週末ごとに行われたイベントも、展示を盛り上げました。5月19日のオープニング特別講義には、元講談社の編集者で、退職後、2012年に作家エージェント会社のコルクを創業した佐渡島庸平さんが登場。地域や会社など既存のコミュニティが崩れつつある現代で、どうやって他者に自分の思いや考えを伝えてつながっていくか、などを熱く語ってくださいました。
『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』などのヒット作を世に出した編集者の講義に、参加した学生たちのテンションも上がります。「自分が新しく考えた現在存在しないものを表現するには?」「あるシーンをリアルに絵で再現するには?」など次々とぶつけられる質問に対し、佐渡島さんは、自身の経験を踏まえた実践的な回答を返してくださいました。
佐渡島さんは「再現度の高いものが、人の心を打つ」と考えます。例えば、新人マンガ家の力量は、「青空に浮かぶ雲」の描き方で推測できるそうです。雲は季節や時間によって形が違います。デビューできる人は、雲を描く時に、ネームでどのような場面かを把握する、実際に空を見に行く、インターネットで写真を調べる。「現実を見てから絵に落とすという工程を挟むかどうかで、出来上がりがまったく違う」というのです。クリエイターとして成功するためのアドバイスは学生たちにとって、とてもよい刺激となったようです。
マンガデザイン展は、2018年7月に中国・上海で開かれるアニメ・ゲームの博覧会「CCG EXPO(中国国際動漫遊戯博覧会)」や11月にシンガポールで行われるアニメイベント「C3AFA Singapore 2018」などにも出展。日本発のマンガデザインを、世界にアピールしていきます。