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舞台芸術学科特別公演
「ハムレット」
舞台芸術学科特別公演 「ハムレット」

舞台芸術学科 / その他
2017/08/01

こんな「ハムレット」見たことない!?
役者もスタッフも全身全霊で挑んだ大舞台

舞台芸術学科3年生たちによる特別公演が、昨年に続いて兵庫県立芸術文化センター中ホールで開催されました。演出を務める舞台芸術学科教授の内藤裕敬先生は、大阪芸大に在学中の1980年に南河内万歳一座を旗揚げして、いまや日本の演劇界を代表する存在となっています。

そんな内藤先生が演出する「ハムレット」は、なんとパジャマ姿のキャスト達がふとんを持って集まってくるところから舞台が始まりました。シェイクスピアの世界を現代につなぐ「六畳一間の男」という登場人物が設けられたり、舞台の進行とともに主人公のハムレットの役回りが変化していくなど、誰も見たことがないようなハムレットの舞台となりました。

役者が登場する装置ともなった可動式の押し入れ、衣装や小道具などは、舞台美術コースの学生たちが制作を担当しました。めりはりの効いた照明や音響は舞台照明コース、舞台音響効果コースの学生たちによるものです。演技演出コース、ミュージカルコースの学生たちは、オーディションと稽古を繰り返しながら内藤先生が配役を決定。ハムレット、ガートルード、クローディアス、オフィーリアといった主要な登場人物だけでなく、アンサンブルとして出演した多くの学生たち一人ひとりに目を配った内藤先生の演出により、大きな一体感を伴った舞台が実現しました。2日間ともに大入りとなった大観衆の前で、新鮮なハムレットの世界を表現してみせた舞台芸術学科3年生たち。演出はもちろん、舞台に関するすべてを学生自身が手がける卒業公演では、どんな舞台を見せてくれるのでしょうか。未来の舞台を担っていく学生たちの成長から目が離せません。

Interview

舞台芸術学科 演技演出コース
柴野 航輝さん

僕はハムレットの役をいただきました。僕がこれまで知っているハムレット役を務めた役者といえば、藤原竜也さんや内野聖陽さんなど、かっこよくて実力のある方ばかりなので、配役を聞いたときにはまさか!?と驚きました。稽古を進めていく中で、演出の内藤裕敬先生がポロッとおっしゃった「のび太」という言葉がひとつのヒントになって、とてもわがままで子どもっぽいハムレットの役をつくりあげていきました。文学としての「ハムレット」をご存知のお客さんからすれば、180度イメージが違った「ハムレット」でかなり戸惑われたかもしれません(笑)。<br>シェイクスピアのセリフはとても言葉遣いが凝っていて、ほんとうに勝手なイメージですが、「中2病の男の子」が書いたようなところもあるなと思っていました。ですが、長い物語の中に観客を引きこんでいく力がすごくて、作品を理解すればするほど、今なお上演され続けている理由がわかってきました。ただ、僕がこれまで経験したことがないような長台詞がとても多くて、ハムレットがはじめて舞台に登場する場面も、いきなり長々としたセリフをひとりで言わなければいけなかったので、お客さんにできるだけ興味をもってもらえるように、走りまわったり叫んだりしながら演じました。そういった演出も内藤先生からヒントをいただいて、稽古のたびにどんどん変化させながら自分の中で高めていくことができました。<br>内藤先生としっかり話をしたのは、今回の公演がはじめてですけど、話される内容も知識もとても深いんです。しかも、内藤先生から発せられる自信がすごい。そばにいるだけで自分たちもなんとかなるんじゃないかって思える方で、もっと早く、1年生のときから出会いたかったと思ったほど(笑)。いつまでも話を聞かせてくださいって気持ちで、内藤先生の授業はいつも楽しみにしています。<br>僕は、高校3年生の文化祭でやった「走れメロス」の舞台があまりに楽しくて、終わった日に演劇ができる大学を探して、大阪芸大に入学しました。舞台が好きで、自分には考えつかないようなことができる友人たちに囲まれて、毎日が充実しています。ハムレットははじめての大劇場でしたけど、それほど緊張はしませんでした。それよりも、舞台がはじまったときの高揚感!これがほんとうにたまらなくて、役者をいつまでも続けていけるようにもっといろんな経験を積んでいきたいです。

舞台芸術学科ミュージカルコース3年生
畑中 咲菜さん

今回のお芝居では、稽古の間ずっとオーディションが続いているような状態でとても大変でした。最終的に私は、ハムレットの恋人のオフィーリアの役をやらせてもらいましたが、内藤裕敬先生が来られる稽古のたびに、ハムレットに対して何人ものオフィーリア役候補の学生が順番に同じシーンをやってみるという試練!それだけに役が決まった後は、落ちた子もみんなで「私たちはよくがんばった!」っておたがいに抱きあって、すごく絆が深まりました。どれだけオフィーリアの役と向き合って、オフィーリアと友達になれるか。そこから目をそらした瞬間に内藤先生にはわかってしまうので、オーディションの期間中はとにかく自分との戦いでした。そうした経験もあって、台本と原作を何度も何度も読んで、見落としていたところを発見できましたし、シェイクスピアの普遍性にも気づかされました。現代にも通じる問題まで描かれていて、やっぱりシェイクスピアって天才やなって(笑)。<br>私自身は小学5年生から芝居をやっていて、事務所に所属しながら劇団に入って、挨拶から教わってきました。その頃は、自分をいかにアピールして、仕事を得ていくかということが主でしたけど、この大学に入ってからは、演じることだけではなくて、スタッフの人も含めた周りの人たちとどれだけいい作品をつくることができるか、そのことを日々教わっています。ちっぽけな自分ひとりでは何もできない総合芸術である舞台って、本当にいちばん魅力的な芸術だなとあらためて感じています。いつまでも役者でいたいのはもちろんですけど、まずは自分と周りの人たちだからこそできる芸術を確立するために、試行錯誤を続けていきたいですね。

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