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サマーミュージックフェスティバル 2025 サマーミュージックフェスティバル 2025

演奏学科
2025/10/06

大阪芸術大学の夏を彩る恒例のコンサートが、今回は塚本学院創立80周年を記念する「サマーミュージックフェスティバル2025」として、大阪市北区のフェスティバルホールで8月27日に開催されました。ポピュラーからクラシック、オペラ、合唱、映画音楽まで、80周年を祝う多彩なプログラムを披露。学生たちと一流の音楽家の熱演に、大きな拍手が贈られました。

オーケストラ&ポピュラーの多彩な楽曲で織りなす特別なコンサート

大阪芸術大学の総力をあげた一大イベントとして毎年注目を集める夏のコンサート。今年は塚本学院創立80周年記念の特別なステージとして、音楽の殿堂と称されるフェスティバルホールを舞台に学生とプロ音楽家の教員らが、記念公演にふさわしい熱のこもった演奏を繰り広げました。


 第1部のポピュラーステージは、演奏学科と大阪芸術大学短期大学部メディア・芸術学科、両学科のポピュラー音楽コースの1年生全員によるゴスペルで幕開け。フレッシュなパフォーマンスで会場を盛り上げます。一気に熱気に包まれたところで、学内オーディションを勝ち抜いた2組の学生アーティストがステージへ。シンガーソングライター「満月」と3人組ユニット「おぶう」が、エモーショナルな歌声で観客を魅了しました。

ポピュラー音楽を学ぶ1年生たちがゴスペルソング「Joyful Joyful」を熱唱。弾ける笑顔と力強いダンスで元気いっぱいのステージに
ヴォーカル2名&ピアノのトリオ「おぶう」は、米津玄師の楽曲「地球儀」を演奏。コーラスの変化など細部まで工夫したアレンジで世界観を際立たせた

第2部のオーケストラステージは、演奏学科管弦打コースの学生を中心とする大阪芸術大学管弦楽団が登場。世界的なマエストロである演奏学科教授の大友直人先生の指揮で、「J.ウィリアムズ映画音楽メドレー」からスタート。「スター・ウォーズ」や「E.T.」などおなじみの映画のテーマ曲が迫力いっぱいに演奏されました。続いてソプラノ歌手の小林沙羅准教授とヴァイオリニストの川井郁子教授がソリストとして出演。高らかに響くクラシックのアリアや、和楽器も取り入れた独自のアレンジによる演奏に、「ブラボー!」の声が上がります。

小林沙羅先生は、「私のお父さん」と「ハイヤ!山こそ我が故郷」を歌唱。軽やかなチャルダッシュ舞踊のステップも披露
自身の編曲による「ジュピター」など2曲を演奏した川井郁子先生。尺八や鼓など和楽器とのコラボレーションでオリエンタルなサウンドに

今回の公演では、次代の音楽を担う高校生との共演も見所の一つに。本学主催の「関西音楽コンクール2025」で総合第1位を受賞した愛知県立明和高等学校音楽科2年の鈴木愛奈さんが、ウェーバー作曲「クラリネット協奏曲第1番」で堂々たるソロを披露。作曲家の木下牧子客員教授による合唱曲「おんがく」では、大阪芸術大学混声合唱団とともに奈良県立高円芸術高等学校音楽科の皆さんが出演しました。

若き才能を育むプロジェクトの一環としてクラリネットソロで出演した高校2年生の鈴木愛奈さん。演奏後は「こんな大きなホールでオーケストラと演奏するのは初めて。素晴らしい体験ができました」と感激の笑顔がこぼれた
奈良県立高円芸術高等学校音楽科の生徒たちも加わって美しいハーモニーを織りなした合唱曲「おんがく」。作曲した木下牧子先生も登壇して「日本語の美しさを伝えていきたい」と作品への思いを語った

オーケストラステージ後半では、女優・歌手として数々の実績を誇る舞台芸術学科教授の島田歌穂先生が登場。「レ・ミゼラブル」の「On My Own」などミュージカルの名曲を歌い、観客を作品の世界へといざないます。

ミュージカルやコンサートで幅広く活躍する島田歌穂先生。ジャズ風のセッションや表情豊かなステージングにもオーラが漂う

続く楽曲は「ONE PIECEメドレー~ウィーアー!・新時代~」と「組曲『宇宙戦艦ヤマト』より “序曲” “宇宙戦艦ヤマト”」。5月に行われた大阪・関西万博の「大阪文化祭」でも好評を博したアニメソングを、オーケストラと合唱団が新たな情熱を注ぎ込んで披露しました。

万博のステージでも盛り上がったアニメソングがさらにパワーアップ。合唱団は「ミャクミャク」カラーのスカーフとネクタイを着用
大友直人先生の包容力あふれる指揮のもと、奏者一人ひとりの持ち味が引き出されて、よりいきいきと豊かな音楽表現に

フィナーレはブラームスの名曲「大学祝典序曲 ハ短調 作品80」。今回は80周年を記念して、通常は演奏されない合唱を加え、お祝いのムードをさらに高めました。最後は恒例のアンコール曲「いま君は美しい」で会場が一体となり、曲のラストにはキャノン砲により会場いっぱいに舞うメタリックテープとともに、華やかにコンサートが締めくくられました。

 プロデュースを担当した声楽家で演奏学科長の三原剛教授は、「今回の公演では、音楽界で活躍する教員陣がガラコンサートのようにそれぞれ得意とする楽曲を披露し、80周年という節目にふさわしい特別なプログラムになりました」とコメント。耳なじみのある多彩なジャンルの楽曲が、世代を超えて多くの観客の心をとらえ、ホールには感動の拍手がいつまでも鳴り響いていました。

演奏学科 教授(指揮)
大友 直人 先生

大阪芸術大学の夏のコンサートは、本学ならではの多彩なプログラムが特徴です。私が担当するオーケストラステージでは、本格的なクラシックから映画音楽まで幅広いジャンルの楽曲を演奏します。今年は川井郁子先生、小林沙羅先生、島田歌穂先生にご出演いただき、高校生の参加も加わって、記念の年にふさわしい、より特別な公演となりました。この演奏会のように、日々の練習の成果をお客様に聴いていただくことは、若い才能の成長に欠かせないプロセスであり、その目標に向かって努力するからこそ、大きな飛躍につながります。定期的に大規模な公演が行われている大阪芸大は、学生にとって非常に恵まれた環境が整っていると思います。

学生の皆さんに大切にしてほしいのは、協調性と個性の両立です。オーケストラや合唱のように集団で音楽を創りあげる際には、周囲との調和が不可欠ですが、それと同時に自分らしさを発揮する姿勢がなければ、真の意味での合奏や合唱にも、心を動かす演奏にもなりません。そして何より重要なのは、自信を持つこと。謙虚さや自己鍛錬も大事ですが、パフォーミングアーツでは、自信を失うと表現そのものが成立しなくなってしまいます。

私たち教員の役割は、学生たちが自ら成長できるように後押しすることです。教員に手を引かれ導かれるのではなく、自分自身で気づき、前に進む力を養ってほしい。大阪芸大生にはそうした主体性が根付き、のびのびとした演奏をしていると感じます。また本学の大きな魅力は、学科の多様性にあります。出演者だけでなく照明、音響、美術など舞台に関わるすべての分野が学内で連携し、一つの作品を創りあげることができる。音楽を志す人にとっても、これほど刺激的で創造的なキャンパスは他に類を見ないのではないでしょうか。

舞台芸術学科 教授(ミュージカル)
島田 歌穂 先生

今回、80周年の記念すべきコンサートに出演させていただき、大変光栄に思います。大阪芸大のコンサートに参加するのは久しぶりで、かつてジャズのビッグバンドと共演した思い出がよみがえりました。本学オーケストラとの共演は初めてで、大友直人先生の指揮のもと、一人ひとりが真摯に音楽に向き合っている姿がとても頼もしく、心からエールを贈りたい気持ちになりました。私の歌った曲では、オーケストラの各パートがフィーチャーされる見せ場もあり、リハーサル後に「遠慮せず思いっきり行っちゃってね」と声をかけたのですが、皆さん一瞬驚いた後、素敵な笑顔で「わかりました!」と応えてくれました。どんな現場も一期一会で、そうしたコミュニケーションが大切。私自身も常に心がけていることを、直接伝える良い機会にもなったと思います。

近年は卒業した教え子と共演する機会も増え、嬉しさとともに身が引き締まる思いを感じています。今回は現役学生の皆さんと舞台をともにし、新鮮な気持ちと同時に、教員という立場を超えて一人のパフォーマーとして舞台に立つ責任もあらためて実感しました。私はミュージカルコースで歌の授業を担当していますが、最初に伝えるのは「ミュージカルの基本はお芝居」ということです。歌も踊りももちろん重要ですが、それらを芝居で包んで表現することが私のテーマ。歌詞に書かれていない思いまで深く読み取り、芝居としてどう表現するかを、様々な楽曲を通して伝えています。

最近では、舞台や映像などどんな現場でも芸大出身の方々に出会うことが多く、広がり続ける絆の輪に感動しています。卒業して数年の若い世代の人から「芸大で良かった」という声を聞くことも。そのつながりは、人生の宝物ですし、未来の支えになるでしょう。学生の皆さんには、何も恐れることなく、それぞれの道でますます輝いていってほしいと思います。

演奏学科3年生(ポピュラー音楽コース/ポピュラーコンポーザー専攻)
神田 和 さん

同級生との3人組バンドでオーディションを経てこの舞台に立つことができ、大きな達成感を感じています。「地球儀」は、メンバーの一人がこの曲への深い感動を伝えてくれ、ピアノ伴奏と歌のシンプルな編成でその思いを表現しようと選んだ楽曲。編曲は主に僕が担当し、コーラスアレンジは3人で話し合いながら細かく修正を重ねました。本番では「フェスティバルホールの広い空間を3人の演奏で埋めて、良い空気にしてやろう!」という気持ちで臨みました。
このコンサートの前の週には、Zepp Nambaで開催された「大阪芸術大学 POP WAVE LIVE」にも別のユニットで参加。そちらでもピアノ伴奏の編曲と演奏を担当し、大きなステージで納得のいくパフォーマンスができたことが、自信になりました。
将来の進路はまだ模索中で、教員免許の取得もめざしていますが、作曲は続けていきたいと思っています。以前作ったオリジナル曲を先輩に評価していただき、プロの音響の方にレコーディングをしていただけることになりました。これをきっかけに、自分たちの音楽を少しずつ広げていけたらと思っています。この大学には、学科を超えた出会いが多く、先輩とのつながりからプロの道に近づく機会もあります。やりたいことを追求するのはもちろんですが、授業もしっかりと受けて、チャンスを待つだけでなく、自分から積極的に動いていくことが大切だと思います。

演奏学科2年生(声楽コース)
小山内 寛貴 さん

今回のコンサートでは、高校生の皆さんと一緒に合唱曲「おんがく」を歌いました。合唱は人数が増えるほど難しくなるため、合同練習の時からどうなるか期待していましたが、とても素晴らしい仕上がりになったと思います。僕自身も、立ち位置のアドバイスなど、高校生をリードすることで良い学びになりました。また「大学祝典序曲」は、オーケストラの曲に合唱が加わる特別な演出で、最後の盛り上がりは本当に感動的でした。歌い出しまで10分間立っているのは大変でしたが、心が高ぶり、気持ちよく歌いきることができました。一流の音楽家の先生方と同じ舞台に立てるのも、大阪芸大ならではの体験だと思います。指揮の大友先生からは、合唱だけでは気づけなかった視点を教えていただき、ソリストの先生方の歌声を間近で聴けたことも、大変勉強になりました。
授業では先生方から異なるアプローチや様々なアドバイスをいただき、最初はとまどうこともありましたが、それをうまくミックスして自分の音楽を創りあげるのが楽しいです。特に三原剛先生の教えは、筋肉の使い方など身体の内側から歌を捉え直す機会にもなっています。
今後の目標は、自分の技術を磨くだけでなく、合唱団で後輩を引っ張っていけるような存在になること。多くの本番で経験を積みながら、前の自分を超えて成長していきたいです。将来はどんな形でも音楽を続け、自分の歌で人を喜ばせることができるようになれたらと思っています。

演奏学科 4年生(管弦打コース/トランペット専攻)
長尾 和香 さん

今年の公演は、プロの音楽家の先生や高校生など大勢の方に参加していただき、「大学祝典序曲」には合唱も加わって、とても盛り上がるプログラムになりました。個人的に印象深かったのは、島田歌穂先生との共演です。「レ・ミゼラブル」日本初演など素晴らしい活躍をされているのに、とても気さくに話しかけてくださり、緊張もほぐれて楽しく演奏することができました。
1年生の頃からこうした一流ホールでの公演に出演させていただき、最初はただ吹くだけで精一杯でしたが、様々な会場で演奏する中で成長できたと思います。特に一昨年の東京のサントリーホールでの体験は格別でした。今回パートリーダーを務め、メンバーの特性を見極めながらどの曲で誰が演奏するか組合せを考えたのも、良い学びになりました。
大阪芸大は音楽系大学としては学生の人数が少ない分、一人ひとりを丁寧に指導してくださり、自分の先生だけでなく、他の楽器の先生方にも気にかけてもらえるのがありがたいです。演奏会で客演してくださる方から、プロ演奏家としての貴重なアドバイスをいただける機会も。また多学科とのコラボレーションする場面も多く、音楽以外の分野からも刺激を受けています。これまでの4年間の学びを通して音楽の魅力がより広く深く理解できるようになり、もっと知りたいという気持ちが強くなりました。卒業後は海外の大学院への留学に挑戦したいと考えています。

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