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「ピカソ、天才の秘密」展で高校生たちがアート体験! 「ピカソ、天才の秘密」展で高校生たちがアート体験!

美術学科
2016/07/01

「ピカソ、天才の秘密」展で高校生たちがアート体験!

美術館で名画に触れた体験をもとに、実際にアートを制作する。そんなユニークな美術セミナーが、あべのハルカス美術館で開催中の「ピカソ、天才の秘密」展で行われた。


大阪芸術大学では、アートを志す高校生に向けて、特別美術セミナーを開催している。過去5回の企画はいずれも好評を博し、第6回目となる今回は、あべのハルカス美術館で「ピカソ、天才の秘密」展の開催を記念して行われた。美術館を貸切って名画を鑑賞し、大阪芸術大学美術学科教員の指導を受けながら作品を作るという貴重な体験に、参加した高校生たちは、いきいきと目を輝かせて取り組んだ。

大学さながらの学びを美術館でリアル体験

今回のセミナーは、20世紀最大の画家・ピカソがテーマ。全74点の作品が集結したあべのハルカス美術館「ピカソ、天才の秘密」展―7月3日(日)まで開催中―の協力により、あべのハルカス内にある大阪芸術大学スカイキャンパスで、5月28日(土)、6月12日(日)・18日(土)の3日間にわたって行われた。
参加したのは、芸術系の高校や美術部などに所属する高校生ら約50人。大阪芸術大学美術学科の教員が指導にあたり、同学科で学ぶ大学生も一緒に作品制作を行うため、まさに大学で行われる授業と同じような取り組みを実際に体感することができるのだ。

貸切の展覧会場で名画に触発

第1日目は、大阪芸術大学美術学科の村居正之学科長の挨拶後、まずピカソの創作活動を探る手掛かりにと、ドキュメンタリー映画「ミステリアス・ピカソ~天才の秘密」を上映。指導にあたった高田光治教授ら美術学科教員のレクチャーを受け、いよいよ展覧会へ。閉館時間後のあべのハルカス美術館が、このセミナーのために特別開館された。
この展覧会では、稀少な「青の時代」「バラ色の時代」の油彩8点を含め、少年時代からキュビスムまで多彩なピカソ作品を展示。「ピカソといえば抽象画しか知らなかったので新鮮」「色々な作品があって面白い」と、名画に見入る参加者たち。館内を貸切り、じっくり鑑賞を楽しんだ。

今回制作する作品の課題は、人物写真のパネルを使用し、その半身にアートをほどこすというもの。高田教授は「ピカソになったつもりで、アイデアをふくらませてください」と説明。これから制作開始まで約2週間の準備期間に、参加者は自由に構想を練り、好きな材料を用意するのだ。

素材も手法も自由に独創的な作品を制作

第2日目、スカイキャンパス内のセミナールームで、作品制作がスタート。雑誌や新聞などの切り抜きをコラージュする人、油絵具やアクリル絵具で描く人。それぞれ思い思いの技法や発想で制作を進めていく。
あえて机も椅子も使わず、作業は床の上で。みな好きな場所に座り、「遠足みたい」とリラックスしながらも、集中した表情だ。
教員が会場内を巡回し、「この発想は面白いね」「こんな色も使ってみたら」など、丁寧にアドバイス。途中でいったん手を止め、再び美術館へ足を運んで名画を鑑賞。すると、また違うイメージが浮かぶ。こうしてもとは同じ白黒写真が、次第にまったく違う作品へと変貌していく。

作品ごとの講評が今後の励みに

第3日目は仕上げ作業。時間をおくことで新たなアイデアがわき、前回とはがらりと違う雰囲気になる作品も。参加者の面持ちも真剣さを増していく。
完成後は、全作品を並べての合評会。作品ごとに魅力や今後の課題などが教員からコメントされ、参加者にとって大きな励みに。
「予想以上にハイレベルな仕上がり」「高校生の作品は特に既成の枠組みを超えて元気なものが多かった」などの総括に続き、「これから作家を目指すなら、人との差別化を図ることが大切」とエールが贈られた。
3日間のセミナーを締めくくる懇親会では、大学生や教員も入り交じって、和やかに談笑。「とても楽しくいい経験になりました」「また参加したい」と高校生たちは声を弾ませていた。

今回の大阪芸大 Art lab.を受講して

大阪市立工芸高等学校 2年生 大石 遥 さん

展覧会を見て、ピカソのイメージが変わりました。制作では、色々な素材を用意しておき、手の形を切り抜いたダンボールなど、その場で思いついたアイデアを作品化。モチーフを見てデッサンするのではなく、自由な発想や表現を形にできるのが面白かったです。
大阪府立咲洲高等学校 2年生 玉住 聖 くん

普段からよく使うペンで緻密な作品に挑戦。描き進めていくうちにイメージがふくらみ、火星や宇宙人というテーマが浮かびました。将来は美術を学んで絵の仕事に就くのが目標。ピカソのように個性を大切にして、他の人とは違う表現を追求していきたいです。
大阪市立工芸高等学校 1年生 檜垣 小春 さん

パネルからはみ出すようにコラージュしたり、大胆に色彩を組み合わせたり、のびのび自由に制作。初めて使った画材も多かったので、新鮮な気持ちでチャレンジできました。床に座るスタイルは、動きやすく、他の人と意見を交わしながら制作できて楽しかったです。
兵庫県立西宮北高等学校 3年生 竹内 百歌 さん

紙粘土やひも、綿などを使い立体的な作品に。このセミナーには何度も参加していますが、今回は特に自由度が高く興味深い内容でした。先生方の温かいサポートや大学の雰囲気に惹かれて、卒業後は大阪芸大に進学を希望。色々な人や刺激に出会えるのが楽しみです。
大阪市立工芸高等学校 2年生 安原 由美 さん

油絵具のみを使って、自分の表現したい世界観をじっくり描きました。講評ではそのこだわりを評価してもらえて、嬉しかったです。ピカソの作品や映画を通して、思い切りの良さの大切さも実感。今回のセミナーは、自分自身でテーマを見出すいい勉強になりました。