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ヨーロッパ国際セミナー ヨーロッパ国際セミナー

国際交流
2008/03/06

本学では、ヨーロッパにおけるデザイン・美術を学習する機会を学生に提供するために春期休暇を利用してヨーロッパ国際セミナーを実施しています。イタリア・ミラノにおけるミラノ工科大学・ポリデザイン協会で1週間、デザイン・美術の授業を行います。その後、ベネツィア、フィレンツェ、ローマといったイタリア各都市を訪問し、世界的に有名な美術館や聖堂等を見学して伝統溢れるヨーロッパ文化と美術に触れることができるようプログラムが組まれています。募集は、11月~12月に行います。

工芸学科 水森百合

ヨーロッパ国際セミナー初日in日本⇒イタリア

2月21日、ついにヨーロッパ国際セミナーが始まりました!私は日本から出たことがなかったので、かなりの緊張と期待を胸に搭乗しました。引率してくださる先生2名を含む36名がイタリアの首都ミラノに8時間かけて出発です。日本とイタリアの時差はマイナス8時間。男性のキャビンアテンダントさん(・・・さん付け?)がいるんだーと国際線初心者特有の(というより、田舎モンまるだしの)感想を心中で思いつつ・・・。イタリアの国内線に乗り継いで無事、全員ミラノに到着しました。

2~6日目(22~26日)inミラノ

ミラノ工科大学にてWORKSHOPが22-26日に行われました。

ミラノ工科大学

ミラノ工科大学は当初、工業の工場が多い地域だったために、エンジニアの養成校として設立されたのだそうです。1920年建築学科、1930年インダストリアルデザイン学科、そして2001年デザイン学部が設立し今に至ります、とWORKSHOP初日、とても美しい教授陣より大学説明をしていただきました。そして、特別講師としてデザイナーの水ともこ氏もWORKSHOPの間ご指導くださるとのこと。手がけたデザインをスライドで紹介していただきました。日本人女性デザイナーとしてミラノで活躍しているプロフェッショナルに直接お話を聞ける機会とあって、皆興奮気味でした。

説明後、POLI.DESIGNの方々がWelcome partyを開いてくれました。テーブルにはケーキにサーモンのマリネにハムにトマトにチーズなどなど!即お皿からなくなるほど、どれもおいしかったです!そして、大学内見学では、広い敷地の中、主に実習室をひとつひとつ案内していただき、実際に学生が作業を行っているところも見学できました。室内は道具や材料や学生の作品、模型などがたくさんありましたが、どこも整理整頓されていました。各スペースや廊下までもが広々ととってあり、仕切りが少なく、天井が高いのが素敵でした。その他、実習室ごとにその専攻のイメージボードも目印になるよう掲げてありました。シンプルな中に映えるポイントがある整えられた環境でした。

プロジェクト「イタリア土産」

研修の核であるプロジェクトとして、POLI.DESIGNから提示された課題「イタリア土産」に取り組みました。最近は持ち帰った後にも用途がある革新的お土産が登場してきていて、国の伝統や文化に注目したり、個人的体験から発想したりして、それらをかたちにし、デザインの効いたお土産を考えてくださいと事前説明を受けました。

その後、理論と実践を交えた教育的体験ということで、23~24日はPOLI.DESIGNの方々の引率のもと、照明色に香りまでこだわるルッチーゼデザイン、20世紀のデザインの巨匠アキッレ・カスティリオーニのスタジオミュージアム、トリエンナーレのデザインミュージアム、美しき白い大聖堂ドゥオモ、歴史の外観を保ちつづけるスフォルツェスコ城を訪問しました。特に環境デザイン学科の福原先生は真剣そのもの。生徒以上に身を乗り出して各場所の説明を聞かれていました(学生諸君、負けていられないぞ!)。23日の午後にはサンタマリア・デレ・グラツィエ教会にある、かの有名な「最後の晩餐」を観覧。実物を間近で見ることができて感動です。この二日間の間だけでも感嘆の声がときどきにあがっていました。セミナー参加者それぞれに感じたものや発見があったと思います。今現在と現代、そして過去と、ミラノのさわりを肌で感じることができました。

25~26日はこれらの体験を活かして「イタリア土産」のデザインをし、モデルをつくり、最終の26日の午後にはプレゼンテーションがPOLI.DESIGNにて行われました。各人が自ら考えたお土産をアピールし、「すぐデザインスタジオに売り込みにいける!」と評価された人もいました。異なる学科やコースで学ぶみんなの発表を見て、発想のおもしろさや、注目する視点など普段の大学とちがったメンバー環境で、わたしも得るものがいくつもありました。

短い期間でしたが、私自身学びたいことや、日本では感じられないその国の空気、そこから来るデザインなど、新鮮な刺激をもらうことができ、かなり充実したWORKSHOPでした!!このWORKSHOPを支えてくださった皆さん、ありがとうございました!

7日目inヴィチェンツァ

アンドレア・パッラーディオ通りに面する建築を見つつ、向かったのは、ルネサンス期の建築家、アンドレア・パッラーディオが設計し、その遺志を継いだ息子が完成させた世界遺産オリンピコ劇場。そのなかを観覧しました。半円を描く、木でできた階段状の客席のある劇場に入ると、なんと、劇場のスタッフの方々のご好意で、本来ならば3~10月に行われるシアターを特別にみせていただくことに!美しい歌声(音声のみ)と共に、遠近法を利用し、奥行きを実際の倍以上に感じさせる、町並みを模した舞台に微妙な日照の変化が照明によって表されつつ、物語が進んでいきました。あっという間でしたが、その情景表現はため息が出るほど美しく、もとの照明に変わっても厳粛な余韻が残っていました。世界遺産なので冷暖房はつけられず、冬は凍えるほど寒く、夏は蒸し風呂状態だそうです。管理も大変ですね・・・。スタッフの皆さん、ありがとうございました!

8~9日目inベニス

2月28日~3月1日の二日間、水の都ヴェネツィアにて終日自由行動です!
一日目はホテルのロビーでもらった地図を片手に散策です。イタリアは革工芸も有名ですが、ヴェネツィアはといえば、ヴェネツィアガラスが有名ですよね。その他、鐘楼のあるサンマルコ広場、黄金のサンマルコ大聖堂、溜息の橋、リアルト橋、ヴェネツィア派の絵画を多く収蔵するアカデミア美術館、モザイクの床も美しいサンタ・マリア・デッラ・サルーテ教会など、観光名所もさることながら、世界遺産に登録されているその街並みや深い緑の海すべてが見所です!朝ちょっと早起きして、刻々と変化してゆく空や朝日に照らされる街や海を眺めてみるのも、おつなものです。これほど一眼レフがほしいと思った瞬間はないです。
二日目は引率してくださっている工芸学科の山野先生がご配慮くださり、ちょうどニューヨークから戻ってきているガラス作家の土田康彦氏と共に、ムラーノ島のガラス工房を案内してくださいました!チェザレ(Cesare Toffolp)氏の工房では、世界一といわれるバーナーワークのデモを見せてくださいました。その魔法のようなテクニックに皆、「おおぉ!」と感動の拍手喝采でした。土田氏のご好意により、氏のアトリエで昼食をご馳走になった後、サルバドール・ダビデ氏の吹きガラス工房では、なんと世界で三本の指に入るといわれる、山野先生とダビデ氏がコラボレーションをすることに!この世紀のコラボに立ち会えるとはなんという幸運!!山野先生は銀箔を施したフォルムの美しい魚を、ダビデ氏は鮮やかな色が螺旋状に混ざり合う皿をつくり、最後に二つを合わせ、作品が完成しました。その様子を終始後ろから見ていましたが、あの制作中の緊張感は息をのみます。ムラーノ島を案内してくださった土田氏、山野先生、各工房の皆さん、ありがとうございました!

10日目inベニス⇒ボローニャ⇒フィレンツェ(2日)

ベニスからフィレンツェへ行く途中、ボローニャのサン・ペトローニオ大聖堂、ボローニャの斜塔などを見学しました。ガイドさんのおかげで、短時間で要所をみることができました。こんなに楽しく、快適に、安心していられるのも、影で支えてくださる先生方や、ガイドの方々、バスの運転手さんなど、たくさんの方々のおかげです。頭が上がりません・・・。

11日目inフィレンツェ⇒ローマ(3日)

午前中、ウフィッツィ美術館にてサンドロ・ボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」「春」、アンドレア・デル・ヴェロッキオの「キリスト洗礼」などを観覧し、アカデミア美術館ではミケランジェロの「ダビデ像」を見てまわりました。大作をたくさん見て、頭がパンクしそうです・・・。

12日目inローマ(4日)

歴史と遺跡の中に人々が暮らしている町並みです。ここは今までと違ってかなり車が混雑していました。路上駐車している車なのか、動いている車なのかよくわからないほどでした。そんな中、運転手さんのすばらしい運転テクニックと、ガイドさんのすばらしくわかりやすい説明を受けながら街の随所にある歴史的建築・美術館・遺跡などを目にすることができました。まるで映画のセットのなかにいるようで(実際、映画のロケ地としてよく登場しています)、自分がその場に立っているということだけでも大感激です。ヴァチカン美術館(ヴァチカン市国を一歩で行き来できるという変な感覚でした)、ボルゲーゼ美術館、サン・ピエトロ大聖堂、真実の口、コロッセオなど一日で回るにはもったいなく、語りつくせないほど見所満載でした!

13~14日目 inイタリア⇒日本(5~6日)帰国

空港に向かう途中の車内でのこと。郊外に新しく建設されているアパートが目を引きました。ガイドさんによると、歴史がある古い建物に住む価値がある、古い建物に住むことにあこがれるという感覚がイタリアにはあるそうです。家賃が高いのでお金持ちしか住めないらしいですが・・・。逆に、コンクリートで作られた新しい家に一般の方が住むそうです。日本とは感覚が違うところですね。でもその考えが広く根付いているからこそ、歴史や文化が守られ、受け継がれているのだなと思いました。

14日間、イタリアの空気をすって、歴史・文化・芸術に触れることができました。ここから得ることができた体験や、感動は参加した大芸生にとって今後に影響する大きな刺激を与えてくれたと感じています。この貴重な機会を与えてくださった、また支えてくださったすべての皆様に心から感謝します。本当に、ありがとうございました!!!