクレレと出会ってリードを取る楽しさに目覚めたことで、現在の活動に至ります。穏やかな楽器というイメージのウクレレですが、実はさまざまな音色を奏でることができ、さらなる表現方法や魅力を広めることが私の活動のモットーです。その背景には在学中に幅広いジャンルに触れたことや座学で音楽理論などをしっかり学べた経験が生きています。音楽を学ぶうえでポピュラー音楽コースは、これ以上ないほど恵まれた環境です。プレイヤーとして成長したい人には、進学の選択肢としてぜひおすすめしたいと思います。
僕は幼い頃から音楽の道を志していて、小学5年生の頃に大阪芸術大学にポピュラー音楽コースがあることを知りました。音楽はもちろん、写真や絵画にも興味があったので総合的に芸術を学べるところも進学したいと思った理由です。入学後は、音楽業界の最前線で活躍されている先生方から長年にわたって培った技術や理論を教えていただき、自分のスキルが大幅にアップしていることを感じています。今回、「JAZZ&POPS」で演奏したイングヴェイ・マルムスティーンもクラシックをルーツに持つアーティストなので、これまで学んできた基礎や理論がとても生かされています。中学・高校時代は一人でひたすらギターを弾いていたのですが、大学入学後は音楽好きの仲間と出会ってバンド演奏の楽しさや自分が知らなかったジャンルにも興味を持つことができました。今回、鈴木智貴さんとのコラボステージでアコースティックギターのソロを弾かせていただいたのですが、これもポピュラー音楽コースで学んだからこそできる体験だと思います。ステージングにおいての学びも大きく、コンサートでは、お客さんが想像もつかないようなテクニックを織り交ぜたり、アクションを大きく見せることにもこだわっています。将来は、やはり音楽で生活できるようになりたいと思っていて、現在すでにサポートや自宅録音などの活動をしているのですが、卒業後はさらにその幅を広げていくつもりです。
私は、たまたま訪れた大阪芸術大学のオープンキャンパスで歌唱イベントに参加したところ準グランプリをいただき、それがきっかけでポピュラー音楽コースへの進学を決意しました。中学時代から歌を歌い始め、高校時代には軽音楽部で活動するなど、音楽はずっと好きだったのですが、当時は芸術系とは違う大学への進学を考えていたので、このオープンキャンパスが自分の将来を考えるうえでも大きな転機になりました。入学後はシンガーソングライター専攻に進み、プロの先生方の経験談を聞くことで、曲作りのことはもちろん、それまで気にしていなかった歌う際の姿勢や目線、お客さんからの見え方などについてもたくさん学ぶことができました。個人で弾き語りの活動もしているので、ギターのレッスンや肺活量トレーニングを受けられるのも、とてもありがたいです。今回の「JAZZ&POPS」では、そういった学びの成果を発揮できたことはもちろん、経験豊富なバンドメンバーのみなさんが完全にアンサンブルを作ってくださっていたので、とても気持ちよく歌うことができました。卒業後は、どのような形でも音楽には携わっていたいと思っていて、プロをめざすのか、それとも仕事をしながら趣味としてできる範囲で曲作りやライブ活動をするべきか迷っているところです。最近は動画配信など発表の場もたくさんあるので、何かしらの形で作品を届けられたらと思います。