本サイトはInternet Explorerには対応しておりません。Chrome または Edge などのブラウザでご覧ください。
Topics

夜の中之島に巨大クジラが泳ぐ OSAKA光のルネサンス 夜の中之島に巨大クジラが泳ぐ OSAKA光のルネサンス

芸術計画学科 / イベント, プロジェクト
2021/01/20

芸術計画学科が総合プロデュース「希求(ききゅう)の唄」

2003年の開始以来、多くの来場者を魅了してきたイルミネーションイベント「OSAKA光のルネサンス」。芸術計画学科では2017年より中之島バラ園を会場としたアート作品の展示で1~3年生の学生たちが総合演出を担当し、2020年も新たな作品を携え開催の準備を進めていました。残念ながら新型コロナウイルスの感染拡大を受け展示は中止となりましたが、オンラインで会場の様子を配信すべく、作品設営と動画撮影が行われました。

大阪の秋〜冬の夜空を彩るイベントで、ギネスブックの世界記録にも登録されるなど世界的に注目を集めている「大阪 光の饗宴」。そのコアプログラムとして行われている「OSAKA光のルネサンス」は、大阪市中央公会堂でのプロジェクションマッピングやオブジェの展示などで中之島周辺が光に包まれ、毎年、多くの人々が足を運んで光のアートを楽しんできました。

設営現場で作業にあたる学生たち


「OSAKA光のルネサンス」での芸術計画学科の参加は2017年から。展示作品は初年度に岡本太郎へのオマージュである「命根樹立」に始まり、以後、スノードームオブジェ「スノーフォレスト」、モニュメント「ローズブーケをあなたへ」など毎年1点ずつ展示作品を増やしてきました。そして2020年の作品として制作されたのは、中之島公園西側に広がるバラ園をLEDネットの海に見立て、その中で巨大な親子クジラが泳ぐ「希求の唄」。コロナ禍で懸命に働く医療従事者への感謝の思い、そして辛い局面に対しても希望を持って進んでいこうというメッセージが込められた作品で、全長約20メートルにも及ぶ造形はまさに圧巻。これまでとは異なる躍動感あふれる作風は学生たちに大きなインパクトを与え、今後の制作において新たな方向性を感じさせる作品となりました。


受け継ぎながらブラッシュアップする、1〜3年生のチームワーク

芸術計画学科による「OSAKA光のルネサンス」での作品展示は、モニュメントの制作だけにとどまらず、会場内のライティングやBGMの選曲など、空間全体の演出を学生たち自らの手で行います。

1年生はモニュメントの制作や現場スタッフ、2年生はディレクター、3年生は総合プロデューサーを担当するなど学年ごとに役割を分担。2年生と3年生が連携し、前年度で経験した問題点をクリアしながら新たな目線でイベントを作り上げるという村上敬造学科長の指導スタイルを本イベントでも実践しています。

ライトアップ直前まで演出案について議論がかわされた

中之島の夜を彩る幻想的な光の芸術は、このような徹底した現場主義から生み出されており、一人では決して実現できないイベント運営の心得を学生たちに伝えています。

今回、残念ながらイベントの開催が中止となり、来場者が間近に作品を鑑賞する機会は失われてしまいましたが、非常時におけるアートイベントの運営を体験した学生たちの学びは、次回の「OSAKA光のルネサンス」で、より進化した形で生かされることが期待されます。

会場全体の様子
1年生デザインによる2020年作品「希求の唄」
芸術計画学科
村上 敬造 学科長

『OSAKA光のルネサンス』への芸術計画学科としての参加は、今回で4回目になります。マニュアルなども都度、見直しを重ねてきたこともあり、学生たちのオペレーションも年々レベルが上ってきています。
 新たに展示された『希求の唄』も、斬新で刺激的な作品となりました。LEDのネットを海面に見立てるというアイデアも中之島公園のバラ園一帯を有効に活用でき、当初の予想よりも遥かに良い展示ができたと思います。最初の審査に立ち合ってくださった外部の方もプレゼンの時点で頭の中に設計図を想像していたということで、見る人にとってもいかに想像力を刺激される作品だったかが伺いしれます。

ただ、細かいところでは、まだまだ課題が多いのも現実です。参加している全員がイマジネーションや積極性を持って作業にあたることが望まれますが、そのためにも2年生が作業を終えた時点で、問題点やトラブルも含めてその年に経験したことを統括し、翌年に反映させることが重要です。学生たちが大学で過ごす時間は4年間ですが、この仕組み作りを徹底すれば、高校野球の強豪校のように常にオペレーションの水準を一定に保ち続けることができるし、そこに新たな経験が加わることで、よりレベルアップが期待できます。

これからの時代は、一つの物事に対して経験値を積んでいる人が優遇されるのではなく、新しい発想や提案をできる人が求められ、実際にそういう若者たちがすでに頭角を表し始めています。彼らは『まったく違うAとBを掛け合わせたら面白い』と考えて新しいものを生み出せます。僕らの世代は彼らの提案をどうやったら具現化できるかを考えるのが役割で、そういったやり取りの中で若い人たちが芸術や文化、産業の主力になっていくのではないかと思います。生まれたときからバーチャルが存在している彼らにとってはリアルとバーチャルの境界というものがないですし、その自由さでどんどん面白いことを考えてもらいたいですね。

芸術計画学科 2年
秦 茉紗さん

前期は『FM802 Live pool ON LINE!!』にスタッフとして参加していました。後期から『OSAKA光のルネサンス』が始まると聞き、かねてから企画・運営として関わりたいと思っていたので、話を聞いてすぐに参加を決めました。
私は2年生のチーフとして、演出の打合せから運営マニュアルや機材の準備、書類のチェックなどを担当させてもらいました。今回は配信に切り替わったことで大きなトラブルはありませんでしたが、予想外の事態もいくつかあり、良くも悪くも現場の難しさを身を持って知ることができたのは貴重な経験でしたね。
『希求の唄』はこれまでにない大規模な作品ということもあり用意した照明が隅々まで行き渡らず演出案を固めるのにギリギリまで時間を要しました。ライトアップされ、中之島のビル群の中に浮かぶ姿が本当に美しくて、ぜひみなさんにも配信で見ていただけたらと思います。今回のイベントでアート作品の演出や照明のアイデアを出す楽しさを学べたので、今後のアートイベントにも積極的に挑戦したいと思います。

芸術計画学科 3年
城内 茜さん

前回の『OSAKA光のルネサンス』では音響スタッフとして参加していたのですが、機会があれば、ぜひ運営スタッフとして参加したいと思っていました。今回、コロナ禍ということもあり、イベント自体がなくなったらどうしよう…と不安もあったのですが、開催されると聞き、一番に志願しました。
私はプロデューサーとしてイベント全体の統括を担当しました。準備中はコロナの影響で運営の中心である2年生、3年生がなかなか顔を合わせられず、ZoomやLINEなどオンラインでやり取りを進めてきたのですが、通常のような連携を取れるようになるまでが大変でした。完成した『希求の唄』は、これまでとはまったく違う作品になって充実した製作期間を過ごすことができ、本当に貴重な体験をさせていただけました。
最終的に中止になってしまったのは残念ですが、今回は密を避けるために遠くからでもきれいに見える配置をしているので、配信でもそれが伝われば良いなと思います。
今回、イベントプロデューサーを経験して、大変な役職だけど完成したときの感動もいちばん大きいということを実感できたので、卒業後もイベントプロデュースのお仕事ができればいいなと思っています。