本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

「太陽の塔」にアートサイエンス学科が考案したプロジェクションマッピングを投影 「太陽の塔」にアートサイエンス学科が考案したプロジェクションマッピングを投影

アートサイエンス学科
2025/03/19

大阪芸術大学アートサイエンス学科の学生たちが企画・構成で携わった「太陽の塔プロジェクションマッピング in イルミナイト万博~2024 WINTER~」が、大阪・万博記念公園で開催されました。同イベントは、若い才能を育むために取り組まれている「0×0=∞(ムゲンダイ)プロジェクト」の一環で、株式会社ネイキッドと同学科生たちが共創したプロジェクションマッピング映像が投影され2025年開催『大阪・関西万博』への期待感を高まらせる内容になりました。

「太陽の塔」に映し出される輝かしい未来

芸術家・岡本太郎さんがデザインし、1970年開催『日本万国博覧会』のテーマ館の一部として建造された「太陽の塔」。『日本万国博覧会』終了後も「太陽の塔」は、大阪のみならず日本のシンボルとして万博記念公園にそびえています。アートサイエンス学科の1年生たちは今回、そんな「太陽の塔」に投影するプロジェクションマッピング作品の企画・構成を考えるという重要な役割を担いました。

「イルミナイト万博」開催前日、細かい部分までチェックをおこなう川坂翔先生(右)たち
自分たちが企画や構成を練ったプロジェクションマッピングを見つめる学生たち

作品のテーマになったのは、「“Energy for Future”~未来へのエネルギー~」。「太陽の塔」は、未来を象徴する「黄金の顔」、現在を象徴する「太陽の顔」、過去を象徴する「黒い太陽」、そして塔内部にあるという古代を象徴する「地底の顔」の4つの顔で形成されています。プロジェクションマッピング作品では、その4つの顔を「太陽の塔」の前面に映し出し、その顔が時代と共に変化していく様子、さらに“「未来」のその先”にどんなことがあるのかなどを表現。2025年に開かれる『大阪・関西万博』が新たな価値観や創造を生み、光ある未来が訪れることを予感させるものになっていました。

映し出される年号「2024」から、『大阪・関西万博』が開催される「2025」へと切り替わる

またストーリー展開も見ごたえたっぷり。縄文時代の石槍が鍵を開けると、新たな文明の象徴として飛行機が飛び立ち、続いて万国旗が旗めく光景が広がります。それはまさに、日本中、世界中からたくさんの人が集まって賑わった1970年の『日本万国博覧会』の記憶をよみがえらせるものに。開催当時、特に話題を集めた「月の石」が登場する場面は大きな見どころと言えるでしょう。終盤、煌びやかな未来を表現するような映像演出も圧倒的な迫力を放っています。

「太陽の塔」を生かしたプロジェクションマッピングで再現された、1970年の『日本万国博覧会』
眩い光が発せられるなどして顔などが次々変化。鑑賞者もいろんな解釈を膨らませながら楽しむことができる

アートサイエンス学科の学生たちは、自分たちがアイデアを出し合って完成したプロジェクションマッピング作品を嬉しそうに鑑賞していました。また、制作を担当したネイキッドのクリエイターのみなさんの技術力の高さを目にし、「いつか自分もこういうすごいものを作りたい」と自分たちの“未来”にも思いをはせていました。

川坂翔先生の指導のもと、プロジェクトに携わったアートサイエンス学科の学生たちと特別参加の高校生(画像右端)
アートサイエンス学科 講師
川坂 翔 先生

今回、アイデアを出す段階で学生たちには3つのポイントについて話し合ってもらいました。1つは、「太陽の塔」にリスペクトを持つこと。制作された岡本太郎さんは、私は芸術界における異端児だと感じています。それまでの世の中に“なかったもの”を作り上げ、信念を持って作品を提示された印象があります。その絶大な想像力とパワーに感服するばかりです。そういったリスペクトを表すために、学生には「太陽の塔」の歴史をしっかり調べてもらいました。2つめは、インバウンドで訪れた海外の方や12月のイルミネーションシーズンを意識すること。ですので「言語を越えて伝わるもの」をイメージした上で、煌びやかな作品を考えてもらいました。3つめは、「太陽の塔」でプロジェクションマッピングをするおもしろさ。モニターやビジョンに映すのとは違う特性について、理解を深めてもらいました。そういった中で作品的に重点を置いたのが、「太陽の塔」が古代、過去、現在、未来を象徴する4つの顔を持っていること。それぞれの時代の顔について再解釈を深めた上で、“5つめの顔”をキーワードにしました。特に学生たちは、これらかの未来を作っていく存在。「みんなのエネルギーを作品として表現できたら」と話しました。また今回、1年生が取り組んだ企画開発は、物事を進める上でもっとも大切な作業。どれだけ技術を身につけても、メッセージ性がないと“なんとなくの作品”へ陥ります。その一方、ゼロからイチが生まれることはほとんどないとも言えます。誰もがなにかしらの影響を受けて作品などを作り上げていますから。自分がそれまでインプットしてきたものに自己解釈をまじえたり、いろいろ組み合わせたりして作品を作ってみると良いと思います。つまり既存のものを掛け合わせると新しいものが生まれる可能性がある、ということ。たとえば今のレトロブームも、レトロなものに現代的価値観がミックスされたから流行したと捉えられます。2025年の『大阪・関西万博』もそのようになにか新しいものが生まれるきっかけになるはずだと思っています。

アートサイエンス学科 1年生
山下 真由 さん

今回の企画を考えるにあたって「太陽の塔」や1970年の『日本万国博覧会』について頑張って調べました。特に意識したのが、「太陽の塔」を制作された岡本太郎さんへのリスペクトです。たとえばプロジェクションマッピング作品の最後の“「未来」のその先”の演出も、岡本太郎さんのデザインに近い要素をいれるようにしました。そんな中、私の意見が色濃く反映された箇所は、作品冒頭に登場する古代の表現。縄文時代をイメージした壁を石器の槍が突き破り、来へと進んでいく展開は自分のこだわりが詰まっています。また作品全体の印象としては、私たちが描いた絵コンテをネイキッドのクリエイターのみなさんが忠実に再現してくださったところに驚きがありました。学生たちでいろいろ試行錯誤して案を出したので、それが形になった喜びもありました。アートサイエンス学科はそうやって、自分が表現したいことを最新の技術や表現などを使って作品化する方法や知識が学べます。こういう風に社会を変えたい、固定概念を覆したい。そんなときはアートサイエンスの技術やアイデアが必要になるはず。私はこのアートサイエンス学科で企画のことなどを学び、将来的には、プロデューサーのような立場で技術者の方々と一緒に作品を完成させる仕事に就きたいです。

アートサイエンス学科 1年生
五輪 空雅 さん

このプロジェクションマッピング作品で、自分たちがもっとも心がけたことは“「未来」のその先”を想像できるような演出です。「太陽の塔」は、時代に合わせた「黄金の顔」「太陽の顔」「黒い太陽」「地底の顔」の4つの顔を持っています。そこで自分たちは「5つめの顔を作ろう」をコンセプトにし、“「未来」のその先”の顔をイメージしてアイデアを出し合いました。それらの顔が変化する展開には特にこだわりがあり、制作をしてくださったネイキッドのみなさんにもそういった意図をお伝えしました。僕はそんな中、“2025年の顔”が爆発して“「未来」のその先”が表れるところの案を出しました。その箇所は、新しい時代や物事が巡ってくることに対する前向きなメッセージになっています。また、今回のようなプロジェクトは、やりたいことが多すぎて一つに定まっていない自分にとって貴重な経験になりました。アートサイエンス学科に入学したきっかけも、幅広い分野を学びながら、自分のやりたいことを見つけるため。やりたいことの中には映像演出、イベント演出もあるのですが、まずはかたっぱしから技術を学んで持っている知識や能力を伸ばしていきたいです。

Photo Gallery