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「構想力」で未来を描け! アートサイエンス学科の作品展「X展」 「構想力」で未来を描け! アートサイエンス学科の作品展「X展」

アートサイエンス学科
2023/11/14

理系・文系・芸術系の幅広い分野を横断しながら、新たな価値を生み出す力を育むアートサイエンス学科。学生や教員の作品を紹介する「X展」が、2023年7月10日~17日に、大阪・南港のATCで開催されました。

 アートとサイエンスを総合することで生まれる様々な作品が展示され、楽しみながら参加できるワークショップも実施。会場は幅広い世代の来場者でにぎわい、学生たちにとっても大きな学びの場となりました。

アートとテクノロジーを結び、人と社会を変進させる作品が一堂に

アートサイエンス学科の魅力を広く発信するX展。2023年度は、国の研究開発プロジェクトの一環として行われた社会実験イベント「アバターまつり」と連動する形で、大阪・住之江区のアジア太平洋トレードセンター(ATC)ITM棟にて開催されました。ロボットやアバターが集合するこのイベントにあわせて、今回のX展は、AIやロボット、XRなどに関わる作品を中心に展示。例年以上にアートサイエンスへの興味関心度の高い来場者が数多く訪れました。

「アバターまつり」に関連して、X展でもあちこちにCGエージェントを配置。制作者がその場にいなくても、遠隔アバター対話でリアルタイムに会場案内や作品説明ができる。

ITM棟2階と3階の2つのスペースを使用。2階には、ロボットやVR、音に焦点を当てたインスタレーションなどの10作品が展示されました。海外から訪れた人や家族連れなどを含め、大勢の来場者が作品を鑑賞。動物型ロボットに触れたり、VR用ゴーグルを装着して仮想現実を体感するなど、実際に作品を体験しながら楽しみ、作品のテーマや技法などについて質問する方も多く見られました。

手触りや温度など触感をテーマにした癒しを与える鳥ロボット「Alolu」(卒業生作品)
研究室の実験室を舞台、ぬいぐるみをモチーフにしたVRゲーム作品「Re:Re(リリー)」(学生チーム作品)
指でさわると街の音が再生されるインスタレーション「Archive Records」(卒業生作品)

3階の会場に展示されたのは、プロジェクションマッピングやインタラクティブアート、デジタルゲームなど14作品。現代社会にフォーカスして問題提起する作品や、今までにない楽しさや美しさを提案する作品の数々に、注目が集まりました。

学生たちがガイドとして来場者に説明を行うのも、X展の特徴の一つ。作品のコンセプトや技術的な手法をわかりやすく伝えたり、感想を聞いたりすることで、多くの気づきを得ることができます。

3階会場では、見る位置によって認識が変わるインスタレーションや、AIエージェント同士が対話するメディアアートなど、斬新な発想の作品が。ネイキッドやチームラボとの産学連携作品や東京国際プロジェクションマッピングアワード受賞作品も展示。
遊び感覚でレジ体験を楽しみながら、算数や国語の問題を解いていくゲーム作品「ピッと!スター」(学生チーム作品)
惑星型のアイスクリームを積み上げていくバランスゲームとファンタジーな世界観を組み合わせた作品「積み上げろ!惑星あいす」(学生チーム作品)

期間中、アートサイエンスを体感できるワークショップも行われました。ロボットをプログラミングして、光の軌跡で描くアートを制作。ロボットやAIに興味を持つ小中高生が参加し、「とても楽しかった」「プログラミングまではやったことがあったけれど、光で作品を作ったのは初めて」「きれいな写真が撮れて嬉しかった」など、テクノロジーによってアート表現を生み出す魅力を感じていました。

ワークショップでは、キットを使った車型ロボットの組み立てからアート制作まで体験。センサーによって床の線の上を走らせ、ロボットに付けたLEDの光の軌跡を長時間露光撮影した。
アートサイエンス学科 教授
安藤 英由樹 先生(インタフェース研究者)

アートサイエンス学科では、様々な分野を横断して、新たな価値の創出や社会課題の解決につながる作品、また見る人の想像力を刺激して感動やワクワクを生み出す作品などをつくりだしています。X展は、そうした作品の鑑賞・体感を通じて、アートサイエンスとはどういうものかを知っていただく場。今回は「アバターまつり」と連動したことで、ロボットやアバター、AIなどに興味をもつ来場者が増え、大手電機メーカーなど企業の方々からも関心を示していただきました。

回を重ねるごとに学生たちの作品も進化しています。ここでは、アートという自由な発想からスタートし、アイデアと論理や技術を往復しながら作品をつくりあげていくアプローチが基本ですが、これは工学部などの論理をベースにした手法とはまったく異なるもの。たとえば吃音などの自分の個性にあえて踏み込み、作品化することでほぼ克服した学生も。自分自身と向き合い、自分の抱える悩みや疑問の追求や表現のために作品を制作する手法は、まさに現代アートの領域といえます。こうした学問は他にはないのではないでしょうか。

様々なテクノロジーをツールとして使い、発想力・論理的思考力・表現力を掛け合わせた“構想力”によって新しい何かを生み出すことで、人や社会に影響を与えていく。そうした能力があれば、従来の常識や既存の枠を超えて、自分らしい生き方もどんどん開拓していけるでしょう。そのためには、詰め込み型の勉強だけでなく、自分が本当に好きなものや興味があることを突き詰めていく姿勢を大切にしてほしいですね。

9月にオーストリアのリンツ市で開催される「アルス・エレクトロニカ」に、大阪芸術大学ブースとして出展し、有志の学生約10名も同行します。これは、芸術・先端技術・文化の祭典で、世界最大級の規模を誇るメディアアートのイベント。このような場で作品を発表し、世界中から集まった最前線の作品にふれる体験が、アートサイエンスの可能性をさらに広げ、国際的に活躍する人材の育成にもつながればと考えています。

アートサイエンス学科 4年生
杉本 凛 さん

今回のX展に、謎解きとホラーを組み合わせた脱出型ゲームを楽しむVR作品「Re:Re(リリー)」を出展しました。1年生を中心にした10名のチームで、プログラミングやグラフィックデザイン、シナリオ、音響デザイン、3Dアートなどそれぞれ役割を分担し、約3か月をかけて制作。4年生の僕はサポート役で参加し、グラフィックをメインに3Dモデリングも一部担当しました。個人的にはこれまで主に映像系を手がけてきたため、経験の浅いモデリングに苦労しましたが、1年生でも実力の高いメンバーが多く、細部までクオリティにこだわって制作できたと思います。作品を体験してくださったお客様からも、「立体感があって迫力満点だった」「初めてVRを体験して、こんな見え方をするんだと驚いた」などとても良い反響がありました。
来場したお客様に作品を見ていただきながら直接コミュニケーションできるのも、X展の醍醐味です。僕は昨年度もガイドスタッフを務めたのですが、作品についてわかりやすく簡潔に説明することの大切さを実感し、次の作品制作のヒントを得ることもできました。
いま卒業制作として取り組んでいるのは、繊細で感覚過敏な人を対象にしたセラピーアートです。自分も当事者の一人として、そのような気質から疲れやストレスを感じやすい人たちの心を癒す作品を制作したいと考えています。できれば卒業後は大学院に進んで学びを深めながら、このテーマをライフワークとして追求していきたい。そうした人たちの社会参加を後押しし、いずれは社会課題の一つともなっている精神疾患にも役立つような研究制作ができたらと考えています。

アートサイエンス学科 3年生
葛上 佳奈 さん

「ピッとスター」は、スキャナーでバーコードを読み取るレジ体験とゲーム性を組み合わせて、シルエットクイズや計算問題、タイムアタックなど様々な遊び方ができる作品です。子どもたちに新しい学びの楽しさを提案するイベント「キッズテックエキスポ」で好評を得て、X展にも出展することになりました。ゲームのワクワク感やリピート性を高めるために、かわいいキャラクターや参加記念のステッカーなどの工夫も取り入れたことで、体験してくれた子どもたちや親御さんにも喜んでもらえ、嬉しい声をたくさん聴くことができて、とても嬉しかったです。
制作は2年次の授業で、4名のチームで取り組みました。私はリーダーとシステム部分を担当したものの、実はプログラミングは大の苦手。何度も行き詰まりながら、先生や先輩方に助けられて仕上げることができました。リーダーとして全員の意見を聞きながらチームのモチベーションを保つのも大変でしたが、苦労したぶん達成感も大きくて、自分でも成長できたなと思います。
私が思うアートサイエンス学科の魅力は、多様性が豊かなところ。どんな意見も否定せずに受け止めてもらえるので、自分の意見をしっかり主張し、物事をいろんな方向から見られるようになりました。一から丁寧に教えてもらえるから、苦手分野があっても大丈夫。誰も取り残すことなく、自分の長所や可能性を引き出してもらえる学科だと思います。現在は、身体が動かせなくなる難病ALS(筋委縮性側索硬化症)の患者さんをはじめ誰もが楽しめる視覚的アートを構想中。X展での体験も生かして、納得のいく作品を完成させたいです。