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FM802の人気ラジオ番組「ROCK KIDS 802 OCHIKEN Goes ON!!」から生まれた音楽フェスティバル「HIGH! HIGH! HIGH!」。8月3日に大阪城ホールで開催されたこのライブイベントで、芸術計画学科の2・3年生がイベントプロデュースを体験。事前配信番組やオリジナルグッズを企画・制作し、プロデュース実践に必要なスキルや知識を学びました。
芸術計画学科の学生たちは、これまでにもFM802のイベントに運営スタッフとして参加し、配布物の準備や観客の誘導などを担当。大型ライブイベントの裏側にふれる貴重な機会となっていましたが、今年からさらに内容がパワーアップ!
FM802プロデューサーの今江元紀先生が同学科客員准教授に就任したのを機に、「プロジェクト演習」の授業の一環となり、学生自ら企画の立案から関わってプロデュースをじっくり学べるカリキュラムへと進化しました。
今回学生たちが取り組んだのは、イベントに先駆けてYouTubeで配信する事前PR番組と、ライブで販売するオリジナルマスクシールという2つのプロジェクト。いずれも学生たちが一から企画したものです。
コロナ禍でオンライン授業が中心となっているため、主にZoomを通したミーティングで計画を練り、対面授業で細かく調整。2・3年生合わせて31名のチームがそれぞれ意見を出し合って、コンセプトをまとめ、スケジュールや予算案、企画書などを作成し、今江先生の指導のもと、手配や準備を進めていきました。
事前PR番組「FM802×大阪芸術大学 HIGH! HIGH! HIGH! POP UP TV!!!」では、ライブで聴くと気分があがる曲のランキング、オリジナルグッズの紹介、出演アーティストのコメントVTRなど、構成を組み立て、台本やフリップを作成。大阪芸大生らしい視点でフェスの魅力を発信しようと趣向を凝らしました。
番組収録はFM802本社内で実施。制作に携わるプロスタッフの方々や、MCを務める本学卒業生でFM802 DJの板東さえかさん、フェスのアートワークを手がけた本学卒業生のクリエイターチーム「透明回線」たちと打合せを行い、スタジオでの収録本番にも立ち合いました。
番組は7月31日から芸術計画学科のYouTube チャンネルにて公開。直前にフェスを盛り上げ、観客の期待感を高めるのに一役買うことができました。
マスクを自由にデコレーションできるシールは、「ライブで声は出せないけれど、少しでも気分をあげてもらいたい」と立案した企画。フェスのビジュアルデザインに合わせてストリートポップ調のオリジナルマスクシールを制作し、販売用ブースやポスターも含めて全体のプロデュースを行いました。
フェス前日には会場内に、販売やシールを貼ってもらうためのブースを設営。感染症対策にも万全の配慮を行いながら作業を進めていきます。さらに今江先生の説明を受けながら、ステージや観客席、リハーサルの様子も見学。通常はなかなか見ることのできないリアルなイベント作りの現場を体感しました。
そしていよいよ本番当日!今江先生から注意事項を聴いたうえで、全員で最終準備と確認を実施。12時に開場すると分散入場やマスクと消毒ジェルの無料配布など感染防止対策を取りながら観客が迎え入れられ、学生たちはマスクシールの販売や、シールを貼るブースへの誘導、会場案内など各自の担当業務を行いました。
13時からライブがスタート。DISH//、yamaなど話題のアーティストが次々と登場し、会場は熱気の渦に。大阪芸大出身のヤバイTシャツ屋さん、このライブ限定のスペシャルバンドROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND、クリープハイプ、SUPER BEAVERなど豪華な出演者が約7時間に及ぶ熱いステージを繰り広げました。
学生たちも業務の合間をぬって、後部からステージや客席をチェック。観客の反応などプロデューサーとしての目線も意識しながら、全身でフェスのパワーと熱気にふれ、イベント作りの魅力をあらためて感じて「自分でもこんなイベントを作りたい!」と思った学生も多かったようです。
FM802は、独自のコンセプトやポリシーを持ってライブなどのプロジェクトも展開するラジオ局です。そこで色々な番組や音楽イベントを仕掛けてきた私自身の経験から、単なるプロデュースの手法だけでなく、独自性やこだわりを反映したイベント作りの考え方、取り組み方まで伝えています。
この授業で大切にしたのは、あくまでも学生自身が主体となって企画を進めること。まずは自分で考えて動くのが、独自のこだわりを追求する第一歩です。その中でエンタメの現場で人や物事がどう動いていくのか体感してもらい、プロデューサーに必要な要素を理解してもらうためのアシストを心掛けました。
イベントプロデュースを行うには、たとえば映像制作に関わる知識やデザインについてなど、クリエイティブ面の知識ももちろん必要ですが、それよりも専門家など周囲のブレーンの力をどれだけ借りながら、人と人をどう連携させていくかが大切だと思います。一つのイベントが出来上がる過程を通して、どのように人が関わり、価値観や考え方の異なるメンバーが一つの方向に向かって進むにはどうすればいいのか、そんな組織運営やコミュニケーションの重要性も感じ取ってもらえたのではないでしょうか。
今回参加した学生たちは、高い熱意を持って細部まで真剣に取り組んでくれました。基本的に学生たちが考えた通りの企画を形にでき、計画をやり遂げることができたのは良かったと思います。一方で、イベント全体を統括するプロデューサーとしては、注文をつけたい点もありました。うまく行かなかった部分の原因や、もっとマーケットに刺さる内容にするために足りなかった要素についても分析してほしい。自分の動きは遅くなかったか、どのタイミングでどう確認を取れば良かったかなど、全体の流れを総括し、反省点や課題を明確にすることまでが学びだと考えます。
コロナ禍でエンタメ業界は大きな影響を受けていますが、その時々の状況や条件を正しく把握した上で工夫すれば、可能性はもっと広がります。限られた状態の中でどんなアウトプットを生み出せるかがプロデューサーの腕の見せ所。若い皆さんには、過去の前例や常識にとらわれることなく、今だからこそやれることに真正面から向き合って、前に進んでほしいですね。
もともと音楽が大好き。将来はFM802のような所で音楽に関わる仕事に就きたいと考えていたため、今回「HIGH! HIGH! HIGH!」のプロジェクトに参加することを決めました。
私は3年生のチーフとして2・3年生全員のまとめ役を担当。情報伝達や指示出しが主な役割で、2年生から上がってきた書類のチェックや先生への確認作業、また事前番組の打合せや収録の立合いも行いました。
授業で実際に企画が動きだしてからライブ当日までわずか1か月余りというハードなスケジュールだったため、不安やプレッシャーはありました。でも限られた期間だったからこそ、集中して準備を進めることができ、学生同士や先生と緻密に連絡を取り合って、無事にプロジェクトを成功させられたのだと思います。
これまで観客として参加していたライブの裏側を実際に自分で確かめ、また数々のイベントを手がけてこられた今江先生からリアルな現場のお話を伺って、卒業後は音楽業界へ進みたいという気持ちが高まりました。ここで学んだことをいかして、自分の夢につなげていきたいと思います。
ずっとFM802を聴いて育ち、高校生の時に「HIGH! HIGH! HIGH!」で初めてフェスに参加。その感動が忘れられず芸術計画学科へ入学した私にとって、憧れのイベントに関われるこの授業は、まさに夢がかなった体験でした。
2年生のチーフを務めた私は、3年生から降りてきた情報を2年生に共有したり、何か問題点や疑問点を抱えている人のサポートなどを中心に担当しました。得意なイラストを描く機会もあって楽しかったです。苦労したのは、前例がないプロジェクトのため、すべて一から組み立てなければならなかったこと。私自身も人前に立つ経験があまりなく、戸惑うこともありましたが、支えてくれる仲間や頼りになる3年生の先輩方のおかげで乗り越えることができました。学年を超えて一緒のプロジェクトに取り組む中で、いろんな発見や学びがあったと感じます。
前日と当日は、ライブがどう作られ、どう進んでいくかを体感できて、とても勉強になりました。事前番組を見たという観客の方がマスクシールを購入してくださったのも、すごくうれしかったですね。大好きなラジオ局のイベントに携わり、昔からファンだったアーティストのステージも見られて幸せでした。
これからも色々な人とふれあって視野を広げ、他学科の授業を受講したりイベントに役立つ資格を取得するなど多くのことを吸収し、成長していきたいです。