本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

FM802主催「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」に学生が影ナレやスタッフで参加 FM802主催「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」に学生が影ナレやスタッフで参加

放送学科, 芸術計画学科
2025/09/24

FM802の人気ラジオ番組『ROCK KIDS 802-OCHIKEN Goes ON!!』から誕生した音楽イベント「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」が8月9日、大阪・なんばHatchで開催されました。そして同イベントに、大阪芸術大学芸術計画学科の1年生19人が会場スタッフとして参加し、また放送学科アナウンス音声表現コース2年生の玉井詩乃さんが影ナレーションを担当。ミュージシャンたちによる華やかなステージを、大阪芸大生たちがプロのスタッフのみなさんと一緒に舞台裏から盛り上げました。

音楽ライブ、アート、eSports、コミュニティデザインなど様々なイベントのプロデュースや制作について学ぶことができる芸術計画学科。今回の「HIGH!HIGH!HIGH!」には、9mm Parabellum Bullet [Expand Session]、TenTwenty、BIGMAMA、フレデリック、Baby Canta、マルシィ、レトロリロンという豪華出演者が揃いました。芸術計画学科の学生たちにとっては、音楽イベントの現場がどのように制作・進行されているのかを体感することのできる貴重な1日になりました。

会場入りした芸術計画学科の学生たちはまず、FM802の番組プロデューサーで同学科客員教授の今江元紀先生の指導のもと、設営スタッフのみなさんがステージセットを組む様子などを見学。今江先生は、舞台監督などの紹介や、どのようにすればスムーズに楽器の準備やセットチェンジができるかなどを説明。ミュージシャンのベストパフォーマンスを引き出すために必要なことを学生たちに伝えました。

今江元紀先生は「どんなイベントでも、どのような目的を持ってやるかが大切」と学生たちに指導
普段は見ることができない舞台裏の装置やセットなどを目にし、メモをする手が止まらない学生たち

最初の実務は、来場客に手渡される、約20公演分ある1000枚以上のチラシを組んで、封入する業務。作業中、ついつい自分の判断で「こうしよう」と決めてしまう学生もいましたが、同行した同学科教授の田之頭一知先生が「分からないことがあったら、責任者のスタッフの方に聞きましょう」と声をかけます。学生たちはあらためて、「仕事とはいろんな人とコミュニケーションをとって進めていくもの」と気づいたのではないでしょうか。チラシ組みの後は、会場内に設置されたフォトスポットで来場客の記念撮影を手伝ったり、客席案内をおこなったり、イベントを作り上げる上で大切なスタッフワークを務め上げました。

配布物の準備作業に取り組む学生たち
フォトスポットやオフィシャルグッズにもなったアートワークを担当した透明回線は大阪芸大出身のメンバーで構成
来場者の手首にリストバンドを巻く学生
来場者が迷わないように場内の案内をおこなう学生
FM802のDJ・落合健太郎さんからアドバイスを受ける、影ナレーション担当の玉井詩乃さん

芸術計画学科の学生たちが会場のあちこちで奮闘している中、楽屋フロアの一角で台本とにらめっこしていたのが放送学科の玉井詩乃さんです。玉井さんは、FM802の局内を利用した放送学科学生対象のオーディションで合格し、大役に選ばれました。ちなみに影ナレーションとは、開演前に舞台袖でイベントの紹介や注意事項をアナウンスする仕事です。この日は、開演20分前と開演直前の2回、影ナレをおこないます。開演20分前の1回目の影ナレでは、気持ちのたかぶりを抑えられなかったのか、少し急ぎ気味に喋ってしまいました。


その様子を見ていたのが、FM802のDJで放送学科アナウンスコース(現・アナウンス音声表現コース)卒業生の板東さえかさんです。板東さんは6月25日、放送学科で声やラジオの仕事に興味を持っている学生に向けた特別講義で教壇にも立っていました。同講義は、今回の影ナレの企画のオリエンテーションの役割になり、学生たちが挑戦するきっかけを与えました。

1回目の影ナレを終えた後、板東さんはすぐに玉井さんのもとへ駆け寄り「2回目まで少し時間があるから、一緒に練習しましょう」と、即席レッスンがスタート。板東さんは「文章のアタマ(の言葉)に高低差をつける意識で台本を読むと、抑揚がつきます」「やりすぎじゃないかな、と思うくらいのテンションをイメージして読みましょう」とコツを伝授。


そしていよいよ開演直前の2回目の影ナレ。板東さんの指導を受けた玉井さんのその口調は、1回目に比べて感情豊かで滑らかに。「もし『不安だな』ということがあれば」などのアナウンスも、玉井さんは本当に不安そうな言い回しをするなど、台本の言葉に寄りそった感情表現をおこないました。そんな玉井さんの影ナレを受けて、場内からは大きな拍手が起きました。板東さんから「1回目よりすごく良くなった。しかも拍手までもらえるなんて、すごい」と声をかけられると、玉井さんの表情がほころびました。


音楽イベントは、ミュージシャンのみなさんが主役です。スポットライトも舞台上にだけ注がれます。しかし、華やかなパフォーマンスを支えているのは、たくさんのスタッフのみなさんです。学生たちはこの日、見えないところでたくさんの人たちが働いていて、そしてその一つ一つが重要な役割を担っていることを学んだのではないでしょうか。

6月25日の特別講義で板東さんは「在学中、自分の声を録音して声質を徹底的に研究した」と振り返った
オーディション時の玉井さんの様子。板東さんは「原稿を読む声も違和感がなく、良い意味で癖がない声」と評した
玉井詩乃さんは舞台袖から影ナレーションにチャレンジ。来場者からは拍手も起こった
FM802のDJで今回の影ナレのオーディションの審査も務めた板東さえかさんは、玉井さんの頑張りを労った
芸術計画学科客員教授
今江 元紀 先生

「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」の会場スタッフの体験を通して、芸術計画学科の学生たちには「いろんなイベントをプロデュースするにあたって、どういう思考や発想が必要か」という部分を学んで欲しいと思いました。イベントに携わることを目的とするのではなく、イベントの主催者やお客さんの行動パターンの背景にはなにがあるのか、それぞれの狙いに気づけるようになることが大切です。また、どんな仕事でも「失敗や損失を出さないためにどうするか」というリスクヘッジが求められます。前もって「こういうスケジュールを立てて準備していこう」という風にイベントを設計していかなければいけません。それらが芸術計画の考え方の軸になります。そこで必要となるのが、知識と経験値。たとえば音楽イベントを行うにあたって重要になるのが、ミュージシャンやその関係者とどれだけ信頼が築けているか。そのためにはライブへ足を運ぶなどし、「パフォーマンスを実際に生で見たことがない」という状況はなくしておくべき。また僕は、大学生だった2004年に初めて野外音楽イベントを制作しました。初めての音楽イベントだったので決してうまくいったとは思えませんでした。「結果を生み出すにはこういう工程が必要だ」という経験値が圧倒的に足りていなかったんです。ただ、その経験を積むためには結局、学生ならではの勢いでまずなにかを始めなければいけません。そういう意味では、芸術計画でもっとも大事なのは「始めた物事を最後までやり遂げるための行動力」なのかもしれません。それらの認識を深めた上で、学生たちにはあらためて漠然とその仕事に就くことを目的とするのではなく、イベントであれば舞台監督なのか、それとも別のなにかなのか、どのポジションで仕事をしたいのかをイメージしながら芸術計画について学んでいってもらいたいです。

放送学科卒業生/FM802 DJ
板東 さえか さん

「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」の開演前の影ナレのオーディションを担当させていただきましたが、素敵な候補生が揃っていた中、玉井詩乃さんを選んだ理由は「とにかく声がいい」という部分でした。影ナレはお客さんからは姿が見えないので、その声の持ち主が誰なのかも分からない場合があります。でもその分、純粋に声を聞いてもらうことができます。玉井さんは気持ちのいい声の持ち主ですし、どんなことを話しているのか聞き取りやすい。影ナレに向いている声だと言えます。その上で玉井さんは、私からのアドバイスもしっかり吸収して、本番に生かしていらっしゃいました。原稿に書かれていた「油断は禁物です」という一文などの言い方もしっかり練習してきたことがうかがえました。ご自身の中でイメージをちゃんと作ってきて、感情移入もできている印象がありました。影ナレは、開演前に良い空気を作って、その後に登場するミュージシャンにバトンを繋ぐ重要な役割を担っていますが、玉井さんはそういった点も含めて完璧にやり遂げられたのではないでしょうか。なにより今回は、玉井さんをはじめ、「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」の影ナレのオーディションに参加されたすべての学生の行動力が「素晴らしい」と感じました。ラジオDJをめざしていると話す学生も多かったですが、夢をつかむために必要なのは、失敗してもいいから行動すること。「一度やってみたことがあるか、どうか」という経験は、ちょっとしたことでもアドバンテージになりやすい。今回のオーディションはまさにその一つになったと思います。学生の間はとにかく失敗を恐れずにチャレンジするべき。それができていないと、本当に勝負をするべきところでうまくいかず、後悔することになりますから。どんなことでも、やる。それくらいの気持ちで学生生活を送ってもらいたいです。

芸術計画学科 1年生
平井 陽菜 さん

「HIGH!HIGH!HIGH! 2025」の会場スタッフに参加したきっかけは、自分は将来なにがしたいのか、検討する材料を得たいと思ったからです。私は高校生のとき、2.5次元アイドル「すとぷり」の公演へ行き、会場の一体感、ステージの様子、そしてなにより自分が観客としてその光景のなかにいることにワクワクしました。「私もいつかこういうものを作ってみたい」と思い、イベント制作に興味を持ちました。その後はイベント制作に携わる機会もあり、プログラム内容を考える楽しさも経験しました。それでも今回、会場スタッフを務めて改めて気づいたのは、舞台裏にはさまざまな役割があること。チラシを組んで封入する作業やお客様の誘導係を担当しましたが、いずれもイベントを作り上げる上ですごく必要な存在であるという認識を持ちました。そしてなにより印象的だったのが、楽しそうにしていらっしゃるお客様の姿。ワークショップを企画する仕事をやってみたいと考えていましたが、「音楽イベントもいいな」と選択肢が広がりました。現在は学校での学びと並行し、地域のイベントやアート系の活動にも参加しています。そういった経験を通し、いつか自分で、いろんな方に楽しんでいただけるイベントを企画したいです。

放送学科アナウンス音声表現コース 2年生
玉井 詩乃 さん

1回目の影ナレでは場の雰囲気もつかみきれず、原稿を読み間違えたとき「あ、どうしよう」と焦りが出てしまうところもありました。でも2回目に臨む前、板東さえかさんから「読み間違えたとしても、自分の心を落ち着かせて読み直したらいいよ」とアドバイスをいただいたんです。また、落ち着いて読むべき箇所には「ゆっくり」「待つ」などと原稿にも書いておきました。単調に読まないように意識もしました。事前に学内で実習発表会があって朗読をおこなったのですが、そこで感情を込めて文を読むことについて学んだので、その経験が今回の影ナレにも生かすこともできました。もちろん、お客様の中には「実力不足だな」と感じる方もいらっしゃったはず。自分自身もその自覚はあります。ただ、その中でも拍手をいただけたことは大きな自信になりました。私は将来、ラジオDJになりたいと思っています。リスナーの気持ちに寄り添ったり、自分の人柄を出したりしながら音楽を紹介することで、その曲がもっと魅力的に聞こえることがあります。私も「この人がDJを担当しているから、その番組が聞きたい」と言われるDJになることをめざして、大学でいろんなことを学んでいきたいです。

Photo gallery