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第40回オペラ公演「氷山ルリの大航海」 第40回オペラ公演「氷山ルリの大航海」

第40回オペラ公演「氷山ルリの大航海」
演奏学科 / その他
2019/03/06

40周年の節目に、ファンタジックな童話の初オペラ化に挑戦!

記念すべき40回目を迎えた大阪芸術大学のオペラ公演が、2019年3月6日に開催されました。例年はモーツァルトの代表作を上演してきましたが、今回は本学客員教授であられる高円宮妃久子殿下が原作を手がけられた絵本「氷山ルリの大航海」の初のオペラ化に挑戦。満員のNHK大阪ホールで妃殿下が見守られる中、学科を超えたコラボレーションによって壮大なファンタジー作品が展開されました。

川井郁子先生が新曲を書き下ろし
豊かな生歌で紡ぐ冒険譚

本作の主人公は、北極で生まれた氷山ルリ。次々と仲間の氷たちがとけて海に飲み込まれていく原因を探るため、もうひとつの氷の国、南極へ向かう旅を通して成長していく姿を描いた物語です。大阪芸術大学では2006年にミュージカル化して以来、2度の上演経験がありますが、オペラ化は今回が初めて。脚本を一新し、世界的ヴァイオリニストで作曲家の演奏学科教授・川井郁子先生によって新曲が追加されました。


物語全体を貫くテーマは、“地球という自然の豊かさ”と“仲間と助け合って生きる素晴らしさ”です。舞台前に設けられたオーケストラピットには、大阪芸術大学管弦楽団。同学科教授の大友直人先生の指揮の下で珠玉の音色が紡がれるなか、バリトン独唱から始まる雄大な冒険のテーマ曲、透明感のある伸びやかな歌声で魅了するルリの独唱、楽しくコミカルで、ときに慈愛あふれる仲間の動物のテーマ曲など、声楽コースの学生たちの熱演によって、情感豊かで迫力ある生歌が会場に響き渡りました。

学科間のコラボレーションも
ダンスと映像で舞台を彩る

冒険中にルリが出会った美しい生きものたちを表現したのは、舞台芸術学科の学生たちによるダンスパフォーマンス。アクロバティックなイルカのストリートダンスに、優美なショウジョウトキのモダンバレエ、愛らしいペンギンのよちよちダンスなど、舞台上をフルに活用してキレのあるダンスを繰り広げます。また、アートサイエンス学科の学生が手がけた、夜空に瞬く星空やオーロラなどの映像演出も。最新テクノロジーを駆使し、原作絵本が持つ幻想的な世界観を見事に再現しました。


プロの俳優や音楽家でも、初演では並々ならぬプレッシャーがかかるもの。それを見事にはねのけて、新鮮な感動を呼び起こした学生たち。本公演は、技術的にも精神的にも、彼らをひと回り成長させてくれた素晴らしい機会となりました。

Interview

演奏学科 声楽コース
菅原 あや乃さん

定期オペラ公演への出演は3回目。学内オーディションを経て、主人公のルリ役をいただきました。実は、最初はオーディションを受けるかどうか迷っていたんです。初のオペラ作品で前例がなく、苦手としている演技パートも多かったので、自分では力不足だと思って。でも「誰もが初めてで不安なんだから、自分らしく思いっきりやろう!」と思い、精一杯練習してきました。歌や演技、ダンスをご指導くださるのは、第一線の舞台で活躍されているプロの先生方。密度が濃く、ハイレベルなレッスンを経験できたことに感謝しています。<br>主人公ルリは、氷山の「氷の精」です。元気で好奇心旺盛な少年のイメージがある一方、生身の人間とは異なり、「氷が溶けると消えてしまう」というはかなさを秘めた存在でもあります。そんなルリの多彩な側面を意識して演じるように心がけました。舞台の魅せどころのひとつは、私たち声楽コースの歌唱シーンです。ルリのソロパートも、三重奏や合唱も、オペラの魅力はマイクを使わずに「生の歌声」の美しさや迫力を、観客席に直接届けられるところにあると思います。生歌を通して、地球や仲間を大切に思う気持ち、大海原を旅するワクワク感をお伝えできたらうれしいですね。<br>私は幼い頃からバレエを習ってきました。憧れの舞台俳優になるための、いちレッスンとして始めた声楽が、いつしか自分にとって一番大切な存在になりました。この公演で学んだことを糧に、将来はプロとしてオペラの舞台に立てるよう、さらに表現力を磨いていきたいと思います。

演奏学科 管弦打コース
三喜田 真斗さん

僕の専門は打楽器、特にドラムスです。オペラ公演は初参加でしたが、終わってしまうのが悲しいくらい、本番まで充実した日々を過ごしてきました。今回は新曲が多いのはもちろん、既存曲もすべてオーケストラ用に書き起こされたもの。僕らが演奏することで初めて、実際の音色がこの世に生まれていくんです。その瞬間に立ち会えたことはとても光栄でした。また、「このリズムの方が曲に合うのでは?」と作曲者の先生とディスカッションしながら、共に曲を作り上げていく作業も楽しかったです。<br>今回は打楽器の見せ場が特に多いんです。楽器の種類もティンパニやドラムから、グロッケン、シロフォン、小楽器も入れると20種類以上。冒頭はラテン楽器のジャンベから始まり、後半にペンギンが踊る曲はにぎやかなサンバを奏でて盛り上げます。オペラにおいて僕らオーケストラは、演者さんのサポート役。僕らがいい演奏をすると、演者さんも乗ってきていい演技で返してくれるのがオーケストラピットにいてもわかるんです。これって、オペラならではの醍醐味ですよね。小学校6年生から続けてきたドラムですが、大学で専門的に学ぶことができ、視野が広がりました。将来の進路は演奏者や、音楽の楽しさを伝える教師にも惹かれています。夢を叶えるため、残りの学生生活でさらに学びを深めていきたいです。