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テーマは探検隊!地域活性に取り組む白浜プロジェクト テーマは探検隊!地域活性に取り組む白浜プロジェクト

芸術計画学科 / プロジェクト
2025/10/10

芸術計画学科が和歌山県白浜町の2つのリゾートホテルと協働して、「Summer Memories 2025 in 白浜」プロジェクトを実施。8月12・13日の2日間にわたって子ども向けの工作ワークショップを行いました。探検隊をコンセプトに、4つのワークショップでストーリー性のあるイベントを一からプロデュース。学生たちが企画から準備、広報、運営のすべてを担当し、子どもたちの夏の思い出作りと地域活性に取り組みました。

南紀白浜のリゾートホテルを舞台にした社会実装プロジェクト

白浜のSHIRAHAMA KEY TERRACE HOTEL SEAMORE(以下シーモア)と南紀白浜マリオットホテル(以下マリオット)を舞台に毎年開催されるこのプロジェクトは、芸術計画学科の基幹授業である「プロジェクト演習」の一環として行われています。

今年度は、南海トラフ地震臨時情報の影響で中心になってしまった昨年度からのメンバーを中心に、2・3年生合わせて22名が参加。昨年の企画をそのまま使うのではなく、ゼロからアイデアを出し合い、対象となる子どもたちはもちろん、保護者やスタッフなど関わるすべての人が楽しめる場づくりをめざしました。


単発のワークショップを中心に行う例年とは違って、今回は「探検隊」をテーマに4つのワークショップを連動させ、ストーリー性のあるイベントを構成。半年をかけて企画を練り、コンセプトや実施内容を組み立て、備品制作などの準備を進めました。広報用のイラストも学生が手がけ、ワクワク感や参加者の意欲を引き出すようなデザインに。また代表メンバーは教員とともに事前に現地を訪れ、下見や打合せを行うなど、万全の準備で本番を迎えました。

様々なアイデアを盛り込み、一連の流れを体験しながらストーリー性が楽しめるワークショップを企画
協力しあって準備を進める中で、チームワークやコミュニケーション力も培われた

探検隊になって冒険気分を楽しむ、4つのワークショップを展開

今回のイベントタイトルは「あつまれ!わくわく探検隊」。参加する子どもたちは、「探検隊ブック」を受け取り、探検隊の一員になるための4つの冒険に挑みます。まずはガチャガチャでクイズに挑戦。ミッションをクリアするたびに達成シールやワッペンをもらえる仕組みです。

2つ目は、自分だけのオリジナル双眼鏡を制作。3つ目の宝探しでは、大きな宝箱から「当たり」を見つけてバンダナを手に入れます。最後はナップザック作り。布用ペンなどで自由にデザインし、これまで手に入れたワッペンを貼り付けてオリジナルのナップザックを完成させます。

子どもたちがガチャガチャを回して、海の生き物にちなんだクイズに解答。楽しく答えられるようヒントにも工夫をプラス
好きな色の画用紙やリボンを選び、星型やハート型に切り抜いた紙を貼ったり絵を描いたりして双眼鏡を制作
宝探し用の宝箱は、学生たちが段ボールから手作りしたもの。現場で箱の隙間が目立つことが判明し、急きょ予備の紙を使って中身をかさ増しした
ナップザック作りでは、ミッションで集めたワッペンや、シール付きのフェルト、布用のペンを使って自由に創作

すべてのミッション後にチェキ撮影を行い、写真入りの「隊員証」をゲットして完了。今回のイベントでは、ごほうびがもらえる「報酬型」ではなく、参加者一人ひとりの創造性を引き出すことに重点が置かれました。双眼鏡やナップザック作りでは様々な色の画用紙やペンを用意して、自分らしい作品が作れるようサポート。子どもたちは学生スタッフと一緒にのびのびと制作を楽しんでいました。

ミッションごとにもらえる達成シールが、次への期待感を高め、子どもたちを夢中にさせた
自分で選んだ色のバンダナを巻いてもらって、探検隊気分もアップ。学生スタッフが明るい笑顔と声かけで子どもたちをサポート
できあがった双眼鏡やナップザックを手にポーズ!笑顔の写真を添えた隊員証が夏の思い出に

同じプログラムでも、会場が異なれば、運営方法も変わってきます。シーモアの会場は、玄関のそばで人通りは多いものの、足を止めてもらう工夫が必要。一方マリオットの会場は階段の上でやや人目に立ちにくく、積極的にお客様を呼び込む努力が求められました。各会場に合わせて配置や設営、動線確保はもちろん集客や案内などを配慮することも、学生たちには大きな学びになりました。

エントランスに近く活気ある雰囲気のシーモア会場。目的を持って行きかう来場者が多いため、チラシ配布などで通りかかる人の興味を引くアプローチを実施
ゆったりと落ち着いた空間が広がるマリオット会場。待ちの姿勢でなく、フロントやプールなど人の集まる場所へ積極的に出向いて集客した

ワークショップに参加した子どもたちからは「工作が楽しかった」「大学生と話せてうれしかった」「探検家になれて面白かった」など、満足の声が続々。保護者の方々にも「子どもたちに素敵な思い出ができた」「海やプールだけでなく室内で遊べて良かった」「親もゆっくりする時間ができた」など好評を博しました。


またホテル側からは、「“パンダロス”に陥った白浜温泉の活性化に寄与する意義深い取り組み。学生の皆さんが笑顔で積極的に取り組む姿が印象的でした」(シーモア)、「様々な交流から、新しいものが生まれる可能性を感じました。この体験が、皆さんの今後の活動に役立つきっかけになれば嬉しいです」(マリオット)と、プロジェクトの意義や可能性、今後に期待するコメントが寄せられました。

白浜でのワークショップは、学生たちにとっても特別な夏の思い出に。半年間をかけたプロジェクトを通じて得た様々な体験は、彼ら自身の未来を切り拓くための大きな力となっていくはずです。

芸術計画学科 特任准教授
緒方 江美 先生

このプロジェクトは、学生たちが企画から運営までを主体的に行い、実践的に学ぶことを目的とする授業です。例年は10数人が参加し5~6人のチーム体制で進めることが多いのですが、今年のメンバーは22名。正直これだけ多くの意見を一つにまとめるのは簡単ではありませんが、学生たちは「昨年できなかった分まで良いものにしたい」という強い意志と高い熱量で、プロジェクトに取り組みました。多人数の活動だからこそ、どうすれば全員が合意し、協力して企画を進められるかを工夫しつつ「自分の役割は何か」とじっくり考え、成長できる機会にもなったと思います。

事前にどんなに準備をしても、本番では想定外の状況が起こります。今回も、宝箱の中身のボリュームが足りなかったり、マジックペンを間違えて購入してしまったりと、様々なトラブルに直面しながらも、学生たちは柔軟に対応。集客に苦戦しても、自らロビーに出てチラシを配るなど積極的に動いて、解決策を探りました。こうした経験は、社会に出てから本当に役立つ実践力として、学生たちに深く根付いていくはずです。またこのプロジェクトを通じて生まれた白浜という土地との縁を、これからも大切に育んでいってくれたらと願っています。

一般的に大規模なイベントで学生が経験できるのは、受付や誘導といった補助的な役割がほとんどです。しかし芸術計画学科では、企画立案からコンセプト設定、予算管理、広報、備品や資材の準備、現場運営まで、学生がすべてを主体的に経験します。学内での講義や単なる補助では決して得られない学びが多く、それを産学連携の現場でリアルに体感できることこそが、本学科の強みだと自負しています。仲間と一緒にプロジェクトに取り組むこと、自分の考えを企画として形にすることに興味がある高校生の皆さんは、ぜひチャレンジしてみてください。

芸術計画学科 3年生
堀 菖子 さん

小さい頃よく遊びに行った白浜に関わりたいと思ったのがプロジェクト参加のきっかけです。去年は残念ながら中止になってしまったため、今年こそという気持ちで再挑戦。全体の代表とシーモアのリーダーを務めました。今回特に意識したのは、大学生目線ではなく、対象となる4~5歳の子どもが「楽しい」と思える内容にすること。22名のメンバーの意見をすり合わせるのは大変でしたが、企画が決まってからは、人数の多さをいかし、全員で協力して進めることができました。
本番ではみんなが臨機応変に動いてくれて、スムーズに運営できました。最初は参加者がなかなか集まらず不安でしたが、次第にお客様が増え、子どもたちがワークショップを回りながら本当に探検しているかのように楽しんでくれている姿を見て、頑張って良かったと達成感を感じました。
今回初めてリーダーとなり、最初は人前に立つことに苦手さを感じながらも、少しずつみんなをまとめられるようになってきて、とても良い経験になりました。また地元のテレビ取材を受け、家族が喜んでくれたのも嬉しかったです。芸術計画学科では、様々なイベントに実際にスタッフとして関われるのが魅力。今回も、昨年からの経験をいかして、資料作成やマニュアルの書き方など多くの学びを後輩たちに伝えることができました。私自身もこの体験を通して、人に笑顔になってもらうことにあらためて喜びを感じ、卒業後もそんな道に進めたらと考えています。

芸術計画学科 3年生
服部 美海 さん

私も昨年に引き続いてこのプロジェクトに参加。副代表とマリオットのリーダーとして、小さな子どもたちと関わることを楽しみに取り組みました。準備の段階で一番大切だと感じたのはコミュニケーションです。大人数の上に初めて話す2年生も多く、人間関係を築いて気持ちをまとめるのに苦労しましたが、みんなで力を合わせて作業を進行。特に宝箱などの備品作りでは、細部までこだわりたいメンバーが多く、楽しみながらも時間の制約の中で奮闘しました。
当日はあまり人が集まらず焦る場面も。でもフロントやプールに出向いて宣伝し、見本のナップザックを背負って「こんなの作れるよ」とアピールさせてもらうなど、ホテルの方のご協力もあって、多くの人に興味を持ってもらえました。水着のまま参加してくれる子もいて、嬉しかったです。子どもたちと接する時には、構えすぎず対等に話すことを心がけ、「お姉ちゃんと仲良くなれた」などと喜んでもらえると、心が温かくなりました。またこのプロジェクトを通して、何でも自分でやろうとせず「仲間を頼っていいんだ」と気づくことができ、人との関わり方も変わった気がします。
高校時代にコロナで文化祭が中止になった悔しさから、企画も実践もできる環境に惹かれて、芸術計画学科を選びました。芸大には、自分の好きなことに夢中になれる環境があります。ここでの学びをもとに、将来は「人と関わるのが好き」という気持ちをいかせる仕事に就きたいです。

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